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【絵のない絵本】へんなもの

へんなもの

ひらひら ひらひら ひらひら


とある森の中に、ふしぎなものが舞い降りてきました。

「なんだこりゃ」とうさぎさん。

「なんだろ、なんだろ」とりすさん。

二匹はぐるぐると、その、ふしぎなものの周りを飛び跳ねます。


「はは〜ん。わかったぞ」とうさぎさん。

それを持ち上げて、地面の上に綺麗に置きました。

「これはぴくにっく用だよ」

「ぴくにっく?」

「森に来て、木とか空を見ながらご飯を食べるんだよ」

「・・・そんなの当たり前じゃないか」

「それが、にんげんにとっては当たり前じゃないんだ」

「それはいいとして、なんでこのへんなのがぴくにっくに必要なんだ?」

「にんげんは、ぴくにっくをする時、地面にこれをひいて、その上に座るんだ」

「なんで?」

「わかんない。多分それが、にんげんのおきてなんだよ」

「へえ〜、にんげんってへんなの!」


二匹は、試しにそれの上に座ってみました。

なんだか柔らかくて少しいい気持ち。


「あれ、なんだこりゃ」とうさぎさん。

「あれ、なんだろ、なんだろ」とりすさん。

二匹はそれにくっついている、ふしぎなひもを見つけました。


「はは〜ん。わかったぞ」とりすさん。

そのふしぎなひもを持ち上げて、首に巻きました。

「これはまんとだよ」

「まんと?」

「にんげんが飛ぶときに使うんだ」

「・・・にんげんって飛べるの?」

「それが、誰かを助けようとする人たちは、飛べるらしんだよ」

「それはいいとして、こんなので飛べるのかな。とりのつばさとは全然見た目が違うけど」

「にんげんは、これを首に巻いてみるだけで、飛ぶちからが出てくるんだよ」

「なんで?」

「わかんない。多分それが、にんげんのしゅくめいなんだよ」

「へえ〜、にんげんってへんなの!」



「あ、お父さん、あった!」

どこからか、小さな女の子と大きな男の人がやってきました。

あたりには誰もいません。

小さな女の子は、そのふしぎなものを拾って言いました。

「今日は、私がこれでごはん作るね!」



「あれで、ごはんを作る・・・?」

「あれって、食べものだったのか・・・!」

二匹はにんげんに関する新しい知識を手に入れましたとさ。


おしまい

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