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【12日目】海賊探検ボートと「後悔」の仕組み(ジンセイのトリセツ)

◆『時間の構造』と過去のやり直し

 ついに『時間の構造』という話になってきました。

 どうしてこんなSFみたいな話が大事なのかというと、多分これを読んでいるほとんどの人が一度は考えたことがあること……そう、

「過去はなぜ、やり直せないのか?」

という疑問の答えに直結しているからなんです。

 結論から言ってしまうと、過去をやり直すことはできません。映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』みたいに、タイムマシンに乗って過去へ! なんていうことは……多分できるようにならないと思うし、時間の構造というものを理解すると「その必要がない」ことも分かると思います。
(次巻エキスパート編で「モトから分かる時間の構造」という話をみっちりしますのでお楽しみに)

 ですが……モトから考えると過去や未来はなんと「修正されることもある」という話もします……『時間の構造』はそれほど複雑で高度な話なんです。

◆後悔、後を絶たず

 さて、皆さんには

『後悔』

はありますか? 僕にはたっぷりあります……。

 後悔先に立たず、と言われますけれど、僕の場合は「後悔後を絶たず」です。人はだれでも生きれば生きるほど、降りしきる雪のように後悔が積み重なっていきます。

 初級編でこの「後悔」という気持ちの『メカニズム』をお話ししましたね。これは「心配」と同じメカニズムで起こる気持ちで、

「今ではない時間」に思いをはせる

ことで「マイナスの考え」が出て、ココロのモトが減ってしまう現象でした。
 心配の気持ちは「未来へのマイナス」の考え、そして後悔というのは「過去へのマイナス」の考えによって起こるものです。どちらも「やればやるだけ無駄に今のモトを減らす」から、今すぐやめましょう、という話をあのとき書いたと思います。

 実はあの話は今しているこの「時間」という『決定されたジンセイの予定』の考え方にもとづいています。
 どうせ未来で起こることは決まっているんだし、過去に戻ることは「絶対に」できないので、「今」のモトを減らしても本当に無駄なだけなんです。

◆個別のドラマと『海賊探検ボート』

 前回はこういう時間の構造を「アナログレコード」にたとえました。今回もたとえ話を使います。みなさんは遊園地にある

『海賊探検ボート』

のアトラクション、知っていますか? 中には有名な映画をモチーフにしたものもありますよね。ヨーホー!

 あれって、僕たちが入り口でボートに乗ると、暗い洞窟を水流に従って進んでいく仕組みです。そしてその先々でさまざまな出来事が起こります。

 海賊の住む洞窟、宝の地図の発見、大航海、怪物との戦い、そして金銀財宝の発見……だいたいこういうストーリーです。全体がいくつかの部屋に分かれていて、それぞれにこういうモチーフの「人形」や「舞台装置」が置かれていて、そういうものの中をボートで進んでいきます。
 そうしてリアルなセットの中で「海賊たちと一緒に冒険」しながら、ハラハラドキドキの洞窟探検を『流れに沿って』進めて、最後に宝物を手に入れたら入口に戻される、というアトラクションです。

 さて……おそらく、天国の世界で僕らが「生まれてくる前」に「今やってるジンセイ」を「レコード盤のミゾを眺める感じで見る」と、この『海賊探検ボート』の施設の天井を引っぺがして上から眺める感じに見えるはずなんです。

 ……意味分かりますか? ジンセイで体験する『【個別のドラマ】の予定』の場面が「全部事前に見られる」ということなんです。

◆「生きてみて『後悔』をしよう」という決意

 大事なのはその先です。その『予定』を見た上で、あなたは

「このジンセイをやるぞ!」と決意して

生まれてきています。多分全部忘れていると思いますが(僕も覚えてはいません)。

 前回の【関わりの網目】という話も思い出してください。ジンセイは探検ボートとは違って、周囲は「セット」ではなく生身の生き物です。あなたのジンセイは「探検ボート」の要領で進みますが、周りの生き物の一生も同じような「探検ボート」の構造をしているんです。
 それを知った上で「生まれよう」と決めて、生まれてきているんです。

 そんな『構造』である「人生の時間」の予定表には当然

「過去の〇〇を後悔する」という『予定』

もすでに書いてあります。

 つまり、あなたの『後悔』は「生まれる前から織り込み済み」だ、ということが言えます。そのときに『後悔する予定』で生まれてきている、ということです。

 また、これは(ちょっと難しいですが)

「その時その後悔をするために、〇〇な過去が用意してあった」

という意味でもあります。
 探検ボートの人形は「色々あるけど最後に宝を手に入れる」という順番で配置されているんです。人形が最初に宝物を手に入れてしまったら、アトラクションは『台無し』になります。『苦労して』最後に宝を手に入れる、という経験をするために、事前に『苦労する』というシナリオが書き込まれている、ということなんです。

 こういったメカニズムから「過去をやり直すことはできないし、その必要がない」という結論が導き出されます。

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 こういう話をすると「冷たい人ですね」と言われます……確かにね「あのとき、あの人があそこで死んでしまったのも、定められた予定通りだったんですか?」というお叱りを受けることがあるんです。

 でもね、そうです、としかお答えできないんです。【モト】という概念を通して見ると、時間というものがどうしてもこういう構造をしていると考えられるからなんです。本当に申し訳ないです……。


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「ニンゲンのトリセツ」著者、リリジャス・クリエイター。京都でちまちま生きているぶよんぶよんのオジサンです。新作の原稿を転載中、長編小説連載中。みんなの投げ銭まってるぜ!(笑)