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君の放つ冬の星座 第二夜☆(3)

199☆年 秋宵


 ☆ ☆

 月の女神アルテミスは、狩りの名人オリオンに恋をしました。二人は、愛し合うようになりました。
 アルテミスには双子の弟アポロンがいました。アポロンは、恋多きオリオンを嫌っていました。また、アルテミスは純潔を守る女神のため、その恋を阻止しようとしていました。
 ある時、海で泳ぐオリオンをアポロンが見つけました。そこで、アポロンは弓の上手なアルテミスを騙すことにしました。
「弓の下手なお前でも、あの獲物を仕留められるかな?」
 泳いでいるオリオンを獣だと騙して、弓で射つように持ちかけます。
 まさかそれがオリオンだとは知らないアルテミスは、アポロンの挑発に乗り、見事に矢を命中させてしまいました。
 その後、自分がオリオンを殺してしまった事実を知り、アルテミスは悲しみのあまりに泣き濡れました。
 そこで、神々の長ゼウスは娘のアルテミスのために、オリオンを星座にすることにしました。
 月の女神アルテミスが夜を照らす時に通る天の道に、オリオン座が近くに来るようにしたと言うことです。

   ☆

 教えてもらった神様の物語は、とても不幸な結末だった。
(アルテミスの矢に打たれて死ぬって)
 恋人を間違えて殺してしまうアルテミスもどうかと思うし、騙すアポロンは嫌な奴だと思った。
 そして、やっぱりオリオンについては、不幸だなと同情する。
「神様も失敗するんだよ。面白くない?」
 でも望月は、愉しそうに説明してきた。
 変な奴だ。変な奴で、女子だけど気を遣わなくて、付き合いやすい。
 サッカー部の活動時間が終わると自主練もせず、僕はすぐに河原に向かい、️望月️と一緒に過ごす時間が増えていった。
 その頃はまだ、どうして️望月が星座に興味を持ったのか僕は知らなかった。その理由を訊いたことで、急速に僕達の物語が終わりを迎えることも、まだ知らなかった。




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