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ひやむぎ、名古屋に行く~1日目~

どうも、私です。

今日は、「ほぼ初めての名古屋で、芸術的なエロを浴びてきた話」をします。


夢だけど夢じゃなかったです(?)。


お付き合い下さい。

姉「仁左衛門様ぁぁぁぁぁ!!!!!」

私「玉三郎様ぁぁぁぁぁ!!!!!」

ある日。
姉妹揃って、ある発表を見て叫んだ。

それは、名古屋にある御園座で、


『片岡仁左衛門 坂東玉三郎 錦秋特別公演』


が上演されるというものだった。
演目は、私達姉妹が歌舞伎にハマるきっかけとなった『東海道四谷怪談』
そして、舞踊の『神田祭』だった。

姉「これは見に行くしかない!!!!!」

私「大声。笑」

姉「え、むぎは見たくない?」

私「見たいけど」

姉「見たいんかい。笑」

母「お母さんも見たいけど」

姉「お母さん!?笑」

私「話、聞いてたんかい!笑」

やり取りを聞いていた母は、私達を見ると言った。

母「お母さんも見たいけど」

姉「大事なことなので、2度言っていくシステム。笑」

私「じゃあ、行こう。笑」

と母と姉、私の3人で名古屋へ出かけることになった。
(父は、ホラーが苦手と言うことで留守番)


代表者・姉が見事チケット争奪戦に勝ち(?)、席を確保。
新幹線とホテルを予約し、当日を迎えた。

姉「ヤバい、緊張してきた」

私「いよいよ、生の『仁左玉』だよ」

姉「仁左衛門様♡」

私「玉三郎様♡」

母「お姉ちゃんとむぎは、東京に行った時も、こんな感じのテンションだったの?笑」

姉「ええ」

私「もちろん」

ヤバい奴らだな、と言いたげな母と3人仲良く新幹線に乗り、名古屋に到着。
残念ながら天気は雨だったが、私達のテンションは最高潮だった。

姉「え、待って。思ったよりいい席じゃない?」

私「本当だ」

母「え、近っ」

1階上手側の席に着くと、大阪松竹座で『七月大歌舞伎』を見たときよりもさらに近く感じる席に、私達3人は驚いた。
(↓『七月大歌舞伎』を見たときの感想はこちら)

姉「こんな良い席で、芸術的なエロを浴びてしまったら死ぬ」

私「気持ちは分かるけど、生きて」

母「緊張してきた」

姉、私「私も」

カップル、友達、ご夫婦、ご家族で来られたであろう方達。
着物を着たご婦人方で、御園座の客席は埋まっていく。


響き渡る拍子木の音とともに、私達は舞台を見つめた。


※ここからは、ネタバレになります。ご注意下さい。


『東海道四谷怪談』


  • 生で見る『東海道四谷怪談』

あらすじはある程度ご存じだと思われるし、前回の記事でザッとではあるが触れたので今回は省くが、
(↓初めての『東海道四谷怪談』についてはこちら)

今回は、


『四谷町伊右衛門浪宅の場』
『伊藤喜兵衛内の場』
『元の浪宅の場』


で構成されていて、『戸板返し』が見られる『隠亡堀の場』は含まれなかった。

『戸板返し』:『東海道四谷怪談』で見られる仕掛けのひとつで、隠亡堀で流れついた戸板を伊右衛門が1度目にひっくり返すとお岩が、2度目にひっくり返すと自身の手で斬殺した小仏小平が、3度目にひっくり返すと髑髏が出て来て、伊右衛門が2人の亡霊に悩まされるという場面に使われるものです。
TV版で見たときは、戸板が返されたのは小平が出て来る2度目まででしたが、それでも十分凄い仕掛けでしたし、怖かったです。


