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希望通りにならない自分へ

この世の中は競争社会です。自分がやりたいことを叶えるには、より高次元で自己実現をするには必ず競争があります。医療界だって、大学受験、研修医先マッチング、専門医試験、医局人事の獲得、教授選など、ずぅーっと誰かとの競争は無くなりません。

しばしば聞かれる内容ですが、

✅自分はA大学志望だったけど、この大学しか合格しませんでした

✅自分はB研修病院志望だったけど、落ちてこの病院に来ました

✅自分はこんなにがんばっているのに○○に選ばれなかった

気持ちはよく分かります。私の人生も数えきれないくらいの競争に負けて悔しい思いをしてきました。ただ、これで踏み止まるのであればその先には進めないし、もったいないの一言に尽きます。厳しく言うと、それだから今どきの若い者は..とかゆとり教育とかバカにされ、誰にも認められない。これをどう変えていくかが今回のテーマです。

自分も悩んでいろいろな本を読みましたが、たどり着く絶対的な結論は、

『負けて落ち行くプライドは、勝つことでしか取り戻せない』

ということ。

とはいっても、失敗した直後に今まで通りの努力をしなさいと言うのは凡人には難しい。そこで、まず今回の結果が最終目標にどれだけ影響するのかということを考えると良いと思います。

例えば、大学や研修病院で第一希望に行けなかった例では、あなたの目標は合格することではないのか?その後何を実現したかったのか?と自問する必要があります。例えば、医学部で言えば、どの大学に行くとしても高いハードルがありますが、実際入学後にその大学でないと学べなかったことなどほぼ皆無と思います。各大学のエキスパートは、大学偏差値順では決してなく、どんなに低偏差値の医学部だとしても世界的権威はいますし、あなたにとって最高の教育を提供してくれます。○○でしか学べないということは少なくとも学部や研修病院教育においてはありません。それはこじつけでしかない。変わるべきは受け身でいる自分であって、自分が最終的に何を叶えたいのかをしっかり考えましょう。どこで何を学んで、どう自分を成長させて、どの領域に到達したいかが重要であって、スタートがどこだって良いと割り切ることが重要。例えば、私の本が出版された際に、地方国立出身が調子に乗るなという批判がありました。全く興味そそられなかったコメント。なぜかと言ったら、例えば全国偏差値1位の東大医学部に行っていたら、自動的に今の自分のポジションや培ってきた物が得られるとは全く思わないので。どこに行っても超苦労したと思います。実際過去に東大卒でトロントで勤務した腹部移植外科医は存在しません。しかも大事なことは過去がどうであったかではなくて、いまどう働いているかにしか興味がありません。海外の一流施設に来たら、東大どうこうより、日本てどこ?なんです。最初のカンファで世界地図を出した際に中国を指さされたのが良い例です。私の専門の移植分野では移植後進国となってしまった日本(アジアの小国)なんてそんな扱いです。だから自分の過去に必要以上に気にすることはないと思います。大事なのは、あなたがいま何者で何ができるのか、それに尽きます。

ではNext challengeにおいて、この「出鼻をくじかれたこと」はプラスではないのかというと圧倒的にプラスになると考えます。次の目標に対して倍返しのモチベーションを持つことが出来るのですから。この発動には、スタート地点がうまくいかなかったとして、その後もスタート地点の競争に勝った者に遅れを取り続けるという固定観念を破壊する必要があります。希望通りにいかなかったあなたには、希望通りにいった者にはない『屈辱』『劣等感』といった新たな武器が心の底に宿っています。これは並々ならぬモチベーションになります。自分できているというプラスのほんわかしたモチベーションよりも、絶対に次回は自分の思う活路を見出すとプラスにもマイナスにも支えられて意気込んでいる者がはるかに強いです。臥薪嘗胆という熟語の如く、何倍も自分を成長させましょう。この逆境を跳ね返す力を学べるのは希望通りにいかなかったことを経験した者の特権です。

本題に戻りますが、負けることは最終的には負けではないと証明するには、勝つしかありません。では相手は誰なのかという問いです。大学受験生なら他の受験生?人事争いなら対抗馬の先生?これは大きな間違いと思います。負けている相手は自分自身です。自分の目標に対して、評価、実績に問題があるから目標に届かず挫折します。では同じ努力で次は勝てるのか?答えは絶対に勝てない。自分の目標欲求はどんどん上昇していきますから今までの努力で叶えられない壁を、次回さらに高くなった時に超えられるはずがないのです。総じて自分に勝つには今までの自分を超える努力をする必要がありますが、これには自分の弱みがキーポイントになります。しかし自分の弱点と向き合うのは並大抵のメンタルではできませんし、それを克服するには今まで経験したことがない努力をする必要があります。

戦い方として、

①自分の長所をとことん伸ばして弱点を覆ってしまう方法

弱点に向き合ってさび付いた能力をこじ開ける方法

の二つがあります。①は他人に紛れ込むような中途半端な実力しているから長所として武器にならないということを自覚します。他人と比べて2-3倍の努力は大した差になりません。他人の10倍のパフォーマンスをして、あいつイカれているって言われて初めて武器として使えるようになります。②は全く向き合ってこなかった弱点に初歩から努力を始めるというスタンス。最もつらい戦術ですが、最も効果がある方法。私もClinical fellowの試験は一度華々しく落ちました。最終面接まで行って、あいつはいいねと高評価をもらっていたにも関わらず、勝負ができるリスト順位に載らず消えました。理由は単純で、欧米の外科医より見劣りする実力だからです。だからリベンジを決めた際、大きな方針転換をしました。①についてはとことん突っ込むということ。Research fellowでありながら臨床のカンファに突入してガンガン発言する。Clinical fellowの研究相談に乗る。推し進める!初めは誰こいつ?いや信用ならんってムードを全面に感じましたが、ロジカルとエビデンスを突き詰めて熱意を持って発言するうちに懐柔できました。臨床試験で自分がこの肝臓はDiscard(移植しない)すべきと電話討論して上司に認めさせる。何でもやります。そして仕事のクオリティは落とさない。やり過ぎ、非常識くらいの評価がちょうどよい。②は実践英語力との戦いです。私はまったく英語できなかった人生だったので、徹底的に同僚の英語をまねて、かつ積極的に議論する癖をつけました。先の電話討論と簡単に書きましたが、電話の苦手意識がなくなるまでも相当苦労しました。こいつとだったら一緒に働きたい、自分にメリットがあると思わせる実力まで引き上げる必要があるのです。リベンジを掛けた2回目の最終面接で、お前Strangeなやつだな、いやUniqueな人材だろって言われた瞬間、勝負に勝ったのです。

「負けたって気にしてもしょうがない、過去は変えられないし」というアドバイスは全くアドバイスになっていない。途中負けたって最終目標は揺るがない、むしろプラスになる武器になる、そして次回に向けてどういった自己成長戦略をとるかの実質的な答えを見つけないと絶対にその後も勝てない。

と思っているので、これからも私が負け続けても励ましてください(笑)

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