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ダレカB

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2022年2月の記事一覧

独り–ランプ/BUMP OF CHICKEN(B)

独り–ランプ/BUMP OF CHICKEN(B)

 彼らの歌を聴く度に「自分は独りである」と思わされる。

 周りに誰もいない完全なる「孤独」とは少し違う「独り」。

 この楽曲ではランプを自分自身の心の比喩として登場させている。夢と希望をパンパンに膨らませて歩いてきたつもりが、ふとした拍子に気がつくとポロポロとこぼれ落ちてしまっている事に気がついて絶望する。

 そんな真っ暗な状況で、もう一度立ち上がるのかどうかを決める時、周りの声ではなく自分

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「勇気の出る唄」–ナイフ/BUMP OF CHICKEN(B)

「勇気の出る唄」–ナイフ/BUMP OF CHICKEN(B)

 主人公の「僕」(若者と推測される)と「ナイフ」双方が共に鋭く危ういという共通のイメージを持つ。そんなこの曲のタイトルである「ナイフ」の表記が片仮名の「ナイフ」とアルファベットの「KNIFE」と二種類の使い分けがされいているのがとても興味深い。
 「ナイフ」と「KNIFE」の違いはなんなのか?わざわざ分けて書くからには意味があるのだと思うが……ちなみに筆者は「ナイフ」が成長したものが「KNIFE」

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不器用な想い–とっておきの唄/BUMP OF CHICKEN(B)

不器用な想い–とっておきの唄/BUMP OF CHICKEN(B)

 聴いた人が何の迷いもなくこの唄がラブソングと理解できる。ザ・ラブソング。
 この唄を聴かせたい「君」にベタ惚れしていることがこれでもかと伝わる「僕」のまっすぐな言葉の数々がボーカルの語りかける様な歌い方と相まって、少し気恥ずかしくなってしまうくらいだ。
 しかしこの唄、明らかにラブソングなのだが相手に好意を示す肝心な言葉を一切使っていない。使っていないのに「僕」が「君」の事をどんなに大事で大好き

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期待と存在価値–ノーヒットノーラン/BUMP OF CHICKEN(B)

期待と存在価値–ノーヒットノーラン/BUMP OF CHICKEN(B)

 ゆるめのメロディと大人しい歌い出しで始まるため、ここ一番の勝負の大舞台に立たされ汗ばむ様な緊張感が漂う描写の歌詞とは対照的なのが印象的だ。
 野球のワンシーンに例えられてはいるが、好きな事(つまりバンド)を自分のペースでやってきたつもりが周囲の期待が膨らみすぎて戸惑っている藤原基央自身の心の声にも聴こえる。そう考えると、期待に応えることが自分の存在価値だと思っているなかなかにシンドい状況だ。
 

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ヒーロー-リトルブレイバー/BUMP OF CHICKEN(B)

ヒーロー-リトルブレイバー/BUMP OF CHICKEN(B)

人は皆大小少なからず自分にとって守りたい存在を持っている。

家族やパートナーや友人などの大切な人達だったり、人ではなく自分自身の夢やプライドかもしれない。

そんな大事な存在が何ものかに脅かされようとする時、守りぬくために勇気を振り絞り立ち向かう。まさにヒーローになる時だ。

「守るためなら何でも出来る」そんな事も言えてしまうほどに守りたい存在。自分を"無敵状態"にしてくれる存在があるからこ

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成功したオタク-アルエ/BUMP OF CHICKEN(B)

成功したオタク-アルエ/BUMP OF CHICKEN(B)

世の中には「成功したオタク」という言葉があるのをご存知だろうか?

本来は推しに認知されたり推しと遭遇したオタクに対して使われる言葉だそうだが、筆者はこの曲を書いた藤原基央にも大いに当てはまると思っている。

なぜならこの曲がアニメ「新世紀エヴァンゲリオン」の登場人物綾波レイに向けて作られたものである事はあまりにも有名な話で、「綾波ガチ恋勢」である藤原基央が本気で推しの事を想い作り上げそして見事に

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アオハル-くだらない唄/BUMP OF CHICKEN(B)

アオハル-くだらない唄/BUMP OF CHICKEN(B)

楽曲としてはまったくくだらなくないが、自嘲気味に「くだらない唄」と題されたこの歌は、大人になる自分を憂い無駄に抵抗を試みていた"あの頃"の"むずがゆエピソード"を歌っている。

確かに大人になって振り返れば「くだらない」と一蹴してしまえる青春期の出来事も、その真っ只中に生きる時は大真面目で必死だ。
この歌の中で「僕」は真剣に「アナタ」に「10年後の再会」を提案する。待ち合わせるのは「僕」と「

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「童謡」-ガラスのブルース/BUMP OF CHICKEN(B)

「童謡」-ガラスのブルース/BUMP OF CHICKEN(B)

『天体観測』がバンドの代表曲なら、この『ガラスのブルース』はバンドの原点と言うべき曲である。

楽曲が誕生してから26周年を迎えた現在も、会場が温まった頃やライブ終盤のアンコールなどで頻繁に歌われており、出番の多さ故BUMPの楽曲の中でも古さを感じさせない一曲となっている。

またこの曲は「ガラスの眼をした猫」の生と死を歌った曲で、命が短く限りあるものだと自覚した上で時を惜しみ大きな声でブルースを

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