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あなたのV推しは何処から?

 私は見た目から。今回はV推し沼の入り口に関する話である。私はVtuberの厄介オタクをしている者で、お陰様でV推しの知人もできた。そのV推しの知人の話を聞くと自分とはまた違った経路をたどり、違う入口からVtuber沼に沈んだようであり、その差が大変興味深いものに思えたので、今回はそれを掘り下げようと思った。

 基本的に私は見た目から入るタイプである。最初にハマったVtuberもキャラクターデザインをツイッターで見かけて、「お、(性癖に)刺さるやん」と思ってリンクを開いたにすぎない。そのライバーについては、キャラクターデザインのイラストから、おおよそ声や性格はこんな感じではないかと勝手にオタク特有の俊足妄想で想像していた内容と、実際そのライバーの話口や声や有り様とのギャップが大きく、第一印象で「触れてみたものの、思ったよりハマらなさそうだな」と高を括っていたところ、その油断が災いしてか、どハマりした。その後も数名推しが増えることになるわけだが、基本的に見た目が私にとってのVtuber沼への入り口の役目をした。

 何がコンテンツの入口の役目を果たすかについては、人それぞれである。Vtuberに関しては声の人もいるだろうし、シンプルに偶然だったり、布教を受けたり、その有り様は十人十色であろう。大きな声では言えないがPixivでズリネタを探している時に偶然見つけた絵のキャラクターがYoutubeの関連動画群に表示されて後からVtuberであることを知り、ついでに覗いてみてハマったという下種な入口を通ったこともある。その一件に関しては推しが増えたが抜けなくなってズリネタを1つ失うという結果に陥り、なかなかの葛藤を味わうのだが、これはまた別の話である。

 私はVtuberの厄介オタクである以前に1人の人間であり、1人の人間の好みの許容範囲というのは狭いとは言い切れないが、無限大であるとも言い難い。そこには限度がある以上、既に好きなものに似たものや、その付近のものから心惹かれる機会が多いわけだから、時間と共に一極化に近い感覚を主観的に感じることになるらしいと気づいた。これは平たく性癖というやつなのだろうが、自分の性癖への理解がある一定以上になると、それもマンネリ化するというか、固定概念として凝り固まるタイミングがどうも来るらしい。

 私はVtuberに関して、見た目から入ることが多い。見た目から入ってハマった経験が多いと、見た目でのみ判断してしまうタイミングが私にも来た。キャラデザが好みじゃないから、ハマらねぇだろうなと、知人から勧められたりしても先に先入観で見なかったりした。今まで通ってきた見た目という入口からしか自分は入れないのではないかと無意識に決めつけていた節があったのだと思う。というか、通ったことのある見た目という入り口以外からの入り方が正直わからなかった。

 しかし、見た目はむしろ苦手な方のキャラデザだったライバーにハマり始めている。勧められたこともあったが、見た目がね~と距離を置いていたのを後から少し後悔した。ハマるきっかけは月間まとめの切り抜き動画であった。私は自分のV推しについて見た目からしか入れないと思い込んでいたから、自身が見た目以外の入り口からも入れたということに大変驚いた。どこかで自分の通れる入口は見た目ぐらいのもんだと思っていたし、意図せず実際に通れたことのある入口のみ絞ろうとしていたのは、入口をくぐろうとして通れなかった際のダメージが大きいこともあって、私は他の入り口を覗き見ることにコンプレックスを感じて、なんとなく怯えていたのだと思う。ひょっとすると見た目以外の入り口が自分に向けて開いても、私は自分から遠ざけていたのかもしれない。

 コンテンツへの入り口がたった1つではないことなど、オタクならなんとなく理解できるだろう。しかし、自分が入れる入口もたった1つではないにしろ有限で、地雷や解釈不一致と称されるように、それらの入り口全てを自分がくぐれるわけではないということも同時になんとなく理解しているのではないか。好きでいるものやその界隈を嫌いにはなりたくないし、好きになりそうなものを前に、その入り口が自分用ではなく、その先に居場所がないという虚無感を感じることを避けたいと思うはずだ。きっと私はそう思っていた。

 コンテンツにつながる数多ある入り口のなかで、自分もそこから入れるのに、そのことを知らない入口というのがどうやら存在するらしい。自分の性癖は自分の想像より奥深い。心身を削ってまで無理に経験のない入り方を試す必要はないが、時が満ちて自分に向けて新たな門が開くタイミングもある。こちらが推せる時間も有限である以上そういう偶然か、ひょっとしたら運命かもしれないような機会に際し、臆病な心で出会いを自ら断ってしまうようなことを、これを機会に意識してでも、なるべく減らしたいなと強く思った。

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