『東海道四谷怪談』の話

どうも、私です。

今日は、「歌舞伎を見てみたら、芸術的なエロにぶん殴られた話」をします。

お付き合い下さい。

ふと、新聞の番組表を見たときだった。


『東海道四谷怪談
 出演:片岡仁左衛門 坂東玉三郎』


と書かれているのを見て、私はすぐに姉に連絡した。

私「東海道四谷怪談、やるってよ」

姉「マジか」

私「しかも、歌舞伎」

姉「絶対見る」


  • 子供の頃からオカルトが大好き

  • おばあちゃんの英才教育により、古典怪談にも明るい

  • 歌舞伎に興味がある


この3点セットが揃っている姉には、今回の演目は打ってつけだと思った。
それに、歌舞伎での『東海道四谷怪談』をテレビで見られるのは滅多にないし、敷居が高い印象の歌舞伎をきちんと見られる絶好の機会だ。

私は、早速映像を録画し、観賞した。

そうしたら、圧倒的な美しさ(姉曰く「芸術的なエロ」)と演技力でぶん殴られた。


※ネタバレ祭りにつき、ご注意下さい。


  • 開幕と同時に、圧倒的色気を放つ伊右衛門(片岡仁左衛門さん)

足を組んで、傘を張る仕草。
妻・お岩や自身の子供を鬱陶しがり、邪慳にする視線と言動。
冷酷な笑み。


どう見ても、どう聞いても悪党。


なのに、片岡仁左衛門さんが演じる伊右衛門は色気大爆発。


え、伊右衛門ってこんなにエロかった?←


と姉も私も思わずにはいられない、初めての伊右衛門像だった。


そりゃ、惚れるわな。
惚れずにいられるわけ、ないわな。


ちなみに、伊右衛門のような男性を「色悪」と呼ぶらしいです。
勉強になります。


  • 今までに見て来た中で、1番健気なお岩(坂東玉三郎さん)

初めて『東海道四谷怪談』を見聞きしたのが子供の頃だったこともあって、「怨霊」としての印象が強くて、「怖い」の一言でしかお岩を表現出来なかったのだが、今回は初めて、「女性」としての意識を持って見ることが出来た。


それくらい、坂東玉三郎さんが演じたお岩は、登場して間もなくから「女方」ではなく「女性」に見えるほどに美しく、今までに見て来たお岩の中で1番健気だった。


毒を飲んで、顔に異変が起きる場面でのお岩は、特にそうで、
「飲んじゃダメ!」
と画面に向かって、叫んだのも、「東海道四谷怪談」を見て、聞いて、泣きそうになったのは今回が初めてだった。


お岩は「怨霊」である前に、1人の男性を愛した「女性」だったのだ。


だのに、伊右衛門。お前。



  • 人間の醜さ全開の伊藤家御一行

上記のように、初めましてが子供の頃だったので、ざっくりとしたあらすじしか頭になく、彼らのことはすっかり抜け落ちた状態で見ていた今回。

「孫が伊右衛門を気に入ったから、結婚してほしい」
「お岩には、体にいい薬だと言って毒を渡しておいた」

という場面を見たとき、はっきり言って伊右衛門と同等、またはそれ以上に彼らのことが嫌いというか人間の醜いところが全開だなと思った。


この醜さは、『金田一耕助シリーズ』以来。


どれくらい醜いかと言うと、


何で、お前達の勝手でお岩をあんな目に遭わせないといけないのよ!!


とお岩を応援する側に立つくらい。

彼等に関しては、はっきり言って、同情の余地なし。


どんな目に遭おうと、お前達の蒔いた種だからね!!←


と今までになかった感情渦巻く『東海道四谷怪談』だったのだが、1番の収穫はやはり、片岡仁左衛門さんと坂東玉三郎さんの美しさと演技力だろう。


お2人の演じる伊右衛門とお岩は、私が知らない伊右衛門とお岩だった


そして、何よりエロかった。←
(姉も私もずっと、「エロい」と言っていたので、誰か殴ってくれ)


それを見られたことは、この上なく貴重な体験だった。

ちなみに私が、今回までに見たことがある歌舞伎は、こちらも映像だが『俳優祭』での『白雪姫』と『灰被姫 シンデレラ』の2作品。
どちらも、私のような歌舞伎初心者にも分かりやすいあらすじで、アドリブも多く、とても面白かったのだが、
特に『灰被姫 シンデレラ』で継母・金子(中村勘三郎さん)が登場していきなり、灰被姫・お国(坂東玉三郎さん)の姿が見えないのに対して、


「灰被り!どこ行ったんだい!このクソ忙しいのに!!」


と怒鳴った時はお腹を抱えて笑った。


1度、生で見てみたいな。歌舞伎。



よろしければ、お願いします。 お願いします!!(圧