5. 1日4分で座ったままできるHIITをご紹介!
ランニングやウォーキング、ダイエットや脂肪燃焼を目的とした様々なエクササイズと同等の効果を、短時間の運動で期待できる高強度インターバルトレーニング(High-Intensity Interval Training, HIIT)の紹介です。
特に、運動のためにまとまった時間が取りにくい方やデスクワーカーのみなさん!!効果的な運動を習慣にするラストチャンスかもしれませんよーー!!
Tabata training ってすごい!
実は、4合目の記事で紹介した運動はHIITを取り入れています。
「20秒動いて10秒休む」という運動方法は、立命館大学の田畑教授が提唱している Tabata training という運動プログラムを参考にさせていただいています。Tabata training は、4分間で効果的に行える HIIT です。田畑教授の研究グループは、エルゴメータ(エアロバイク)用いて、有酸素運動*1 と無酸素運動*2 の両方の運動効果が得られることを報告しています。この成果は、20秒間の高強度運動と10秒間の不完全な休息の繰り返し運動を行うことで持久力向上も望めることを示しています(詳細は下記のコラムをご覧ください)。
脚注
*1 有酸素運動:酸素を使う軽度または中程度の負荷の運動。体内の糖質や脂肪が酸素とともに消費される。
*2 無酸素運動:酸素を使わずグリコーゲン(糖)を使う高負荷の運動。糖をエネルギーとして使い、乳酸を生成する。
4合目で紹介したそれぞれのタイプに合った運動を、20秒間最大に行える回数を行って10秒間休憩するというサイクルで行ってみてください!
1日4分 × 週3回 = 12分の運動で、
1. 持久力向上
2. 代謝機能向上
3. 筋力増強
が期待できる、座ったままでできる Tabata training となっています。ダイエットや脂肪燃焼を目的とした様々なエクササイズより、はるかに短時間で同等の効果を期待できますよ!!
HIIT for Mindy!
HIIT for Wendy!
4合目の運動メニューで Tabata training を行うときの注意点
Tabata training では、運動を高強度(= できるだけ速い動き)で行うわけですが、関節運動を最大に正しく行えなくては意味がないのです…。4合目の記事では、Mindy さんと Wendy さんのタイプ別に骨盤と肩甲骨を中心とした運動メニューをお伝えしました。意識するポイントはとてもシンプルで、
関節を動かすことができる最大の範囲まで動かす
ということだけです。しかし、筋力低下・運動様式・深部感覚障害によっては、関節を最大範囲まで動かすことができないことがあります。最大範囲まで動かすことができないのに動かそうと努力すると、トリックモーション(代償動作)と呼ばれる余計な動きが起こります。トリックモーションは、主動作筋の筋出力が低下しているときに補助筋が過度に働いてしまうことや、筋、皮膚、靭帯などの関節構成体の拘縮により関節の運動軸がずれてしまうことなどにより起こります。さらに、深部感覚障害などがあると四肢のボディ・イメージが崩れてしまい、行いたい動作が再現しにくくなることも原因として考えられます。
まぁ、難しいことは置いておいて、最初に行うときは、ゆっくりと関節運動を適切に行えているか確かめながら行っていただきたいです。考えるというよりは、感じるという表現が良さそうです。今ここの筋肉を使っているんだ…同時にここの筋肉は弛緩しているんだ…あぁ、自分はこの運動はこの範囲までしか動かすことができないんだ…と。
4合目の運動でHIITを行うためには、トリックモーションが生じず、関節運動を最大に行える動作を正しく認識する(= 感じる)ことが最重要です。
最後にもう一つ注意!Tabata training は血圧が上がるので、血管疾患をお持ちの方などは注意してくださいね。
ここまでできたら、座ったままでできる Tabata training を Let’s マウンテン!!!!
コラム|おい、HIITってなんだ?
Edward ら[ref.1]は、「高強度の運動」と「短時間の休憩」を繰り返すの高強度インターバルトレーニング(HIIT)を提唱しました。「運動時間」については、Thompson ら[ref.2]によると、高強度の短い運動と短い休憩や回復を含む30分以内の運動と定義されています。田畑教授の研究グループは、6-12週間のトレーニングにより、最大酸素摂取量(maximal oxygen consumption, VO2max)が9.2-15%、最大累積酸素借(maximal accumulated oxygen deficit, MAOD)が20.9-35.0%増加することを報告しました[ref.3]。この報告により、短時間の運動にも関わらず持久力向上にも効果的であることが示されました。「高強度の運動」については、Weston ら[ref.4]によると、最大心拍数の85-95%程度を引き出す強度で実行されることと定義されています。このトレーニング方法は非常に応用が利きます。なぜなら、強度設定さえ間違わなければ、運動メニューはカスタム可能だからです[ref.5]。準備運動なしで実施できる定義に則した運動を選択することで、ダイエットや持久力向上のためのランニングなどよりも短時間で効果的なトレーニングを行えます。
以上により、HIIT は短時間で効率的なトレーニングとして着目されています。おしゃべりマウンテンメンバーも運動不足にならないように実践中です!
Reference
1. Fox EL, Mathews DK. Interval training: conditioning for sports and general fitness. W. B. Saunders Company; 1974.
2. Thompson WE. Worldwide survey of fitness trends for 2018: the CREP edition. ACSMs Health Fit J. 2017; 21(6):10-19.
3. Tabata I. Tabata training: one of the most energetically effective high-intensity intermittent training methods. J Physiol Sci. 2019; 69:559-572.
4. Weston KS, Wisløff U, Coombes JS. High-intensity interval training in patients with lifestyle-induced cardiometabolic disease: a systematic review and meta-analysis. Br J Sports Med. 2014; 48(16):1227-1234.
5. Viana RB, de Lira CAB, Naves JPA. Tabata protocol: a review of its application, variations and outcomes. Clin Physiol Funct Imaging. 2019; 39(1):1-8.
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