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「嫌いな自分」を受け入れていく<NVCシリーズ④>


<今までのNVCシリーズ>
【NVCとは?】基礎まとめ・動画や資料付き<NVCシリーズ①>
共感コミュニケーションが私の世界観をどう変えたのか<NVCシリーズ②>
褒め言葉の意図と、思わぬインパクトを考える。<NVCシリーズ③>

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自分のことを嫌いになっていく負の迷路に迷い込んだ。


昔、私は自分のことを「好きだ」と胸を張って言えなかった。

もっと優しくありたいのに、いじわるな私がいる。
もっと強くありたいのに、逃げてしまう私がいる。

例えばそんな時、昔の私は「なんで優しくなれないんだろう?」「どうしたらもっと強くなれるんだろう?」と考えていました。でもどれだけぐるぐる考えても、そこは抜け出せない真っ暗な迷路。

その迷路を歩き続けていると、それが当たり前になって、ある時から
「どうせ私は優しくないから。」
「私は弱い人間だから。」
「自分勝手だな、いつも自分のことしか考えてない。」
そんな風に自分のことを決めつけるようになりました。

そうして「優しくない自分のことを私は嫌いだ」が出来上がりました。

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またあるときは、「でも、優しくあるべきだよ」とか、「強くあるべきだ」「みんなのことをよく考えるべきだ」という言葉が聞こえたりもするので、よく自分をとりつくろって行動したりもしていました。

そうすると「自分は偽りだ。嘘つきだ。偽善者だ。そんな自分のことを私は嫌いだ」が出来上がりました。

そして『「自分のことが嫌い」なんていう自分が嫌い』という公式で、その嫌悪感は余計に強まって、もう負のループにズブズブでした。


「自分が嫌いだ」という主張に隠された私の強い願い

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そんな負のループにいた私も、今では「優しくない自分が嫌いだ」っていう自分のことを許せるし、受け入れられるようになりました。
「それだけ、優しくありたいっていう私の強い願いがあるんだ」
とわかったから。

「自分は偽りだ。嘘つきだ。偽善者だ。そんな自分のことを私は嫌いだ」っていう自分のことを許せるし、受け入れられるようになりました。
「それだけ、自分に誠実でありたいんだっていう私の強い願いがあるんだ」とわかったから。

そして、『「自分のことが嫌い」なんていう自分が嫌い』っていう自分のことを許せるし、受け入れられるようになりました。
「それだけ、自分のことを愛したいっていう私の強い願いがあるんだ」
とわかったから。

こうして自分のことを受け入れ、認め、許し、愛おしいとさえ思える瞬間が増えてきました。自分が大事にしたいこと、強い願いに気づいた時に、その迷路には光がさしていました。

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いじわるな自分に、愛を持って声をかけてみる

「私は自分に誠実でありたいし、同時に愛を持って相手と接したい」

そんな強い願いがあることはわかったけど、でもたまにいじわるな自分が現れる。だからそんないじわるな自分に次は声をかけてみます。決して「なんでそんないじわるなの?」なんて批判の気持ちからでなく、愛を持って。

「あぁ〜いじわるな自分がいるなぁ。もしかして今余裕がないんかな?あぁちょっとイライラしてたことがあるもんな。このままじゃ誰と話してもきっと『愛から接する』ことができないから、あとで後悔しそう。まず自分の声をしっかり聞いてあげよう。」

そして深く呼吸をし、自己共感のプロセスに入ります。と言っても、NVCの「4つのプロセスワーク」でやるような「観察→感情→ニーズ→リクエスト」の流れではなく、ダンスフロアのように、思考や判断も含みながら行ったり来たりします。

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ここからは複数の人が話してる感じだけど全て私の頭の中です。

A:いじわるな自分でいることが悲しい。もっと優しくありたいから残念だし、もう自分にがっかりする。もう本当にがっかり。何が「平和をつくりたい」だよ。

B:きっとその強い感情の奥には大事な願いや、気づいて欲しいことがあるんだよね。

A:うーん、あの時のあの対応で、温かみを感じられなくて傷ついたことを思い出した。その時の傷の分を仕返ししようとしてるのかも??

C:え〜仕返しとか子供っぽい!小学生かよ。

A:仕方ないじゃん。傷ついたことを理解して欲しいんだよ!

B:温かみのあるコミュニケーションを大事にしたい。それができなくて残念だったし、悲しかった。そのことを理解して欲しいっていうことかな。

A:そう。もう話しかけるのもちょっと怖い。でもそういうことができる関係性だって信じているからもどかしい。どうしたらいいのかわからない。

B:また傷つくんじゃないかって怖い気持ちがあるけど、この関係性をもう一度大事にしたくて、信頼関係を守りたくて、でもどうすればわからなくて、途方にくれているのかな。

A:うん、勇気が欲しい。あと、話しやすい環境をつくるサポートがあったら嬉しいのかも。あとは私のこの気持ちを誰かに暖かく聞いてもらって、相手に愛を持って無防備な気持ちを伝えられるように整理したい。

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ここまでくると、当初の「自分が嫌い」という感覚とは随分違います。
ただ私には大事にしたい感情とニーズがあって、それを必死に大事にしようとしていた。相手との関係性も大事にしたくて、もがいていたことがわかる。体感としてもあったかく、リラックスしてきます。

スタートは一緒のようだけど、ゴールがまるで違う。真っ暗な暗闇にいた気がしたけど、目を開けたらそこには光が満ち溢れていました。

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自分が嫌いな時、自信も失う感覚があります。「自分には何かが足りない」という不足感に苛まれたり、「誰かに認めて欲しい」という渇望を生み出したり、「あの人羨ましい」という嫉妬を生み出したりもします。

ただちょっと視点を変えて、「そこにある愛」にさえ気づければ、見える世界が一気に変わる。希望や、あたたかさ、勇気や安心がわいてきます。その感覚が伝わったら嬉しいなと思って書いてみました。

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「NVCのメガネを通して見える世界」が少しでも伝わったら嬉しいです。

<次のNVCシリーズ>
「どっちが正しいか」のゲームが浸透し、あらゆる暴力が容易になった。<NVCシリーズ⑤>

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