かつての詩95「現在地」

「現在地」

誰かの小説が書かれた今から
わたしがそれを読んだ今は
例えそれがいつかの出来事だと省みても
すべては今の中で消化されている

何億光年離れていても眼に映る星の光は今
歩き疲れて立ち止まるのも常に今の中だった
先を見据えた心遣いも今の出来事で
過去も未来も今という時間軸にぶらさがっていることだろう
今は今であり今なのだと
今出来ることがすべてなのだと
もう何も迷うことは必要なかった

そっと空を見上げた冬に
そっと本を閉じた今が

MASANAO KATA©️ 2022
Anywhere Zero Publication©️ 2022

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