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本屋大賞『成瀬は天下を取りにいく』を読んで思い出したこと

2024年の本屋大賞を受賞したという『成瀬は天下を取りにいく』

首都圏の書店でも大きなポップとともに紹介されているのを見かけますし、わたしの周りでも話題になりつつあるこの本。

読んでみて思い出したことのメモです✍🏻

青春は万華鏡

他人の目を全く気にしない成瀬、世間体をめちゃくちゃ気にする大貫、そのどちらでもない島崎。

他にもいろんな世代のいろんな人たちが登場していますが、わたしの印象に特に残ったのはこの若者3人でした。

個性を持ったひとりひとりが物語の中には点在していて、それぞれが色や濃さの違う線で結ばれていて、点も線も流動的に変化していきます。

その様子が誰の主観にも偏ることなくそのままの温度感で描かれていて、 ハッとあの頃を思い出せるような瑞々しい作品でした。

わたしたちが枝分かれする前、『青春』ってこんな感じだったか。

こんな感じだったなあ…。

『成瀬は天下を取りにいく』を読んでいると、さらさらと異なる煌めきを見せ続ける万華鏡を覗いているような気持ちになりました。

その世界の中でキラキラと眩しくて、次々に表情を変えて。

一粒でも、全体でも輝いている。

青春ってこんな感じだったんだなあ。

点と線から広がる絆

最後の方、成瀬が大貫に数学の問題の解法について助けを求めるシーンで、点と線が繋がって輪っかになった感覚がありました。

それぞれの価値観で自分が生きやすいように無理せず生きてる世界線で、誰が誰を羨ましく思う瞬間もあるし、うわ…と引いたり、なぬ?と怒ったり、申し訳なくなったり、好きになったりする瞬間もある。

物怖じせず何にでも挑戦して、やりたくなくなったらあっさりやめることができる成瀬を羨ましく思う人もいれば、島崎のように人間関係も住むところも大きい流れに身を委ねて結局いつも心地いいポジションをキープしている人を羨ましく思う人もいる。

そんな羨ましさや悔しさをバネにして、実を結ぶ努力ができて一歩ずつ目標に近づいて、あの変人成瀬から頼られる大貫みたいな人もいる。

それぞれの点は唯一無二だからこそ、繋がった時に予想だにしない化学反応が起きて、結ばれたり、切れたり、輪っかになったりする。

ひとつひとつの小さい関係性が放射状に広がって、その時代をともに過ごしたという大きな絆が生まれる。

『成瀬は天下を取りにいく』は、青春小説でありながら、自分が今この時、あるいは過去のある時を共有している人たちとの、時を超えた関係性の大切さや尊さを感じさせてくれる作品でした。

わたしの思い出レベルの感想

この物語の舞台となったのはわたしが高校までを過ごした地元の街です。

(だから絶対読みたい!と思ったというのもあります🫢)

どのページをめくっても、簡単に情景が浮かんできました。

ときめき坂、におの浜、膳所本町、分かる。

湖岸に停まっているミシガン、うみのこ、分かる。

なぎさ公園でまどろんでいる人、走っている人、分かる〜。

大きなところから細かいところまで、たっくさん懐かしい気持ちになりました。

西武大津店は閉店しちゃったけど、なかなか悪くない街だったよね?🙃

それと、わたしは物語の前半から、島崎よりもむしろ成瀬に共感というか見覚えというか、不思議な親近感が湧いていました。

物語の後半、成瀬が高校に入学したあたりでずっこけると同時にその気持ちは確信に変わりました。

成瀬が入学してわたしが卒業したその高校は、実際に成瀬のような変人・超人がたくさんいました。

(わたしが3年間過ごしたクラスは全員が成瀬レベルの変人でした)

(みんな今でも仲良しです)

成瀬が坊主頭で新入生代表の挨拶をしている姿、かるた班で無双してる姿、めちゃくちゃ想像できて🫠

それが嬉しくて面白くて、読みながらソファを静かに叩きました。

著者の宮島未奈さんは京大文学部出身だそうで、きっと優秀な方なんだろうな、、

宮島さんは成瀬のようなタイプなのか、それとも大貫のようなタイプなのか?

いや、島崎…?大黒さん…?

どういうきっかけで、どういう思いで『成瀬は天下を取りに行く』を執筆されたのか今気になってます📚

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