かつての詩43「静かなる水」

「静かなる水」


横たわる鏡面に映るは光
皺くちゃに歪み映えるを世の姿として
奥の奥で見えず
絶えずくるくる回り続けるものが
人の心とするのならば
水滴が落ちて広がる波紋や
風にそよいで小刻みに波立つのは
我が動揺かもしれない
自惚れるつもりはないが神秘なんて大袈裟だった
どんな質問にも答えちゃくれないし
斧を投げればヘルメスが拾って出て来るものでもない
寓話の世界で済まされない以上は
「その鏡に映るものは真実である」
映ることが許されない僕の言葉は
水に濁すことも流すことも出来ないまま
古い肌の角質みたいに剥がれ落ちて
溜め息みたいに仕方なく漂っている



Masanao Kata©️ 2013
Anywhere Zero Publication©️ 2018
電子詩集『静かなる水』
https://bccks.jp/bcck/158654/info

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