見出し画像

将来の夢。



『将来の夢は何ですか?』


小さい頃、よくそんなことを聞かれていました。
自分の夢を素直に口にできなくなってしまったのはいつからでしょう?
小学生の頃まではまだ素直でした。
あれもやりたい、これもやりたい、夢を一つに絞るなんてできっこない!
きっと何にでもなれると思っていたんでしょうね。
夢いっぱいでした。
ある意味健康な子どもだったんだと思います。

それから成長するにつれて、将来絶対になりたくないランキング、というものが自分の中でできました。

まず血を見るのが怖い、グロいの無理!という理由から、二位三位が医者と看護師。
当時獣医になりたいという夢があったのですが、血を見るのがダメだと気づいて諦めました。例え血が平気だったとしてその道を選んでいたとしても、毎日感情に振り回されて疲れ切っていそうな予感がしますが。

そして第一位が学校の先生、教師です。
とにかく学校の先生にだけはなりたくなかった。これにも理由があるのですが長くなりそうなので省略させていただきます。

大人になった今では、このランキングに限らずなりたくないと思う職業が増えてしまいました。
なりたいものよりなりたくないものが増えていく悲しい現実です。

ただ先日、【悲熊せれくしょん】という番組が放送されていてたまたま拝見していたのですが、これがまた童心に戻れるお話ですごく良かったのでご紹介させて下さい。

熊が人間の世界で共存して働いている、という世界観なのですが、主人公の悲熊はドジで仕事である魚を取るのも下手です。
到底生活が裕福とは言えず、節約のため昼食のお弁当は白ごはんにふりかけが少し。それでも彼はニコニコと喜んで食べます。
加えて運がすこぶる悪い。そのため「悲しい…」が悲熊の口癖です。見ていると不憫で可哀想になってしまう。
しかし悲しいだけで終わるのではなく、ちゃんと悲熊のそばには必ず助けてくれる優しい人や熊がいるのです。そこがすごく良いなあと感じるところでした。

彼は自分のできることをうまくいかなくても、ただやっている。
自分の食べたいもののために、ただただ頑張る。
助けてもらったら「ありがとう」とお礼が言える。

すごく当たり前のことなのに、こんな大事なことを置いてきてしまってたような気がします。

どうせできないんだからやめよう。
欲しいものを手に入れたら幸せを噛み締めずに次の欲しいものに手を伸ばす。
何かしてもらったら「ありがとう」より、迷惑かけて「すみません」を口にする。

本当に、いつからこうなってしまっていたんでしょうか。

自分ができることは少ないかもしれない。大きな影響を世界に与えることは難しい。恐れ多い。
それでも今私が持っている見えないものの価値の大きさはそれ以上だった。
できないことの数より、できることの価値の方がものすごい。
やりたくないことはやらなくていいから、やりたいことに一生懸命になろう。

そんなことを教わって、何だか悲熊に勇気までもらえたような気がしました。

現実はそう綺麗ではなく、汚いことも多い世界。
歳を取るにつれどうしても染まりがちになるけれど。

ただ純粋に物事をキャッチして、忘れていってしまいがちな童心を忘れずにいたいです。
透明のままクリアな世界で。


そういえば、これは甥の話になります。
彼にとっては祖父になる私の父に対し、

おじいちゃん、将来の夢は何ですか?

と真面目に聞いていたのを目撃して爆笑したことがあります。
これは新たな発見でした。

そっか。そうだよね。
おじいちゃんにだって将来の夢はあっていい。
仕事してても夢は持っていい。
何もおかしいことじゃない。
納得しながらも、言い方も相まって面白かったので盛大に笑いました。
どうかそのまま育ってほしいと願わずにはいられません。

夢に性別も年齢も関係ない。
何歳でも夢を持っていい。
そう感じさせてくれる、ほっこりした出来事でした。


「あなたの将来の夢は何ですか?」




サポートいただけるほどお気に召していただけたなら大変嬉しいです( ; ; )♡