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珈琲を飲んで、心震えたことがあるか

「で、今日のお悩みはなんですか?」

ゲーム音楽に包まれたコーヒー屋さんでかけられたその言葉に、自分の心を見透かされたようで思わず泣きそうになった。

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つい5時間前、急遽仕事終わりにあるコーヒー屋さんに立ち寄った。

コーヒーを飲むとすぐにお腹をくだす私が、なぜコーヒー屋さんを訪れたかというと、今日のお昼過ぎに写真家・鈴木心さんの呟きを見たのがきっかけだった。

鈴木さんは「宣伝会議」の広告で、私が敬愛する道重さゆみさんを撮った方。

つい先日、ツイッターをフォローしていたばかりだったのだが、『ここに行ったら鈴木さんと話せるのか……!?』とツイートを見た勢いで「まだ可能ですか…?」とDMを送ってみた。すると、しばらくしてから「き、今日来ますか?」というお返事が。

いそいそと退社し、最寄駅をおりて歩いて3分。

暗い道の中にポワンとオレンジ色が灯ったお店があった。ガラス張りの店内を覗いてみると、大きな焙煎機とカウンターの中にいる鈴木さんを見つける。

ドキドキしながら、その大きな扉を開くとコーヒーの香りがふわっと香った。挨拶をして、マフラーとコートを椅子の下にしまいながら、『お客さん誰もいないなあ』と思っていたが、それもそのはず

「このイベント、実は昨日だったんですよ」

と鈴木さんの口から驚きの事実が発覚。

驚きつつ記憶を辿ってみると、確かにツイートの日付が3月3日だったことを思い出した。日にち感覚がなく、てっきり今日が3日だと思っていた勘違い野郎にも関わらず「今日来ますか?」と気を遣って返事をくれたのだった。

昨日のイベントは満席で大盛況だったらしいのだが、今日は鈴木さんのお心遣いのおかげで一対一でゆっくりとお話することができた。

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そして冒頭に戻る。

写真に対しての不安や、写真家としてどう考えていくべきなのかなど、悶々としていたモノを、あわよくば第一線で活躍している鈴木さんに聞けたらと思い、電車に揺られてこの場所に行き着いた私。

その気持ちを見透かし、受け止めてくれようとしてくれたその言葉に一気に声が震えてしまった。

不安や自分の考えの醜さについて相談すると、ハキハキと、でも優しく的確な言葉をいただく。さらにその後、海外の写真家さんの写真集を見せてもらいながら様々な観点で写真について教えてもらった。

今まで見えなかった視点、歴史、その事実に、新しい宝の地図を開いたような高揚感に包まれた。鈴木さんの言葉一つ一つに『知らないことがまだまだこんなにあるんだ……!』とびっくりするくらいワクワクした。

今まで悩んでいたことは小さな世界の中での出来事で、もっともっと第一線で活躍している人たちの写真を、現場を見ていかなくてはいけないと改めて思った。

私の目標地点はどこなのか、何のために写真を撮るのか、今一度しっかりと考えていきたい。そうすればきっと、誰かの言葉一つに左右なんてされない自分になれるはずだ。

もともと私と同じくコーヒーが飲めなかったという鈴木さんのコーヒーは話しながら美味しくスッと飲めた。

コーヒー屋さんを始めた理由も、たくさんの国を周ったその行動量も、すごく素敵で、どこのコーヒー屋さんよりも価値のある一杯だった。(正確には二杯ご馳走になりました)


鈴木さん、本当にありがとうございます。

これからもガツンとやっていきます。

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