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#春

poem 岩は砕けて

poem 岩は砕けて

揉まれて
砕けて
粉々に

なった岩は
痛かろう

けれど
その岩ぶつかった

岩もやっぱり
痛かろう

自分ばかりが
苦しくて

世間に背を向け
生きてきた

見ないふりして
送っても

どうして傷は
痛むのだ

時は滔々流れゆく

ぶつからなければ
ならなくて

もがいていなければ
ならなくて

あの時
砕けた岩の欠片は

丸みを帯びた
肌からころげ

静かにどこかへ
落ちていく

春麗らかな

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poem 春遥か彼方から

poem 春遥か彼方から

春遥か彼方から
ちろちろと水が流れる

春遥か彼方から
そよそよと風が吹く

春遥か彼方から

もういいかい
まぁだだよ

まだあどけない光の子
暗い土から顔出した
小さな木の芽と遊んでる

poem 春告鳥

poem 春告鳥

木立の中で
鶯が鳴く

私は知っている
あの若い木の葉が
私の聲を聴いているのを

木立の中で
鶯が鳴く

私は知っている
萌え出した土が
私の聲を聴いているのを

鶯は鳴く

世界が目醒めるその時に
樹々の隙間に見える空
薄い花弁のひとひらに

鶯は鳴く

届く限りの春待つ世界へ