空想世界

幼い頃から頭の片隅で思っていたこと。僕の意識が存在したときからこの世界が存在し、そして僕の意識がなくなれば自ずとこの世界は消えてなくなってしまうのではないかと。
きっと世界の歴史や科学、宗教、哲学もいっさいがっさい僕の意識が創り出したことなのだ。なんてとんでもない空想をしていたりなんかしていて。
でも大人になるにつれて僕は実に平凡で、いやもしかしたらそれ以下の存在で、とてつもなくちっぽけな存在なんだろうと考えるようになっていった。

毎日毎日、変わることのない日々。同じ時間に目を覚まし、同じようなごはんを食べて、同じ道を進み、同じことで怒られて、同じ仕事をして、変わらない友人と愚痴を言いあい、そして同じ道を歩いて家に帰っていく。

そんな世界にうんざりしていた。なんとかして同じことを繰り返すことをやめようと考えた。思い切って仕事をやめよう!
僕は自由なんだ!
そして自由に好きなことをするんだ!
そう考えた。

この世界が僕の意識が創り出したことでも正直なんでもよかったのかもしれない。
結局は僕が僕という存在に対して持っていたイメージのままの自分に対して嫌気がさしていたのかもしれないのだ。
そしてそのことに満足して、疑問にも感じなかったことに関しても。

だからこそ僕は!

なんて思いながらもやっぱり頭の片隅には、僕らの記憶の底に存在する記録を世界はただ投影しているだけなのかもしれないと考えないわけでもなかった。なんたってそんなことは誰にも知り得ることができないのだから。