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【どうする家康】築山殿は戦国時代のフェミニスト

以下の内容は、NHK大河ドラマ『どうする家康』24話までのネタバレを含みます。ご注意ください。 築山殿。 家康の正妻で、”悪女”として知られる女性です。 『どうする家康』における築山殿の描き方は、これからの大河ドラマにおける女性描写の大きなターニングポイントになるのではないかと感じました。 今回はそのことについて、過去作とも比較しながら述べたいと思います。 近年の大河において、築山殿が最も印象的に描かれていたのは、『おんな城主直虎』ではないでしょうか。菜々緒さんが演じる築

    • 【絵のない絵本】押し売りの多いブティック

      カランコロン いらっしゃい。おや、随分べっぴんなお客さんが来たもんだ。今日は何を探しに来たんだい?え?全身コーディネートして欲しいだって?なんだいお客さん、近々デートの予定でもあんのかい?え?いいねえ、若い人は。 いいだろう。ここは私が一つ、お客さんに最高のコーディネート、見繕ってやろうじゃないの。 まずね、これなんかどうだい。紫陽花のワンピース。紫陽花の花びら一枚一枚が丁寧に縫われてるんだ。ほら、紫陽花の花びらって、一枚たりとて同じ色が無いだろう。土壌によっても変

      • 【詩】紫陽花が綺麗だから

        彼女が私を購入したのは、                       私が彼と出会ったのは もう10年以上も昔の話だ                        もう潰れてしまった小さな家電屋さん 今となっては随分と旧型の私を                    どれだけ新しいものが出ても 彼女は捨てずに使い続ける                       私は絶対に彼を手放さない 何故かは私には理解できない                      何故な

        • 【絵のない絵本】へんなもの

          ひらひら ひらひら ひらひら とある森の中に、ふしぎなものが舞い降りてきました。 「なんだこりゃ」とうさぎさん。 「なんだろ、なんだろ」とりすさん。 二匹はぐるぐると、その、ふしぎなものの周りを飛び跳ねます。 「はは〜ん。わかったぞ」とうさぎさん。 それを持ち上げて、地面の上に綺麗に置きました。 「これはぴくにっく用だよ」 「ぴくにっく?」 「森に来て、木とか空を見ながらご飯を食べるんだよ」 「・・・そんなの当たり前じゃないか」 「それが、にんげんに

        【どうする家康】築山殿は戦国時代のフェミニスト

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        • 4本
        • 絵のない絵本
          3本

        記事

          【詩】ふたり

          「きょじん きょじん!」 いっしょにいって、いっしょにかえる きんじょでもゆう名な デコボココンビ 「先生にいいつけるよ!」 でも、ほんとはね ふふふ * 「よっ」 思春期に刺された私の顔は ザラザラしてて 君に見せるわけにはいかないや 「うん」 あれ、いつの間に 私がボコで、君がデコになってたんだ ** 「あれ、なんか久しぶり」 砂利道を自転車で走っていたら 急に聞こえたあなたの声 じゃりじゃりと心を鳴らしながら 「あれ、久しぶり

          【詩】ふたり

          【絵のない絵本】とある春の日に耳をすませば

          きゅるきゅる さあさあ   ぴゅんぴゅん びゅうびゅう きゅるさあ さあぴゅん    ぴゅんびゅう びゅうきゅる そよそよそよそよ   そよそよそよそよ びゅうさあ きゅるぴゅん   さあびゅう ぴゅんきゅる 「ったくはるかぜの奴!」 「じゃあ、春はしばらく先延ばしってことかい 」 「ええ、はるかぜさんが元気になるまでは」 「早いとこ、今日の担当を決めないとですよっ」 「だから、今それを話し合ってるんだろうが」 「お願いですから皆さん、そんなに吹

          【絵のない絵本】とある春の日に耳をすませば

          【詩】狐の嫁入り

          キラリ。 足元の水溜りが、ふと僕に光を投げかける。 生あたたかい太陽の光を、 折りたたみ傘越しに感じる。 そおっと傘の下から顔をのぞかせると、 ぴしゃり。 空から落ちた冷たい雫が、僕の頬打つ。 天邪鬼な空め お天気雨なんか降らせやがって 悪態をつきながら傘を閉じた僕の身体を、 光と雫がゆっくりと濡らしていく。 あのお天気雨の帰り道、彼女は呟いた。 「好きなんだ、お天気雨。」 彼女は、僕の目を見て言った。 「だって、綺麗だから。」 彼女は、にっ

          【詩】狐の嫁入り

          【詩】人魚姫への手紙

          人魚姫へ 「かわいそう」と人は言う 王子を助けたのはあなたなのに 声を奪われたが故に 真実を伝えられなかったと けれど、あなたの真の苦しみは 王子を奪われたことでも 誤解を解けずに泡になったことでもない 愛する人の隣にいながら 愛を届ける声を持たなかったこと あなたの隣を歩けるなら 声なんて要らないと決めたのに こんな飼い殺しにされるなら 遠く海から眺めるままが どれだけよかったか そう思ったのではありませんか 人魚姫よ 勇気をください

          【詩】人魚姫への手紙