シェア
恒例の「落ち葉のリサイタル」が今年も開催される。ヒラリー・ハーンの奏でるヴァイオリンの…
険しい岩山を、わたしは必死に登っていく。 そんなわたしを樹木希林は、「だらしないっ」…
周りからいつも、「お前は、お金の使い方が下手だ」と言われる。 そうかもしれない。明日…
志茂田ともるに呼び出されて、喫茶店へと向かう。電話の様子から、どうもただ事ではなさそう…
最近、そのおじいさんとよく出会う。ぼさぼさに伸ばした髪も、胸もとまで届きそうな髭も真っ…
フード・コートでハンバーガー・セットを食べていと、そこへベビー・カーを押した母親がやっ…
近所にトンネルができていた。もともと空き地だった所で、マンションでも建つのかなと予想していた。まさか、トンネルとは意外である。 入り口に、「高さ1m以上の車両は通行禁止」と標識があった。 「それじゃあ、自転車だって入れやしない」わたしは呆れる。歩行者も、子供ならともかく、大人では屈まなくてはならない。 中を覗いてみると、繁華街のようにネオンは輝き、がやがやと喧噪が聞こえる。 「トンネルなんかで、いったい何をやってるんだろう」 不思議に思って、中へ入ってみた。 つい
ここは駅前のそば屋。さっき頼んだ天ぷらそばが、ちょうど運ばれてくる。 割り箸を取って…
月夜の晩、あぜ道を1人でとぼとぼと歩いていた。周囲の畑に植えられているのは真っ白なヒガ…
公園でフリーマーケットをやっていた。 「『自由の市場』かぁ。面白そうだから、ちょっと寄…
お椀を伏せたような真っ黒な山がそびえ並ぶ。突き出した岩も落ちている石も、ぼしょぼしょと…
携帯に着信があった。友人の桑田孝夫からだ。 「はい、もしもし」 「あ、おれだけど。ちょっ…
歩行者用信号が点滅を始めた。おばあさんはまだ、歩道の真ん中だ。腰が曲がり、杖をついてい…
「運転免許くらい持っていないと、何かと不便ですよ、むぅにぃ君」そう、志茂田ともるに言われる。 「免許なんか取ったって、どうせペーパー・ドライバーだしなぁ」わたしは渋った。もとより運動神経の鈍さには絶対の自信があり、1人で公道へなんて出たら走る凶器になりかねない、と不安なのだ。 「運転はともかく、社会人としてのステータスとして必要なのですよ。かく言うわたしだって、ここ何年もハンドルを握ったことがありません。ですが、レンタル・ショップの会員になるにも、役場で証明書を発行してもらう