姉「『戸板返し』がないーーーーー!!!!!」

私「マジかーーーーー!!!!!」

姉「あ、お母さんはTV版の録画が残っているので、後で見ましょうね」

母「あ、はい。笑」

と旅行前に、話していた。

今回も、伊右衛門(片岡仁左衛門さん)が傘を張るところから始まったのだが、TVで見たとき以上に放たれる色気が凄まじく、私も姉も頭を抱えた。

姉「はい、エロい!!!!!」

私「傘を張っているだけなのに、何だこの色気は!!!!!」

母「私が知っている、伊右衛門じゃない!!!!!」

登場しただけで、私達3人は完全にやられた。

舞台上での伊右衛門の振る舞いは、悪そのもの。
病に苦しむ主君の為に、と家宝の薬を盗もうとした小仏小平(中村隼人さん)に対して手下に暴力を振るわせた挙句に自らの手で斬殺したり、お岩(坂東玉三郎さん)を邪慳に扱い、自身の子を鬱陶しがったりとやりたい放題。

姉「伊右衛門のやってることは酷すぎるんだけど、仁左衛門さんの色気が凄まじいからもうどうでもいい。…良くはないか。笑」

私「良くはないよ。笑」

お岩の健気さも、TVで見るよりも拍車がかかっていて、薬を飲む場面に差し掛かったとき、本当に大声で、


「飲んじゃダメ!!!!!」


と叫びそうになったし、飲んでしまったときは心の底から絶望した。

でも、それ以上に玉三郎さんを生で見られたことが嬉しいのも事実だった。

私「玉三郎さんって、実在するんだね(?)」

姉「実在するみたいよ(?)」

母「本物の女の人じゃん(?)」

と生で見る玉三郎さんに、私達は口々に感想を言い合った。

生で見る『髪梳き』の哀しさと恐ろしさ、伊右衛門と自身に薬を渡した伊藤家への恨み。

お岩「なに安穏におくべきか」

と感情の奥底から出しているような、低く響く声。

お岩が本当に健気で、儚げで、恐ろしくて堪らなかった。

そして、『戸板返し』がないことによって、伊藤喜兵衛(嵐橘三郎さん)と孫娘・お梅(片岡千之助さん)をそれぞれ小平、お岩の怨霊と勘違いして斬殺してしまった伊右衛門が飛び交う人魂を前に、

伊右衛門「執念深い奴らだな」

と台詞を言い放つ場面で終わるのだが、こちらはこちらで新鮮だったし、伊右衛門はやっぱり『色悪』だった。


  • 誰が1番、恐ろしいのか

前述での記事でも書いたが、この物語の中では伊右衛門はもちろんだが、お岩に毒を飲ませた伊藤家もなかなかの一家として描かれていて、私はTV版を見て以来、彼らのことが本当に嫌いで堪らなかった。


だって、体にいい薬だって言って毒飲ませるんだよ!?
鬼やん。


そして、今回の『東海道四谷怪談』終演後。
姉が言った。

姉「よくよく考えたらさ」

私「ん?」

姉「伊右衛門は確かに悪いけどさ、喜兵衛からお梅との結婚の話が来た時、お岩がいるからって断ったじゃん?最終的にお金目的で、結婚するけど」

私「確かに!断ってた!」

TV版ではすっかり見落としてしまっていたが、確かに伊右衛門はお梅との結婚話が持ち上がった時、断っていた。

姉「でさ、玉三郎さんのインタビューを読んでたらこんな一文があったわけ」

見せてもらったパンフレット内のインタビューで、玉三郎さんはこう応えていた。


玉三郎さん「お梅の母・お弓を演じる方達から、よく『お弓は毒だと知っていて、お岩に薬を渡したらいいですか?知らずに渡したらいいですか?』と聞かれるのですが、私は『知らずに渡して下さい』と答えています」


私「なるほど」

姉「ってなってくるとさ、玉三郎さんが演じるお岩に対しては、お弓は何も知らずに薬を渡してるわけじゃない?喜兵衛に差し入れて来い、って言われて」

私「そうね」

姉「そうなるとさ、」


この物語の1番の悪は、喜兵衛じゃね?

