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出産は十人十色。自然分娩と無痛分娩を振り返ってみる

「出産は十人十色」。子を持つ前から知っていた言葉だったけど、出産してみてなお身に染みてそう感じている。

2016年9月に自然分娩で女の子を、2021年4月に無痛分娩で男の子を出産した。どちらの出産もまぎれもなく人生における壮絶であり感動的な瞬間だった。お腹の中でトツキトオカ育まれた命が今、目の前にある。クシャクシャの顔、小さな手足、ピンク色の肌、力強い産声…どれもが愛おしく、子に出会えた瞬間に溢れ出る自分の母性に驚く。

「やっと、会えた!」

出産を経験した人なら、生まれた瞬間に思わずそう声が出た人もいるのではないだろうか。「やっと、会えた----。」感動的な言葉。この言葉が持つ意味は、出産前は「(待ちに待ち焦がれて会いたかったお腹の中の子どもに)やっと、会えた」一択だと思っていた。出産を経験し、この言葉にはもう一つ意味があることを知る。

「(気持ち悪さMAXだった悪阻、食べたいもの飲みたいものが飲めないのに増える食欲に意味がわからないイライラ、ひたすらに重い体、うつ伏せで寝れない夜、自分が自分ではなくなってしまう不安。そして今、押し寄せる陣痛に数時間耐え…やっと!トツキトオカに渡る妊娠が終わろうとしている!!お疲れ、わたし。お疲れ、赤ちゃん!!!)やっと、会えた」だ。

十人十色の出産体験の2つを綴ってみる

出産には自然、和痛、無痛、帝王切開など、いろんな方法があるらしい。前記の通り、私は第一子を自然で第二子を無痛で生んだので、自然と無痛の両方を経験して、実際にどうたったか?を綴ってみたいと思う。なお、私は出産のプロでも専門家でもなくごく一般人なので、皆さんには出産のいち体験記として読み進めていただければ幸いです。どんな方法であれ、母体と赤ちゃんの安全が第一。出産は十人十色なので、これから出産を控えるひとたちの参考になれたら嬉しいな(なお、実名でnoteをやっていることもあり、今回病院名は伏せています)。

自然分娩で生んでみるかな

一人目は自然分娩だった。なぜ自然分娩にしたのか。理由は二つ。ひとつは、自然分娩を体験してみたかったから。赤ちゃんと母体の力を信じ、感じてみたかったからだ。もう一つ、結構これが大きかったのだが、前回のnoteに綴ったように、私は悪阻が人の何倍も酷い体質。第一子妊娠時も二子妊娠時も、もれなく「妊娠悪阻」になり入院。第一子のときなんて、妊娠悪阻が原因で会社で倒れ(誰にもまだ妊娠していたことを伝えておらずまさか悪阻がこんなに酷くなるとは思わず出社し倒れました)緊急搬送されたのが第一子を出産したA病院

A病院は都内でも有名な総合病院で、設備や人員が整っていて、万が一赤ちゃんや母体に何かあったとしても何とかしてくれるという安心感があった。初めての出産だし、悪阻も重かったし、何かあったら心配だな…という理由でここの病院で出産することに決定。A病院は無痛はしていないため、選択の余地はなく、自然分娩に。しかし、ここから不安がムクムクと顔を出しはじめた。

「鼻からスイカ」っていうじゃない?

「出産はスイカが鼻から出てくるくらい痛い」という話、聞いたことないですか。出産の痛みは他にも「腰をハンマーで打ち砕かれるような」「小指切断、交通事故で全治1か月と同等」など、聞くだけで「え?本気?」と耳を疑ってしまいたくなるものばかり。テレビの出産シーンでも妊婦が汗だくになりながら泣き叫ぶシーンが映し出され、完全に「出産=イタイ」のイメージしかない。出産前にも関わらず、刷り込まれた出産のイメージに「自然分娩に耐えられるのか、わたし」と怖くなってしまった。

不安で不安でたまらなくなり、ネットで出産レポートや、Twitterで出産実況中継を読み漁ったりした。そして友達に「出産って痛いの?」と聞いて回った。9割の人が「痛いよそりゃ。」と答える中で「そんなことないよ。しゅるしゅるぽーん!ってあっという間に出てきた!」という強者がいた。今まで「出産=イタイ」だったのが、超絶ポジティブな私はその人の話をきっかけに「痛い人がほとんどだけど、痛くない人もいるっぽい。出産は十人十色!」と、気持ちを入れ替えることができた(Mさんその節はありがとうございました!)。

出産は十人十色、ひとそれぞれ。と思えてからやっと、赤ちゃんは赤ちゃんのタイミングで、自然に生んであげたいと思えるようになった。赤ちゃんと母体の力を信じて、赤ちゃんが生まれたいタイミングで出してあげたいと気持ちが決まった。

