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シュールな短編小説

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ファンタジー、そして時にはシュールな短編集。
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2020年12月の記事一覧

環状線に迷い込む

 桑田孝夫の運転で都内を走っている。目的地のない、のんびりとしたドライブだ。 「北本通り…

むぅにぃ
3年前

三毛ネコを追って

 ポッキー片手に三軒茶屋を散歩していると、花屋の前で見覚えのある柄の三毛ネコが。 「チレ…

むぅにぃ
3年前
5

セメント工場の謎

 町外れのセメント工場脇に、高さ10メートルほどの囲いがある。窓1つない、打ちっ放しのコン…

むぅにぃ
3年前
12

昆虫工場

 創業がいつなのかもわからない、それはそれは古いデパートの地下深く、わたしは先月からアル…

むぅにぃ
3年前
2

一発芸を考える

 今度の休みにみんなで集まって、一発芸を披露し合うことになった。今日はファミレスでその打…

むぅにぃ
3年前

時間をグダグダにする装置

 志茂田ともるの部屋で、「アンノウン」をぱらぱらとめくって読んでいる。彼が毎月買っている…

むぅにぃ
3年前

1日市長を務める

 どっしりとした革製のイスは、たいそう座り心地がよかった。それなのに、どうも落ち着かない。  高さを変えたり、お尻の位置をずらしてみたりと、かれこれ30分も繰り返している。  わたしは市長に任命されたのだ。といっても、1日かぎりだけれど。  肩には、「1日市長・むぅにぃ」と書かれた紅白のたすきを掛けている。  机の上の電話が鳴った。1階受け付けからの内線だ。  一息置いて、受話器を取る。 「はい、1日市長」 「むぅにぃ、じゃなくて、あの、1日市長。あなたにお会いになりたいと

茶々丸!

 もらわれてきた時は、両手にすっぽりと収まってしまう赤ちゃんネコだった。 「名前、なんに…

むぅにぃ
3年前
1

高架橋の向こうを目指して

 高架橋のすぐ下の遊歩道を、わたしはずっと歩き続けている。  橋桁と橋桁の間はコンクリー…

むぅにぃ
3年前
2

1冊分の隙間

 ゴロンと寝そべったとき、それに気がついた。  上から2段目、ミステリー文庫ばかり作者も…

むぅにぃ
3年前
4

道に迷ってAmazon

 目と鼻の先のコンビニへ買い物に行こうとしたら、どういうわけだか道を間違えてしまった。 …

むぅにぃ
3年前
1

バクテリア・モンスター

 真昼の町中に、突如としてバクテリア・モンスターが現れた。 「逃げろー、襲ってくるぞっ!…

むぅにぃ
3年前
1

海底動物園

 腐れ縁の桑田孝夫とわたしは、清水港にある、エスパルスドリームプラザのタリーズでアイス・…

むぅにぃ
3年前
1

禁断の歌

 町内会の会長が「どうしたら、町をもっと活性化できるのか」と熱心に語っているさなか、わたしはずっとイルカのことばかり考えていた。  大海原を優雅に泳ぎまわるイルカ達。うるさい規則に縛られもせず、自由気ままに暮らせるなんて、ほんとうにうらやましい……。 「それじゃ、むぅにぃさんの意見を聞かせていただきます」会長がわたしを指名する。 「あ、はいっ」慌てて立ち上がったものの、何を話せばいいのかさっぱりわからない。  まごまごしていると、隣に座っているパン屋の奥さんが助け船を出してく