違和感15
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でもなあ、そんなことできるわけないよなあああ。
なあ、愛子どう思う?
そうね、私も今はあなたのこと好きだけれども、いつかは嫌いになるかもしれないから補償はできないわ、けれどもあなたのそういう素直なところ、私は好き。
そうだよな、僕だっていつかは愛子を嫌いになるかもしれないな、でも、そんなことを考えたくはないよ。今、この瞬間、僕は、愛子と居たい、それだけでいい。
帰ろうか。じゃあ、またね。
家に帰ると、絵を見せるのを忘れていたことに気づいたけれども、まあいいか。
翌朝、いつも通り学校へ、まだ、楽兎の絵が飾られていた、僕が絵を描く理由は、学校に飾りたいとかそういうんじゃあない、ただ、僕は誰かを感動させたいだけなのだ。
武志に僕の絵を見てもらった。
おお、すげえじゃん、才能あるんじゃねえの?俺はバカだからわかんねえけど、ちゃんと勉強したら、いいところまではいけるかもな。
おお、そうだ、進路まだ決めてねえな、じゃあ、ノリで藝大に受験するわ!
家に帰り、絵を描くまでの経緯や、楽兎のこと、愛子のこと、色々と母親に話した。
藝大を受験するのは賛成してくれたし、お金はもともとあるから苦労はしなかった。
肩透かしというか、母さんはいつも、僕を応援してくれる。
でも、母さんの一言が気になった。
「藝大受けるのは賛成、あれね、楽兎君って、父さんに似ているわね」
僕が彼に抱く嫌悪感は、父さんを重ね合わせていたからなのかもしれない。
よろぴく!