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『マウンテンバイクのはじめかた』 #3 マウンテンバイクの選び方

今回のステップ3では、レンタルバイクでマウンテンバイクの楽しさに目覚めて、相棒となるバイクが欲しくなった!という方に向けて、はじめてのマウンテンバイクの選び方をご案内していきます。

MTB選び方

マウンテンバイクのはじめかた ステップ3

トレイルライドにゲレンデダウンヒル、レースにダートジャンプ…など、マウンテンバイクの遊び方はいろいろあって、それぞれに最適なバイクがあります。
たくさん種類があって迷ってしまうと思いますが、
まずは【気持ちの良い山道を走るトレイルライドを中心に、ときどきゲレンデなどの専用コースにも行く】…という、マウンテンバイクの王道の遊び方ができるバイクを選ぶのがおすすめです。

それは具体的にどんなバイクなのか、詳しく見て行きましょう。

■ 「トレイル」や「エンデューロ」というカテゴリーのバイクを選ぶ

各ブランドのWEBサイトのマウンテンバイクの所を見ると、用途によってさらにいくつかのカテゴリーに分かれていると思います。

登りも下りもバランス良くこなせる「トレイル」や「エンデューロ」というカテゴリーから、バイクを選びましょう。

ちなみに、トレイルライドは山を自走で登って下る遊びです。
エンデューロというのはレースの種類で、数本の設定された下りトレイルの走行タイムを競うのですが、そのタイム計測区間への移動が自走で、登りもあるというレースです。
なので、エンデューロのほうがより下りの快適性を重視したバイクになります。

逆に登りと下り、それぞれに特化したレースである「クロスカントリー(XC)」や「ダウンヒル(DH)」用のバイクはここではおすすめしません。

■ サスペンションのトラベル量120mm~160mmくらいはあると快適

サスペンションが前のみにあるハードテイル、前後共にあるフルサスペンション、どちらでも良いですが、トラベル量は長ければ長いほど下りが快適になります。
ハードテイルかフルサスかで価格も変わってくるし、迷うと思いますが、登りよりも下りの方が好きで、ゲレンデとかも行ってみたいな~と思うのならフルサスにするのをおすすめします。
それからフルサスなら、ジャンプやドロップオフといったフリーライドにも安心してチャレンジできますよ。
ゲレンデには行かず、近所の里山をツーリングがてらまったり走るのがメインになりそうとか、担ぎながらの山岳ツーリングに興味がある!という方は、ハードテイルの方がいいかも。

■ 総重量15kg以下に抑えたい

軽量な方が良いのは乗り物全般に言える事ですが、エンジンのない人力の乗り物であるマウンテンバイクは、重さの影響が大きいです。
登りで軽い方が良いのはなんとなく想像できると思いますが、下りでも軽い方がバイクをコントロールするのに、働きかける力が少なくて済むので楽です。
特に筋力の弱い女性や、体力が落ちてきたな…という方は、なるべく軽量なバイクの方がおすすめです。

バイクを軽くする為に、フレームやホイールをカーボンにしたり、コンポーネントも上位モデルほど軽量になっていくのですが、比例するように価格も上がっていきます。。

はじめてのバイクなら15kg以下くらいが値段とのバランスも良いと思います。

■ 新車の価格 10万~30万円くらいのバイクがおすすめ

諸々のポイントを踏まえて、はじめてのマウンテンバイクにおすすめのバイクをいくつかピックアップしてみました。
ブランド名・モデル名・価格・重量・トラベル量を分かる範囲で載せています。

【フルサスペンションのおすすめバイク】
* CANYON・Neuron 6・¥199,000・15.26kg・前130mm/後130mm
* KONA・Process 134 29・¥235,000・前140mm/後134mm
* CANYON・Spectral 5・¥249,000・14.61kg・前150mm/後150mm
* TREK・Fuel EX 5・¥255,000・15.55 kg・前140mm/後130mm
* GIANT・TRANCE・¥270,000・14.2 kg・前150mm/後140mm

【ハードテイルのおすすめバイク】
* CANYON・Stoic 2・¥89,000・14.89kg・140mm
* ROCKY MOUNTAIN・GROWLER 20・¥102,000・15.5kg・130mm
* montbell・シャイデックMT-A 1000 ・¥107,000・13.57kg・120mm
* GIANT・FATHOM 2・¥145,000・130mm
* COMMENCAL・META HT AM ORIGIN・¥184,800・14.2kg・160mm

■ サイズ表記だけでなく、ジオメトリーもチェックしよう

マウンテンバイクはだいたいS,M,L…というサイズ表記になっています。
身長と股下である程度サイズは導き出せますが、バイク自体のサイズ表であるジオメトリーも必ずチェックしましょう。
同じ用途のバイクでも各社で少しずつ設計、味付けが違うので、比較すると結構おもしろいです。
GEOMETRYGEEKS.BIKE というサイトが、各ブランドのバイクのジオメトリーを、旧モデルまで網羅していて、比較しやすいのでおすすめです。

マウンテンバイクは海外ブランドが多く、手足の長い欧米人向けに作られているので、小柄なアジア人の我々は要注意です! 
私自身は身長152cmしかないので、バイクはサイズで選んでいるといっても良い位、ジオメトリーを入念にチェックします。

