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読書三十六計

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有名・無名問わず本や文学にまつわるあれこれ。 強引に五文で仕留めます!
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記事一覧

安藤祐介『本のエンドロール』

一冊の本が手元に届くまでにどれだけの人の労力が携わっているか。 この本は、印刷会社で働く…

Masanao Kata
2か月前
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戸板康二『等々力座殺人事件』

取り上げるのが二冊目になる戸板康二の中村雅楽シリーズは、河出文庫より先日刊行された短編集…

Masanao Kata
10か月前
1

加多 正直 電子詩集三作

私事で恐縮ですが、今年の一月より三ヶ月連続で10篇にも満たない小さな電子詩集を刊行させまし…

Masanao Kata
1年前
2

門井慶喜『定価のない本』

世界屈指の古書店街 神田神保町。 戦後間もない時代、この本の街を舞台に一人の古書店主が商売…

Masanao Kata
1年前
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鯨 統一郎『月に吠えろ! ・萩原朔太郎の事件簿・』

先日、宮内悠介さんが明治時代に耽美主義の芸術家が集まった「パンの会」をミステリーに仕上げ…

Masanao Kata
2年前
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吉原幸子『吉原幸子詩集』『続・吉原幸子詩集』

先日、思潮社の現代詩文庫『吉原幸子詩集』『続・吉原幸子詩集』が重版されたということで、御…

Masanao Kata
2年前
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八島 游舷『天駆せよ法勝寺』

つい読み返したくなる短編小説があるものだ。 第9回創元SF短編賞を受賞したこの作品は、この一編の短編小説でAmazon Kindleより99円という衝撃価格で楽しめる。 “物理”を“佛理”としたところから惹き付けられるが、仏閣そのものが宇宙船となるという仏(ぶっ)飛んだ破天荒な世界観は、まさにテクノ法要を唸らせるが如く奇想天外。 仏の叡智は宇宙に繋がる仏教の宇宙観からしたら、この創造力を持ってきた癖の強いアプローチの異彩さは秀逸なまでにお見事。 そして私は、読み終える度に平沢

田村隆一『言葉のない世界』復刊版

オリジナルを以前に取り上げているので、 https://note.com/msnokata2027/n/n89c402a9de43?ma

Masanao Kata
3年前
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関取 花『どすこいな日々』

シンガーソングライターの関取花さんは、ライブのMCにも定評があるし、またラジオパーソナリテ…

Masanao Kata
3年前
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R.D.レイン『好き?好き?大好き?』

イギリスの精神科医R.D.レインが1970年代に書いた詩集は、みすず書房より二冊刊行されていた。…

Masanao Kata
3年前
6

生島治郎『浪漫疾風録』

海外の優れたミステリー小説を紹介するEQMM(エラリー・クイーンズ・ミステリ・マガジン)日本…

Masanao Kata
3年前
4

『芥川龍之介全集』第8巻

言わずも知れた文豪 芥川龍之介が詩を書いているというのに、この範疇はいささか認知が低い。 …

Masanao Kata
3年前
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橋口幸子『こんこん狐に誘われて 田村隆一さんのこと』

戦後から現代にかけた20世紀の詩人 田村隆一は稀代の天才である。 そして私にとっては詩の神様…

Masanao Kata
3年前
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銀色夏生『宵街歩行』

ここでも取り上げた音楽プロデューサー木﨑賢治さんの著書『プロデュースの基本』の中にその名が登場していたので、詩人 銀色夏生の詩集を手に取ってみた。 というのも、木﨑さんがプロデュースした大澤誉志幸「そして僕は途方に暮れる」をはじめ、一時期は作詞家としても活躍されていた銀色夏生。 今なおコンスタントに活動されるが、80~90年代には今なら最果タヒのような一線を牽引するポップな印象が記憶されるけれど、その詩は例えに当てはまらない。 今改めて読んでみても、詩は文学をクドく押し付ける