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海外(カンボジア)ビジネスで大切な事は全てサーシャに教わった②出会い

小さなデザイン会社の社長として、受けられる仕事はなんでもうけた。ただし、カンボジアでは一般的にデザインに対して対価を払うということはあまりなく、持ってきた3万ドルはみるみる減っていった。

特に打開策もないまま、ただただ毎日が過ぎていき、不安で眠れない夜を過ごすことも多くなってきた。

そんな中、こちらで知り合ったカンボジアの同業者から、孤児院の窓に貼るスティッカーのデザインを頼まれた。なんでも、彼はむちゃくちゃ忙しいらしく、あまりお金にならないこの仕事を断るかわりに僕に振ってきたのだ。なんともうらやましい限りである。悔しいけどありがたい。ロゴとキャッチコピーをレイアウトして25ドル。知り合いの印刷屋さんに頼んでスティッカーを作り、貼りにいってもらう。

特に立ち会いが必要なわけではなかったが、暇だし、カンボジアにたくさんある孤児院のひとつくらい見学にいくのも悪くないかな、という程度の気持ちで、印刷屋さんが貼りにいくのに同行した。 

トレードマークのポンコツ原チャリできたことを後悔するくらいだいぶ走ったところにその孤児院はあった。

大きな一軒家に、30人くらいの子どもたちと、数匹の犬が僕らをむかえてくれた。

そして、奥から金髪の小柄な女性が満面の笑顔でやってきた。

チョムリアップスーオ ハロー ナイストゥミーチュー アイム アレクサンドラ コールミー サーシャ

あったことない外国人との仕事メールでは、相手がどこの国の人かわからないまま進んでいくことも結構ある。

サーシャともそうだった。サイズとデザインの大まかな希望をきいて、金額を伝え、ロゴデータをもらい、起こしたデザインをみてもらい、オッケーをもらう。五往復くらいのメールのやりとりだった。

あなたがムハンマドね。

ハイ、ナイストゥミーチュー、僕は日本人だよ。

そうなんだ!私はセルビアからきたの。

セルビア??うーんと。

東ヨーロッパの小さい国よ。

ああ、もちろん知ってるよ(汗)

気を使わなくていいわよ、みんなそんな感じだから。

印刷屋さんが手際よくスティッカーを液体で濡らしながらガラスに貼っている間、僕はサーシャに孤児院を見学させてもらった。

子どもたちも、犬も、人懐っこい。かわいいなー。

今、カンボジアは、内戦から年月が経って、純粋に孤児だけでなく、経済的な理由などから子どもを孤児院に預ける親、育児放棄の親なども多くいること、そのため新規の孤児院は認可されないこと。

ここの孤児院は、高校卒業するまで学費などすべてサポートしていること。

孤児院ビジネスと揶揄されこともあるけれど、外からみていることと実際に中に入ってやってみることでは、見えるものが違うから、批判的な人にこそ体験してもらって、感じたものをいいも悪いもシェアしてもらいディスカッションするようなことをしていきたいこと。

差し入れで何より嬉しいのは現金。学費は意外に高いから、やりくりが大変。次はお米。お米さえあれば、おかずはいろいろ代用して食べられるから。

この孤児院は、キリスト教系で、オーナーはアメリカ人で、サーシャはお父さんの紹介で一時的にここで働いていること。一ヶ月後の予定は決めていないこと。

なんかを聞き取りやすい英語でゆっくり話をしてくれた。

この時はまだこの女性からビジネスについて教わるなんて想像もしていなかった。

事実、それからも僕は相変わらず原チャリに乗ってお客さんをまわり、オフィスで黙々とパソコンに向かう日々が続いていた。

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