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短い架空のお話

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短くて、奇妙な妄想にも似た架空のお話
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2016年5月の記事一覧

猫かぶり

なんのためにあって、なんであるかも僕には何一つ理解はできなかったけれども、残念ながら僕が住んでいる部屋には数センチほどの穴があいていて、隣の部屋が見える仕組みになっていることだけは揺るぎない事実であった。

そして僕はその穴を興味本位で覗いてしまったことを後悔しつつ、また僕の常識をはるかに超える出来事がそこでは繰り広げられていることを同時に知ることになった。
「ちぇっ、おい。いいか、アルバイトとい

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空想世界

幼い頃から頭の片隅で思っていたこと。僕の意識が存在したときからこの世界が存在し、そして僕の意識がなくなれば自ずとこの世界は消えてなくなってしまうのではないかと。
きっと世界の歴史や科学、宗教、哲学もいっさいがっさい僕の意識が創り出したことなのだ。なんてとんでもない空想をしていたりなんかしていて。
でも大人になるにつれて僕は実に平凡で、いやもしかしたらそれ以下の存在で、とてつもなくちっぽけな存在なん

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