もう終わり、ストップ!と心の中で叫んだ出産

自然分娩は壮絶で、まさに「出産=イタイ」(笑)。もう生んだ後は「下半身が大爆発を起こし、再生不能になった…」と本気で思うほど。メンタルも痛みにも強いタイプな自分が、想像を絶する痛みに「もう出産終わり!ストップ!いったん止めて、お願い!」と、心の中で叫んでいました。以前に第一子出産に関するnoteを書いたので引用。読んでいるだけで、尾てい骨に痛みの感覚が戻ってくる…。

2016年9月14日。3年前の今日の日、私はママになりました。15時間に及ぶ出産は、辛かった…の一言では言い表せないほど、壮絶な体験。昔から体力はある方だったし、誰もが認める負けず嫌い。フィジカル&メンタルタフネスだと、自信がありました。けども。出産のときは、コワイイタイコワイイタイのオンパレードでほとんど記憶ございません。覚えているのは、・陣痛に耐える雄たけび(絶対自分は発しないと思っていなくても自然に出てしまう)が「グオー」とか「ギャー」とか、野太いものだと思っていたのに「ファーアアアアアアアア♪」というソプラノ歌手なみの高音だったこと。発している本人も「え、なにこれ、こんな声なの!?」とそれでまたパニックに(笑)。・陣痛が辛すぎて何も食べたくない飲みたくない状態だったときに、助産師さんが小さいおにぎりを作ってくれて食べさせてくれたこと。食べさせてくれたというよりは、半ば強引に押し込まれ、「優しそうに見えて、この助産婦さん、なかなかだな。」とふっと我に返った瞬間があった。・「赤ちゃんがなかなか降りてこない」とのことで、陣痛MAXの時にスクワットを何回もやったこと。これですね…拷問に近い。普通のスクワットもやったけど、ベットにうつ伏せになり、お腹の下にバランスボールを置いて、陣痛MAXの時に、ベット上部にある手すりを思いっきりひっぱる!!イタイイイイイ!!という記憶。赤ちゃんが出てきたとき、「感動して涙が…」という声を多数聞きますが私の場合は、「お、お、お、終わった…やっと、終わった…、あ、あ、あ、赤ちゃん、かかかかわいい!!!!」という、出産が終わった安堵と感動が入り混じったなんとも不思議な感情でした。(「そんなこんなで、あの日から3年。」より抜粋)

3000gを超えて生まれてきた子どもはふわふわで可愛く本当に天使だった。母子ともに健康。生命の神秘を全身で感じることができ、一生忘れられない日になった。赤ちゃんは可愛くて仕方がなかったのだが、母体も痛くて仕方がなかった。自然分娩後の体は、出産に力み過ぎたのか全身筋肉痛。下半身はもちろん、あらゆるところが痛くもうどこが痛いのかさえわからなかった。骨盤グラグラ歩くのもふらふら。私の場合、尾てい骨と恥骨が痛く今思えば骨折やひびが入っていたのかも。助産師さんには「15時間は平均ですね、瀬川さん出産上手でしたよ~!」とお世辞にも褒めていただき「これが!平均!世の中の母、凄すぎませんか!」とクラクラした。

こんな感じで初めて感じる痛さと怖さにパニックになった出産だったので、「もうあの痛みは二度と経験するまい。もし有難く二人目に恵まれて出産することがあったら無痛にしよう」と、入院中のベットの中で誓った。「出産の痛みなんて、忘れるよ。」とはよく言われるけど、私の場合は出産の痛みも悪阻の気持ち悪さも今でも忘れていない。

激戦の無痛分娩予約

妊娠・出産・育児を比較して、今のところ「MY WORST OF つらい」は間違いなく妊娠だ(っていってもまだ6年目)。次に出産、育児の順番。人それぞれだと思うけど、私の場合は本当に妊娠期間が辛過ぎた。妊娠中は1日も絶好調!という日はなく、中でも悪阻が辛かった(私みたいに悪阻が酷い人も珍しいみたいだけど)。悪阻は今の医学では薬もなく(日本では)、ひたすた時が過ぎるのを絶えしのぶのみ

悪阻は、点滴などで症状を軽減できる処置はあるが気持ち悪さや苦痛を無くす方法は基本ない。一方、出産は自然・和痛・無痛など自分で選択ができる(もちろん、母体や赤ちゃんの状態によっては選択できない場合もある)。「医学の力で痛みや苦しみが軽減されるのであれば、次は無痛にしよう」と重い悪阻と出産の両方を経験して思った。そんなこんなで、壮絶な出産から5年経ち、二人目の妊娠が発覚。妊娠発覚後、無痛分娩ができる病院を探しはじめた。いくつか目星をつけ、第一希望は家からも近く、比較的費用もリーズナブル、24時間無痛分娩ができることで有名なB病院に。

