見出し画像

IT企業社員が考えるAI時代を生き抜くための力とは

先日ChatGPT-4oが発表されるなど、AIの進化は止まることを知りません。

AIが進化すれば、たしかに今まで無駄だと感じていた多くの仕事は代替もしくは効率化され、世の中は便利になっていくことが考えられます。

しかし、その反面で耳にするのが、AIの進化によって人間は必要なくなっていくのではないかということです。

個人的にAIが進化したからといって、完全に人間に代替できるかといったらそんなことはないと考えています。

ただ、不安に感じる人も多いトピックかと思いましたので、今回はIT企業の社員という立場から、AI特にChatGPTのようなLLM(大規模言語モデル)はどのような仕組みで動いているかを簡単に説明します。

さらにChatGPTなどのLLMがこういう仕組みで動いているからこそ、AI時代を生きていくためにはどういった力が必要かというところを考えていこうと思います。


ChatGPTのようなLLM(大規模言語モデル)はどのような仕組みで動いている?

では始めにChatGPTのようなLLM(大規模言語モデル)がどのような仕組みで動いているのかを説明します。
※ ちなみにLLMはLarge Language Modelの略称です。

少し掘ったところまで説明すると、微分がどうとかattention機能を使って、単語間の関連性を明確にするために多次元での内積がどうとか数学的な話も出てきてしまうので、ここでは概要は掴める、けど人にもちゃんと説明できるくらいの理解度を目指した説明としたいと思います。

まずChatGPTのGPTの部分についてですが、これはGenerative Pre-trained Transformerの略称で、日本語訳をすると生成的な事前学習済みのトランスフォーマーとなります。

TransformerはそういったAIのモデルであるので、そんなものがあると思っていただくとして、つまり事前に何かしらの学習をしているテキストベースでやり取りができるAIだと考えてください。

では、事前にどんな学習をさせたらあんなに高性能に返答をくれるようなAIができるのでしょうか。

簡単にいうと文章の穴埋め問題をたくさん解かせたというのが結論です。

例えば、「私()IT企業の社員です」()の中には何が入るでしょうかという問題があるとしたら、大体の確率で「は」や「が」が入ると違和感のない文章が出来上がるとわかります。

AIにもこのような問題をたくさん解かせました。
そうするとAIは最初はあまり賢くないので、間違えまくるのですが、学習を繰り返していくと、この()の中を正しく埋めることができるようになります。

つまり学習済みの情報により、次にどういった単語が来れば違和感なく文章が作れるかという、「次単語予測」を行なっているのです。

このように精度高く次単語予測を行うことで、ランダムな質問や会話内容に対しても違和感なく文章を作り上げ、対話することが可能なのです。

逆にいうとAIはいつも正しい情報を出力するわけではない(ハルシネーション)と言われますが、これも基本的にLLMが次単語予測しかしていないことに起因します。

例えば私の名前を使って、Youtube登録者数100万人の人気Youtuberぴょたに対して簡単に教えてと聞くと、以下のような回答が返ってきます。
私は確かにYoutubeチャンネルは解説していますが、登録者数は30人しかいないので、これは全く嘘の回答であることがわかります。

ぴょたは、YouTube登録者数100万人を超える人気のYouTuberです。
彼(彼女)は、多彩なコンテンツで視聴者を楽しませており、特にユニークなキャラクターや興味深いトピックで注目を集めています。
動画は、エンターテインメント、教育、ライフスタイルなど多岐にわたり、多くの人々から支持を受けています。
ぴょたの成功は、独自の視点とクリエイティブなコンテンツ制作によるもので、ファンとの強い絆を築いていることも特徴です。

なぜこのようなことが起こるかというと、それはLLMが次単語予測しかしていないからです。

結局のところLLMは次に来る単語は確率的にみて、どの単語なら違和感がないかというところを判断しているので、違和感はないけれど、事実には反しているみたいな出力をすることがあります。

以上より、ChatGPTのようなLLMは次単語予測を行うことで、違和感のないやり取りができるということがお分かりいただけたかと思います。

AIをうまく使える人間とは?

