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モルト?グレーン?

今回は、前回の最後にも出てきた『モルト』と『グレーン』のお話。
カタカナにするとなんだか難しく聞こえますが、簡単に言えば『原料』の違い。
焼酎を頼むときに「焼酎!」とは言わないのと同じです。

しかし一つややこしいのが、ウイスキーの場合、生産国によって定義が微妙に異なる事。(アメリカが特に)
今回はスコッチウイスキーを軸にご紹介していきます。


モルトウイスキー

大麦麦芽(モルト)のみを原料とするもの。
一般的に、単式蒸留釜で2回(ないし3回)蒸留します。
少量生産に適しており、伝統的な製法です。
大量生産や品質の安定が難しくまさしく職人達の技術の結晶。

ポットスチル


グレーンウイスキー

トウモロコシ、ライ麦、小麦などの穀物(grain)を主原料に、大麦麦芽を加えて糖化・発酵させたウイスキー。
連続式蒸留機(機械式蒸留)による蒸留を経るため、モルトウイスキーに比較して飲みやすいですが、特徴はあまりないです。
機械式なので安定した品質を大量生産するのに向いています。

連続式蒸留機


モルトとグレーン

伝統的な手法で手間暇をかけ技術を要するモルトウイスキーと工場での大量生産に向いたグレーンウイスキー。

モルトウイスキーは特徴がハッキリしているけどパイロットによってブレがでる、専用機、対して、グレーンウイスキーは平均的な能力と扱いやすさを追求した、汎用機、みたいな感じです。


さてそんなモルトとグレーンを使った代表的な製造方法(スコッチウイスキーにおける)をいくつかご紹介。

ブレンデッドウイスキー

モルトウイスキーとグレーンウイスキーをブレンドしたもの。
キャラ濃いめのモルト達をグレーンが繋ぎ合わせる接着剤のような役割をしています。
モルトのキャラクターを生かしながら大量生産や品質の安定を目的として生み出されました。

シングルモルトウイスキー

一つの(シングル)蒸留所で蒸留されたモルトウイスキーで加水やブレンドを行ったモルトウイスキー。
これが意外にややこしく、『シングル』を一種類だと勘違いしそうになりますが『一つの蒸留所』の『シングル』という言い方になっています。
なので、実際はいくつかのモルトウイスキーをブレンドしているんですね。

ブレンデッドモルトウイスキー

こちらは複数の蒸留所のモルトウイスキーをブレンドしたもの。
あまり数は多くありませんが、複数の蒸留所を抱える大手酒造メーカーなどがスペシャルで出すことがあります。
専用機で部隊を作るようなもので、バランスを取るのがかなり難しいようです。

シングルカスクストレングス

皆さんが『シングルモルト』のもつイメージなのはこちら。
一つの樽『シングルカスク』から直接瓶詰め『ストレングス』なので、要は『原酒』と言われるものです。
加水による調整もしないので、アルコール度数50%を超えるものが多いです。
また、ボトルには必ずナンバリングが施されています。

例)   (何本目)500/1000(その樽からとれた瓶の総数)

同じブランドの物でも樽により味わいが変わりますのでこのナンバリングはかなり重要になってきます。


この他にも蒸留所によっては独自の蒸留方法やブレンド方法があったりして全てを把握するのは困難。
実際の味わいに関しては優劣がつけられるものではないので、まずはお気に入りの一本を見つけて頂ければ。

次回はウイスキーのキャラクター付けにとって一番重要となる『樽』のお話。

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