しかし、まさかの事態が起こります。だんだん食べられなくなり水さえも受け付けなくなり嘔吐が酷く寝れず体重が減少…そう、恐れていた「妊娠悪阻アゲイン」。しかも、第一子よりも重く3週間の入院(B病院とは違う病院)。で、この無痛分娩ができるB病院、都内で24時間無痛ができる病院が少ないため、大人気。なんと、妊娠して心拍が確認できたらすぐに予約しないと、予約がとれないという恐ろしい情報を事前にキャッチ。妊娠悪阻での入院中、気持ち悪さに耐えながら、気分がなんとかなるタイミングを見計らって病院に電話。するとなんと!予約は電話ではおこなっておらず、来院してください(代理人でも可)とのこと。どうする、わたし。またあの痛みは絶対に嫌だ!と、出産予定日を伝え「その時期、空いてますかね…」と聞いたところ「空いてますよ」と。であれば退院後にチャレンジ(申し込み)してみて、空きがなければこれも運命と受け入れて自然分娩にすることに。最後は神様にお願いしたのでした。その後、無事に予約できB病院で出産することが決定。

無痛分娩どうたった?

無痛分娩、痛くなかった。B病院での出産は、事前に日を決めで誘発剤を打ち、麻酔をして出産に臨むスタイル。私は経産婦なので当日入院での出産(初産の場合は前日入院)、麻酔でチクっとする痛みと、赤ちゃんが下りてきてお尻をグーッとおされる感じはあったものの、痛みはほとんどなかった。痛みがなくリラックスして出産に臨めたのもあり、陣痛から出産まで約5時間のスピード出産だった。

どんな流れだったのか、出産しながら簡単にとったメモで振り返ってみる。

9:10 麻酔 右側に重くひやっとする違和感
9:20 麻酔促進剤追加。足がぽかぽかする感じ。赤ちゃん元気
9:50 促進剤麻酔追加。5分ずつ寝返り。陣痛はまだ。足の感覚がなくなってきた
10:10 つねられるが、まだ麻酔効かず。
10:20 麻酔追加 末端はだいぶ効いてきたけど、腰回りにまだ痛みがある
10:35 だいぶ麻酔が効いてきた!寝返りが打つのが辛い あと10分おきましょうとのこと
10:55 人工的に破水させる 感覚はあるけど痛みはなし 変な感じ
11:15 促進剤追加。血圧、体温 37.1 。出血ありで進みは良いとのこと
11:30 先生診察。子宮口5cm順調とのこと。3分間隔で陣痛。まったく痛みを感じない
11:40 促進剤追加。麻酔を弱める
11:55 促進剤追加
12:30 促進剤追加。子宮口変わらず5cm
14:00 ドドドドという今まで感じたことのない胎動 お産が進んで赤ちゃん苦しくなってしまったよう。酸素マスクをつける
14:15 内診。6cm 子宮口がまだ固く降りて来れないみたい…
14:30 熱が37.9も!アイスノンをもらう
15:00 少し痛みが出てきたので麻酔追加
15:30 お尻を押されるような痛みが3分感覚で。赤ちゃん下がってきてる!子宮口8cm
15:40 分娩室移動
15:52 4回ほどいきんで、赤ちゃん誕生!
16:20 後処理が終わり、部屋に戻る。しばし休憩

「無痛分娩=イタクナイ」と誤解されないように追記しておくと、出産中は麻酔で痛みはほぼ感じないものの、出産をしているので麻酔が切れたら普通に痛いです。ただ今回は初産の時のような全身筋肉痛はなく、体の回復も早かった。何より赤ちゃんが下りてきている感覚がわかり、下りてきている感覚に合わせていきめたので出産を楽しむことができたのは非常に良かった。費用も自然分娩時と比較してプラス10万程度で収まりました。

母子ともに健康で

こうして振り返ってみると、選択した自然分娩と無痛分娩もそれぞれ全く違っていて、当たり前だがどちらがいいも悪いもない。間違いなく言えるのは、どちらも最高に幸せだった日。2回の出産を経験して、子どもが無事に生まれてきてくれたこと、母体にダメージはあれど今こうして元気でいられることが奇跡の連続であることを実感している。情報が溢れている今、自分で有益な情報を集めて、自分(そして家族)で決断することが大切。どんな選択をしても、赤ちゃんそして自分(母体)が持つ神秘のパワーに圧倒される日になるはず!

これから出産を控えている皆様、産後は新生児のお世話で暫くゆっくり休めない日々が続くので、少しでも母体にダメージが少ない方がいいかもしれません。でも、どんな選択したとしても、幸せな瞬間が待ってます。母子ともに健康にうまれてきてくれることを心から願っています。

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