ヨシカワヨシオ『懐中小話』

Amazon Kindleでは、もう書籍では流通していない作品、またはいわゆるインディーズにあたる無名の書き手が出品する作品に出会うことが出来る。
今回のヨシカワヨシオ『懐中小話』は、テイストは漱石の『夢十夜』か以前に取り上げた飯田茂実の『世界は蜜でみたされる―一行物語集』にも似ているかもしれない140字1頁✕73編(当初記載の67編の誤記訂正)の掌編集で、私も詩集で利用しているBccks経由での出品作品だ。
「石榴」「勤め人」などくすりとさせるユーモアから「穴」のようなゾクッとさせる幻想的な作品まで揃うが、明確な結末まで話を通さず仄めかすだけの寸止めな(怪奇文学によくある)朦朧法による作り方は、読み手の想像力に余韻を託す。
とは言え、この形態は極めて現代的だ。
日常のちょっとした時間の合間で気軽に読書が出来るという電子書籍ならではの利点からの産物である。


懐中小話: 140文字の幻想奇譚集 https://www.amazon.co.jp/dp/B0789FKX7P/ref=cm_sw_r_other_apa_EDcoFb8W6E4Z4

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