はじめてのバイクを選ぶ時、特にチェックした方が良いサイズは、スタンドオーバーハイトシートチューブ長です。

ジオメトリー

スタンドオーバーハイトが股下に対して短くて、余裕がある方が、乗車中にバランスを崩した時にとっさに足を付きやすくなるので安全です。

シートチューブ長はマウンテンバイクで下る時の乗車姿勢に影響します。
下る時はサドルを下げて、ペダルの上に立って両足を地面と平行に保ち、股関節と膝、肘を軽く曲げておくのが基本姿勢です。
路面状況に合わせて、股関節と膝、肘の曲げ具合でバランスを取るのですが、シートチューブ長が長すぎると、股関節と膝の「タメ」が十分に確保できず、バランスが取りづらくなります。

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上の写真は、身長152cmの私が、シートチューブ長393mmのバイクに乗った状態です。
サドルを限界まで下げていますが、ジャンプの踏み切りやバームで加重する時などに深くしゃがむと内腿がサドルにあたるので、本当はもう少しシートチューブ長が短い方がいいなぁと思いながら乗っています。

■ 日本で購入できるマウンテンバイクの主なブランドと販売店

* 日本支店があるブランド = TREK・SPECIALIZED・GIANT・CANNONDALE
→それぞれの直営店やマウンテンバイクショップで買えます。本国とラインナップが違う場合もあります。

* 日本に代理店があるブランド = SANTA CRUZ・ROCKY MOUNTAIN・KONA・TRANSITION BIKES・COMMENCAL・MONDRAKER・INTENSE・PIVOT・YETI・EVIL・IBIS ・YT ・CHROMAG …など
→マウンテンバイクショップで買えます。お店によって扱っているブランドや、趣向が違うので、もし欲しいバイクがある場合は問い合わせてみて下さい。
ショップなら、旧モデルのSALE品などの掘り出し物に出会えるかも。

* 直販のブランド = CANYON
→ブランドのWEBサイトで買えます。

* ヤフオクなどで中古のバイクを探してみる。(運がよければかなり安く買えますが、車のように試乗もできないので、ややハードルが高い?)

マウンテンバイクは購入後も、サスペンションのオーバーホールやベアリング交換など、定期的にメンテナンスが必要です。
自分でメンテナンスができる人は問題ありませんが、専用工具が必要だったりと結構大変です。
なので専門のメカニックがいるショップで購入するのがやはりおすすめです。
ショップによっては、他店で購入したバイクの修理はしてくれない、もしくは嫌がられる…という事があるかもしれません。
信頼できる親切なショップにめぐり会える事を祈ります。。

CANYONは直販しかありません。
代理店と販売店の中間マージンがない分、安く購入できるのですが、先ほど言ったようにメンテナンス難民になる心配があります。
とは言え、そんなに怖がらなくてもなんとかなります。なっています。
CANYONのバイクを何の問題もなく使用中なので、参考までに購入からの経緯を簡単に紹介しておきますね。

WEBサイトで注文すると、在庫があれば最短1週間ほどで届きます。
下のようなでっかいダンボールに、ほぼ組み上がった状態のバイクがしっかりと梱包されてやってきます。

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自分で付けるのは、ハンドル、サドル、ホイール、ペダル(別売り)くらい。
あとはタイヤに空気を入れて、サスペンションのサグ出しをすればOK。
組み立てる為の日本語の説明書や工具もついてくるので、はじめての方でも問題なくできると思います。

もし初期不良など、何か問題があっても、京都にキャニオンジャパンのサービスセンターがあるので安心です。
場合によっては、フレームごと送って…という事もあるので、納品時のでっかいダンボールは捨てずに、邪魔だけどベットの下にでも保管しておきましょう。

ベアリング交換など、自分でするのが難しいメンテナンスは、最寄りのマウンテンバイクショップにお願いしています。
ブランドの直営店以外のマウンテンバイクショップなら、バイクを持ち込む前に、他店で購入したバイクだけど大丈夫か、電話で相談するようにすれば、ほとんどのショップは引き受けてくれると思います。
あとキャニオンジャパンさんのサービスセンターでもメンテナンスを受け付けています。

サスペンションのメンテナンスなら、福岡にあるtakebow-tune bikeworksさんがおすすめです。
FOXでもROCKSHOXでも、ブランドを問わず、新品かそれ以上にチューンアップしてくれます。
サスペンションを郵送で送れば対応してもらえるので、全国どこからでもお願いできる、非常に頼もしいショップです。
takebow-tuneさんのような、メカニックの技術の高い、むしろ技術を売りにするようなバイクショップがもっと増えるといいですね。

* * *

さて、欲しいバイクのイメージはできたでしょうか?
各ブランドのバイクを比較して悩む時間も楽しいですよね。
いろいろ書いてきましたが、最終的に一番大事なのは、「カッコいい!乗りたい!と思えるバイクかどうか」です!
その運命のバイクは、きっとあなたをまだ経験した事のないエキサイティングな世界へと導いてくれるでしょう。

自分のバイクがあると、遊びに行けるトレイルの選択肢がぐんと広がります。
次回のステップ4では、バイク以外に用意した方が良いものや、はじめての愛車と一緒に遊びに行くのにおすすめのトレイル、脱初心者の方法をご紹介していきます。

(つづく)

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