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寒山の書斎から。2022.12.~coldmountainstudy的今月のピックアップ。

今年も終わりですね。最後の月のピックアップです。

今月は6冊・・・なのですが趣味のもの含め雑誌も購入してますので少ない印象はあまりないです。文庫・新書が多く予算的には助かりました。
(このシリーズ、元々文庫・新書のピックアップとして始まったのです。)

ではさっそく。

高橋久美子 「暮らしっく」 (扶桑社)


ESSEオンラインの人気”暮らし系”エッセーが待望の一冊に!
丁寧だけど丁寧じゃない。飾らない、無理しない。40代作家の高橋久美子さんの
クラシック(古風)な暮らしを綴ったエッセー集。

古い一軒家に住み、手作り野菜と食事、物は捨てずに物々交換、ご近所さんとの交流や、
東京と故郷・愛媛を行き来する二拠点生活のこと…
等身大の暮らしをすべて一冊にまとめました。

第1章 暮らしのこと
第2章 季節の食のこと
第3章 捨てない暮らし
第4章 ご近所さんとのこと
第5章 二拠点生活


高橋さんは夏に「一生のお願い」も出していて、いよいよ活発な感じですね。今回は生活エッセイ。

安達茉莉子さんの「私の生活改善運動」が人気みたいですね。いよいよみなさん”暮らし”に目を向けだしているのかな?という気がしてとても嬉しい。

やはりいろいろ難しい時代になって、自分も軸になるのは自分の周辺の”暮らし”なのかな?と感じ、実践しています。そんな中こういうテーマの本が増えるのは手放しに歓迎。

続いて最近では異色のチョイス。

二重作拓也 「強さの磨き方」 (アチーブメント出版)


格闘技×医師の著者が解き明かす「強さ」とは?

どうすれば強くなれるかを求めるならば、
そもそも強さとは何かを知らなければなりません。

私は医師でありながら、格闘技という強さを求める世界に身を置いて、
自らの強さを探求し、同時に強さを求める人たちを数多く観察し、治療してきました。
本書は格闘技ドクターという立場でつねに強さに寄り添い、観察してきた私自身の発見と答えです。
あなた自身の強さを再発見する機会になればさいわいです。

ジツは格闘技とかプロレスとか好きで。一時期は大分いれこんでいました。

単純に格闘技の本ではないのですが、フィルターとして格闘技は確実に存在する。そんな本。長すぎるので引用しませんがまたいわゆる”各界の著名人”のコメントが興味をそそられるものが多かったのもチョイスの要因のひとつ。


島村菜津さんはひさしぶりですねー。

島村菜津 「シチリアの軌跡」 (新潮選書)


映画『ゴッドファーザー』が象徴する〝マフィアの島〟が、今やオーガニックとエシカル(倫理的)消費の最先端へ――みかじめ料不払い運動に反マフィア観光ツアー、有名ピザ屋が恐喝者を取り押さえ、押収された土地は人気の有機ワイン農場に姿を変えた――『スローフードな人生!』の著者が10年以上の現地取材で伝える、諦めない人々のしなやかな闘いのドキュメント。新しい地域おこしはイタリア発、シチリアに学べ!

島村さんの、食べ物だけではなく「スローシティ」などイタリアの街の話、描写が好き。日本の話になると少しヒステリックと感じてしまうところがあるのですが、久々にイタリアの空気を吸いたくて選びました。


続いてはその、日本の街の話。

小松理虔 「新地方論 都市と地方の間で考える」 (光文社新書)


◎内容

「都市か、地方か」という二項対立の図式で語られがちな日本の地方問題。本書では複雑で多様であいまいな地方の姿を、10のテーマで「自分ごと」目線で考えていく。だれかの語る「都市か、地方か」の議論ではなく、自分なりのローカルな暮らしへの思考へ――。第18回大佛次郎論壇賞を受賞後、福島県いわき市を拠点に、ますます活躍の場を広げる著者の思考と実践の記録。


