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地方でみつけた豊かな暮らし

MyStory『無我夢中人#010』
村上亜耶 フリーランス編集者/ライター
長野県出身。東京、宝島社で編集者として働き「Steady」「アニエスベー」ムック本など、多くの人気誌を手掛ける。結婚を機に愛媛県今治市に移住。愛媛のライフスタイル誌「enon」を立ち上げるなど、ローカルに根差した執筆活動を続けている。

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雑誌に刺激された青春時代

村上さんが高校生の時に大好きだったファッション誌 『CUTiE』。
当時、”For Independent Girls” をスローガンに、個性的なファッションを好む10代女性を対象にしたファッション誌。村上さんは、そんな刺激的な雑誌を出版する「宝島社」で働くことを夢見ました。大学卒業後、出版社を経て、憧れ続けた「宝島社」に入社。配属された部署の編集長は、村上さんが大好きだったファッション誌「CUTiE」を手がけた人でした。

村上:「私にとっては、毎日、芸能人の方に会っているような気分でしたね」

村上さんは、編集者として、OL誌「Steady」や国内外で75万部を出版した「アニエスベー」ムック本など、次々と人気誌を世に生み出しました。常に締め切りに終われ、怒涛の生活ペースの中でもやりがいに満ち溢れ、充実した日々を過ごしていました。

ところが、結婚を機に縁もゆかりも無かった、愛媛県今治市に移住することになりました。穏やかな瀬戸内海に面した今治での暮らしは、東京とはまるで別世界の時空にいる様でした。

村上:「(出身の)長野は、海なし県なので、海にはすごく憧れがあったんです。だから、来た時には、この美しい瀬戸内の多島美にものすごく感動しましたね。」

村上さんは、愛媛に移住してからも、フリーランスの編集者/ライターとして東京の雑誌の仕事を続けていました。10年以上も前から既にリモートワークをしていたのです。村上さんには、執筆活動をするのにお気に入りのカフェがあります。『海のみえるカフェ』という店名通り、バルコニーから瀬戸内の穏やかな海が広がるカフェです。

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村上: 「窓際の席で海を見ながら仕事をすると捗るんですよね。無心で書けるというか。」

お子さんが伸び伸びと育ち、地元の方言を使いこなしていく中で、村上さんの仕事に対するスタンスも少しづつ変わっていきました。

村上: 「瀬戸内の海を見ながら、表参道を歩くOLの姿に憑依させながら書くことが、しんどくなって来て…」

今治での生活リズムにも慣れ、村上さんは、地元に根差した雑誌にシフトしていきました。そんな時、松山市のある出版社から雑誌創刊の依頼が舞い込んで来ました。当初、その出版社は、おしゃれで都会的なライフスタイル誌の発刊を企画していたのですが、村上さんは、愛媛でやるのであれば「ローカルで暮らす豊かさ」を伝えられるライフスタイル誌の方が良いのではないか?と提案しました。

村上:「愛媛で暮らしているから、『近すぎて見えなかった良さ』を伝える、もっと地に足が付いたところの豊かさに目を向けられる様な雑誌になればいいなと思いました。」

村上さんが手がけた愛媛のライフスタイル誌「enon」は、大ヒットし、シリーズ化されました。元々、愛媛出身ではない村上さんだからこその視点で、愛媛の人たちが、愛媛の良さを再認識するようなライフスタイル誌となったのです。

村上さんは、「編集者は、点々が点在しているものを、分かりやすい編集して、読者に届けやすくアウトプットするのが仕事」と言います。そして、村上さんにとって『編集とは?』と尋ねると

村上:「生きること!」

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村上:「知らないことを、取材して教えてもらって、それをみなさんに分かりやすく伝えることが私のライフワーク。それは、どこに住んでいても変わらない。」

十代で衝撃を受けたファッション誌との出会いから始まった村上さんの編集者人生。今日も、瀬戸内の穏やかな海を眺めながら執筆を続けている。


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