見出し画像

「縁食論」

藤原辰史 「縁食論」 (ミシマ社)

最近継続して”食べること”特に”食べ方”について考えています。

元々食べることは大好き。ただでさえ食うことばかり考えているのに。

”例の影響”で食べ方に制限がかかってしまったことも大きく影響しているのでしょう。

そこで出会った面白そうな本がコレ。「縁食論」。

サブタイトル的に孤食と共食のあいだ・・・とあります。そこで「ほう」と。

そもそもこの二者択一スタイルがおかしいな、と感じていました。

そして二者択一スタイルに代表される「さぁ、今決めろすぐ決めろ。どっちかにしろ。」はほとんどが胡散臭い、他者の利益に導くための手段のひとつだと考えています。

そこを丁寧に、ほぐしていってくれる。

個人的にはもちろん孤食も(一人家呑み最高です)共食も(モメてさえいなければ家族で大笑いしながらメシ食ってます)嫌いじゃないし必要だと思う。

しかし二者択一はおかしい。

その間のそう、コミュニティ論でよく使われる表現”ゆるいつながり”辺りが食においても基本であっていい。
むしろゆるいつながりくらいの連帯が現在社会・政治・経済・そしてもちろん個人・・・が抱える問題の多くに有効に作用していくのではないか?

自分の大嫌いな人物が(失礼)「お友達ごっこに興味はない」と言い放ったことが(シチュエーションとかは省きます。申し訳ない。)ずっと胸の奥につかえています。むしろその人物のいう「お友達ごっこ」こそが今後重要だと思っていることに今更ながら気付かされました。

こういう状況下だからこそ重要な気がする”誰と””どう”食べるか?

以前紹介した「つながるカレー」もそうですがまたいいヒントを貰えた気がします。

そして自分がなんとなくやろうとしていることもあながち間違った方向いってないな。と。

その他この本では給食や弁当の”暴力”、また家族・個人の頑張りで政治・経済に貢献すべしという欺瞞等にも鋭く切り込んでいきます。

既存の、いわゆる”常識”に騙されず、食う。

制度にただ従うのでなくその裏を行く。

してみるとこれは食を通じたアナキズムの本でもあるな、とすら感じました。一丸となってバラバラに生きろ、ですよ。

爽快な一冊。

最後にこの本の書評に必ず引用される一文を自分も引用してこの項を結びたいと思います。

「縁は剣よりも強し」

どっちか一方を殺してしまう必要は、ないのです。



http://www.coldmountainstudy.com/

coldmountainstudy@gmail.com 
coldmountainstudy  店主:鳥越将路

この記事が参加している募集

推薦図書

読書感想文

よろしければサポートをお願いいたします!いただいたサポートは蔵書中心に本屋としての体力づくりに使わせていただきます。