◎目次


はじめに

第一章 観光――受け入れる側として捉えるとき
第二章 居場所――「いる」と「やる」の間に生まれるもの
第三章 政治――「強さ」でなく「弱さ」をキーワードとして
第四章 メディア――ローカルを再定義して見えてきたもの
第五章 アート――想像力を持って「出来事化」する
第六章 スポーツ――それは「わたしたちのもの」でもあるのだから
第七章 食――「大量生産」をあえてポジティブに考える
第八章 子育て――「わたし」に吹く風を、もっと大切にできたら
第九章 死――不確実さをおもしろがってみる
第十章 書店――地方に都市をつくるサードプレイス

おわりに

小松さんは「新復興論」で感心させられる点がいくつかあったので購入。今回はジャンル別でアート・スポーツ・書店・・・と気になる項目があったのもポイント。

続いては”食”系。

北尾トロ・えのきどいちろう 「愛と情熱の山田うどん : まったく天下をねらわない地方豪族チェーンの研究」 (河出文庫)

関東ローカル&埼玉県民のソウルフード・山田うどんへの愛を身体に蘇らせた二人が、
とことん山田を探求し続けた10年間の成果を一冊に凝縮。

世界は二つに分けられる。
山田か、それ以外かーー

企画・解説:武田砂鉄

【目次】
文庫版のためのまえがき
まえがき
Ⅰ 山田が心配でならない
山田うどんが降りてきた!
いざ、山田本社へ
潜入!山田工場見学
山田で働く
Ⅱ 山田を考えられるだけ考えた
山田うどんの埼玉性について
うどんの国から
山田ロードサイド論
地方豪族としての山田
分け入っても分け入っても山田ーー「かかし」の源流を求める旅
特殊山田の研究
案山子デザインの謎とジョンソン基地
高村薫『冷血』と山田うどん
埼玉豪族の日常力
山田CMに関する資料研究(序の口)
山田遺産への旅
国道50号線・山田うどんの旅
Ⅲ 文庫書き下ろし 山田をまだまだ考える
アルカイック山田の時代
令和に蘇った勇者『TARO』

解説 山田の物語にはずっと続きがある

町中華シリーズもそうなんですが、トロさんの食の本はどこかゆるーくて、食はテーマなのにあまり食という感じに偏り過ぎてなくて、愉しい。対象に対する愛が中心というか。
山田うどんは埼玉エリアで力仕事のバイトしてた時にお世話になったお店でもありますしね。興味津々。

最後は、仲間の推していた本。

吉本隆明 「ひきこもれ-ひとりの時間を持つということ」 (だいわ文庫)

「一人でこもって誰とも顔を合わせずに長い時間を過ごす。『分断されない、ひとまとまりの時間』をもつことが必要なのだとぼくは思います。一人でこもって過ごす時間こそが『価値』を生むからです」「『孤独』ということを、どこまで自分の中に呑み込んで、つきつめていけるか。その上で、どこまで風通しよく生きていけるか。それを目指していこう」“思想界の巨人”が普段着のことばで語る、もうひとつの社会とのかかわり方。

自分は決してひきこもるタイプではないですが、家にいるのも一人でいるのも大得意。
この本を読んで何を思うかな?と。

本は以上ですが、雑誌も今回は紹介したいと思います。


BRUTUSは年末恒例の本特集。これは無条件で買ってしまいますね。
この手のブックリストでは一冊読んで「おっ!」と思う本が2・3冊見つかれば上出来と思っています。

TRANSITはいまだ”行ってみたい国”トップランクであり続けるフィンランド特集。これもいいですね。気になる特集たくさんなのですが、特に武田砂鉄さんのフィンランド・ヘヴィメタルの記事が気になりすぎる。(わたくし、メタルでもあるのです。)

最後に。

これは宣伝になりますが30代~40代の大人の子育てを豊かにする、普段使いのいいモノガイド本”雑誌「momo vol.26」で冬のアウトドアを楽しむ本の選書を担当させていただきました。



ナカナカ面白い10冊を紹介できたと思います。機会があれば手に取って見てくださいね。


以上、お付き合いありがとうございました。

来年もタイトル等は変わるかもしれませんが、このシリーズは続けて行こうと思います。

よろしくお付き合いのほどを。


http://www.coldmountainstudy.com/
coldmountainstudy@gmail.com 

coldmountainstudy  店主:鳥越将路

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