童貞はフィリピンパブでも間違える
恋人ができないまま迎えた、初めての東北の冬。
忘年会シーズンに突入した街で、僕はあるデビューを飾った。
19歳にして初めて、「女性が接客してくれる店」に踏み入ったのだ。
当時、僕は繁華街の居酒屋でアルバイトをしていた。魚介系を売りにしたその店は、安くて量も多いということで、そこそこ繁盛していた。
我ながら、フロアの仕事は向いていなかった。食器をキッチンへ下げている間にお客さんに声を掛けられ、注文を頼まれる。1つならいいのだが、それが2つ3つ、テーブルも複数なんてなると