上記のAIの仕組みを理解した上で、AIをうまく使える人間とはどんな人間なのかというところを見ていきます。

明確に指示を出すことができる人間

AIをうまく使える人間の特徴その位置は、明確な指示をすることができる人間です。

先にも述べたようにAIは基本的に次単語予測しかしていません。
さらにその次単語予測というのは、ユーザのインプットを基に行われます。

つまりユーザのインプットが曖昧であれば、そこに対して次単語予測をしていくので、もちろんその回答は曖昧になるし、逆に指示が明確であればその明確な指示に対して次単語予測を行うので、明確でわかりやすい回答が返ってきます。

ChatGPTなどのLLMが言語の翻訳やプログラミングが得意なのは実は、言語の翻訳やプログラミングはある程度回答が決まっていて次が予測しやすいので、得意であると言えます。

話をまとめると、指示が明確にできる人間はAIを有効的に使うことができるものの、指示を出すのがあまりうまくないとAIからいい回答は得にくいということになります。

何度も諦めずにAIと対話できる人間

先ほども少し触れましたが、AIがいつも正しい回答をくれるとは限らず、間違えた回答を提示してくることも考えられます。

ただ、そういったときはAIから理想的な回答が得られるまで、対話をする力も必要になります。

例えばAIからの出力で一部気に入らない部分があったら、〜は良いけど〜の部分はもう少し〜な感じにしてくださいと指示をし直したり、例などを与えて改めて質問や指示をしてみるといった具合です。

こうすることにより、対話のインプットからAIは次単語予測を始めるため、AIからの回答は、対話を繰り返すうちに良くなっていくことは非常に多いです。

AIをあまり使えないと感じる人は、一回の質問で良い回答が得られなかった時に見切りをつけて使えないと決めつけてしまうのですが、対話しながら出力をよくしていくということを心がけて使ってみてください。

この辺りは人間のやり取りとあまり変わらない部分かなと思います。
一度で全て完璧にこなせる人間もいませんからね。

AI時代を生き抜くために必要な力

ここまで見てきた中で、AIは基本的に次単語予測をして違和感のない形で文章を生成していることがお分かりいただけたかと思います。

これを踏まえた上でAI時代を生き抜く上で重要な能力について考察していきます。

AI時代を生き抜く上で重要な能力、それはズバリ論理的思考力です。
論理的思考力とは、文字通り論理的に物事を考える力や本当にそうかと物事を疑える力(クリティカルシンキング)、はたまた物事を俯瞰的に見て判断できる力などが内包されています。

先ほどからの説明の通り、AIが行なっているのは次単語予測であるため、やっていることは論理的であるというより、むしろ超感覚的に情報処理をしています。

試しにChatGPTに論理的思考力を必要とする問題を5問解かせてみたのですが、正答率はなんと40%(2問正解)でした。

このようにAIの動作原理から考えても、AIの弱点は論理的思考力であることが明白ですし、AIは間違えた回答も提示してくるので、この回答を鵜呑みにしないことも必要です。

つまり「AIがこう言っていたから」というのは論理にはならないため、論理的思考力は今後より必要とされるのではないかと思います。

私がこの記事の最初で人間がAIに完全に代替されることは個人的にないと思うと言ったのは、論理的思考力を持って最終的に判断するのは人間がやらなければいけないことだと考えているからです。

以上より、AI時代を生き抜くために必要な能力は論理的思考力であると私は考えています。

まとめ

今回はChatGPTなどのAIがどのようにして動作をしているのか、その原理について簡単に解説しました。

さらにその動作原理を踏まえた上で、AIをうまく使いこなせる人間とはどんな人なのか、またこれからのAI時代を生き抜くためにはどんな力が必要かも考察しました。

AIがどんどん進化していき、AIが先ほど述べたようにハルシネーション(誤った情報の提示)を起こすことも考えると、何が答えなのかわからないみたいな状況に直面することも考えられます。

そんな時、やはりAIからの回答を鵜呑みにせず、自分で考えて論理で裏付けされた持論を持つことは今後より重要になると思うため、論理的思考力は今後も必要となるでしょう。

IT企業の一人の会社員として、AIに振り回されるのでなく、論理的思考力を鍛えながら、うまくAIを活用し、未来を明るくできたらなと願い、この記事を締めさせていただきます。

最後までお読みいただきありがとうございました。


この記事が参加している募集

#AIとやってみた

27,472件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?