…ますます嫌いになったわ、伊藤家。


姉「もちろん、伊右衛門が悪いのは前提として」

私「それは、そう」

姉「逆に良い人として見られるのは、按摩宅悦(片岡松之助さん)」

私「あの人だけだもんね。お岩を心配してくれたの」

と私達は語り合った。

そして、今まで以上に伊藤家が嫌いになった←



『神田祭』


  • 生で見る『仁左玉』

先述の通り、『七月大歌舞伎』では仁左衛門さんを。
仁左衛門さんと玉三郎さん、通称『仁左玉』を見ることが出来た今回の公演。

恐怖一色となった会場を、一気に華やかにしたのがこの『神田祭』という舞踊だ。

粋でいなせな鳶頭(片岡仁左衛門さん)の登場に、拍手と歓声が起こる。

姉「うっ……!!!!!」

私「お姉ちゃんが、仁左衛門さんの色気に撃ち抜かれた!!!!!」

母「格好いい……!!!!!」

登場しただけなのに、伊右衛門とはまた違う仁左衛門さんの色気に、姉は言葉を失い、私と母はただ呆然とした。

仁左衛門さんの踊りは初めて見たが、とても華やかで美しく、そして格好良かった。

姉「え、待って。死ぬ」

私「生きて!笑」

と言っていると、花道から芸者(坂東玉三郎さん)が登場。
それを鳶頭は笑顔で迎えた。

私「うっ……!!!!!」

姉「むぎが、玉三郎さんの美に撃ち抜かれた!!!!!」

母「え、後光が差して見える(?)」

私「天女じゃん(?)」

姉「天女だ(?)」

本当に母の言葉通りで、花道から登場した玉三郎さんには後光が差して見えた。


やっぱり、玉三郎さんは天女なんだ(?)。


そして、目の前では鳶頭と芸者が楽しそうに踊っている。

姉「『仁左玉』って実在するんだね(?)」

私「本当だね(?)」

ずっと何を言っているのか分からない感想を言いながら、私達は2人の舞を見つめた。
時折、互いの舞を見守るのに椅子に腰かける場面があるのだが、仁左衛門さんが笑顔で扇子を仰ぎながら、玉三郎さんを見つめていたのがとても印象的だった。
(その場面を思い出してはニヤニヤしている変な女は私です。こんにちは←)

鳶頭が座る椅子を男衆が持ち上げたり、立ち回りを演じたり、と様々な見せ場がある本作。
その度に拍手と歓声が起こり、先程までの恐怖で震えていた客席は一気に華やかになり、笑顔が溢れていた。

そして何より、鳶頭と芸者がずっとイチャイチャしていて(?)、私達は叫びたくなるのを必死に抑えた。

姉「イチャイチャしちゃってさ!くぅーーーーー!!!!!」

私「これが、『仁左玉』の威力か!!!!!」

母「綺麗すぎかって!!!!!」

終盤。
鳶頭と芸者は花道まで来ると、互いに頬を寄せた後、客席に向かって挨拶をした。そして手を繋ぐと、2人は拍手と歓声の中、花道を歩いていった。


終演後。

姉「くぅーーーーー!!!!!最後の頬を寄せた『仁左玉』のブロマイド欲しい!!!!!出たら、絶対買うし、出して下さい!!!!!」

私「大声!笑」

姉「お母さん、初めての歌舞伎はどうだった?」

母「めちゃくちゃよかった!!!!!」

感想を言い合いながら笑っていると、姉がパンフレット片手に言った。

姉「ではここで、仁左衛門さんの色気の秘訣についてのお言葉をどうぞ」


仁左衛門さん「色気について聞かれても、僕には分からない。出し方もよく分からないし、出せているのかも分からない」


私「分からないの!?」

姉「分からないらしいですよ」

母「分からなくてあれは、ヤバいよ」

姉「分からないから、聞かれても答えられないんですってよ!!!!!」

私「無自覚であの色気とか、殺す気か!?」

姉「『仁左玉』推しを殺す気ですよ、あの方は!!!!!」


『仁左玉』推しの皆様は、お2人の「神田祭」を見る際はお気を付け下さい(?)。


そして、姉に頬を寄せ合う『仁左玉』のブロマイドを下さい!!!!!(大声)



よろしければ、お願いします。 お願いします!!(圧