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市松模様による脳の活性化

一方、これまでの研究により、老化に伴う認知機能の低下やアルツハイマー病などでは、脳脊髄液の流れの現象が報告されており、脳脊髄液の状態の改善によって、認知機能を改善できる可能性が指摘されていました。

そこで今回ボストン大学の研究者たちは、外部からの刺激を行うことで、脳脊髄液の流れを発生させる方法を調べることにしました。

これまで、

脳脊髄液による脳のお掃除効果は、主に睡眠中にしか起こらないと考えられていましたが、脳脊髄液の流れを起こすだけならば、目覚めている間にも可能なはずです。


といっても、人間をルーレット版に縛り付けて、無理やりに脳脊髄液を循環させるわけではありません。

理論的にはそれも可能かもしれませんが、

今回の研究では明減する白黒のチェック柄(市松模様)を用いた視覚刺激が行われました。これまでの研究により市松模様が、脳活動を活性化し、血流を促す

ことが知られていたからです。

視覚刺激による脳脊髄液の増加

もし活発な脳活動の後に多くの老廃物が残る場合、それを除去するために、一時的な脳脊髄液の流入増加が起こる可能性がありました。

実際の調査にあたっては、被験者たちにMRIに入ってもらいながら、1時間にわたり目の前のディスプレイで市松模様と何も写ってない状態が16秒ごとに繰り返される様子を眺めてもらいました。

結果、

視覚刺激が行われると、まず脳内の血流量が増加し、画面が暗くなると、脳血流量の減少が見られ、代わりに脳脊髄液の流入が増加しました。

脳脊髄液の流入は、睡眠時に比べてわずかであったものの、意図的に起こせることがわかったのは、今回の研究が初めてとなります。

ただ今回の研究は、人間の被験者を対象にしたものであったために、脳を摘出して老廃物が本当に増えたり減ったりしているかどうかを確かめることができませんでした。

しかし、

目覚めているときの視覚刺激が、脳脊髄液の流入増加につながったと言う結果は、今回の医療研究において、有望なもの

と言えるでしょう。

もしかしたら未来の世界では、認知症予防に置いて、VR体験の有効性が明らかになるかもしれません。



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