二人のマティーニ時間、文学と哲学の官能的な幸福を味わう
あれは、夏だっただろうか。。
はじめて、マティーニを作ったとき、とても緊張したことを覚えている。
シンプルな材料構成。ステア。アルコールが効いた、大人の味。
まさに「カクテルの王様」だ。
バーテンダーとして、マティーニを作ることは、目標であり、憧れだった。だから、はじめて作らせていただいた時は、とても嬉しかったが、
自身の技術の至らなさを痛感する瞬間でもあった。
レモンピール。上品な見た目。品位。お酒を知る人であって、はじめてわかる味わい。
わいわい皆で…というよりは、文学や人生哲学などを語りながら、
知性的に飲むイメージだろうか。
多くの人生を経験し、生きるうえでの幸福。痛みなどを知った大人の男女にふさわしいカクテルかもしれない。
当時の私には、あまりにも若過ぎた。
今ならば、マティーニを楽しむ、二人の時間を、カウンターからそっと見守ることもできたかもしれない。
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