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万年筆の徒歩旅行

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万年筆くらぶ会誌『フェンテ』に投稿した雑感を順不同で転載するアーカイブ。 万年筆を筆記具より文化的な視点で話そうかと思っています。 マガジンタイトルは、中原中也の詩「自滅」から。
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#文学

その6:万年筆の試し書き

その6:万年筆の試し書き

近年の鉄ペンは金ペンに劣らぬ書き味になっているという話をネットで目にしたので、パイロットのコンバーターを買いに百貨店の万年筆売場へ赴いた際、鉄ペンの万年筆の試し書きもさせてもらった。
これには個体差もあるだろうから私見があくまでになるが、これまで鉄ペンを愛用したことがない私にはやはり硬さが気になってしまい、ちょっと厳しいと感じて購入を控えた。ただ今回はそれが話題じゃない。
ある程度の本数の万年筆を

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その5:俳句の万年筆

その5:俳句の万年筆

八年前に亡くなった俳人 星野 麥丘人(ほしの ばくきゅうじん)が第36回俳人協会賞を受賞した句集『雨滴集』には、

 ぺりかんは万年筆や年暮るる

「ぺりかん」と言われたら、もうあのペリカンでしかないので思わずほくそ笑んでしまう。
また句集『亭午』にも

 初句会万年筆の赤い軸

と、万年筆の句が収められている。 
麥丘人に限らず、万年筆の句というものは意外と多い。正岡子規の頃からペンやインクは俳

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