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遊戯王で「俺のターン!!」する人は、TRPG向きだ!

マスターデュエルがスタートして大いに盛り上がる遊戯王界隈。ガチガチにLL鉄獣戦線だの烙印デスピアだのを使いこなすベテランからペンデュラム召喚に困惑する初心者まで層は幅広いですが…
今回は特にだいたい遊戯王に慣れていて、遠藤正明の『Clear Mind』を脳内で流しながらシンクロンデッキをブン回したり、カオス・MAXで「粉砕!玉砕!大喝采!」するようなタイプのあなたにお伝えしたい。

あなたは、TRPGにピッタリです。

デュエリストのための軽いTRPG講座

まずはTRPGの簡単な説明です。既にご存じなら読み飛ばしてもらっても構いません。

TRPG(テーブルトーク・ロールプレイングゲーム、もしくはテーブルトップ・ロールプレイングゲーム)…それは、ゲームマスター(司会進行役、以下GM)が描く世界の中で、プレイヤー達が演じるキャラクターが生み出すドラマを楽しむゲームです。

そして小学生の「絶対無敵バーリアwww」「無敵返しwww」のような事態を防ぎ、物語に緊張感を与えるためにルールやサイコロを使います。

しかし、TRPGにおいてルールは基準値でしかありません。GMの機嫌や裁量、プレイ傾向次第で、キャラクターの能力のフレーバーテキストが実際に機能したり、王国編で遊戯が月を破壊して海を干上がらせたようなシーンが起こり得てしまうのもTRPGです。

ジャンルのキモである「ロールプレイ」ですが、そんなに難しい事ではありません。突然の罠カードに「何!?」と大げさに反応したり、今テーブルを囲んでデッキを取り出しただけなのに「遊星、貴様とは今ここで決着をつけねばなるまい!」と高らかに宣言する、それもロールプレイです。

遊戯王では遊戯王の登場人物のロールプレイをしていましたが、TRPGではもっといろんなロールプレイをすることになります。よくわからないなら適当に自分がよく知っているキャラクターをモデルにしてみるのがいいでしょう。

元があっても、どうせガチガチに再現でもしない限り、プレイしていく中でどんどん独自の個性を得ていくものです。

ちなみに、遊戯王がカードゲームをやり始める前にもTRPGを取り扱う回がありました(コミックス6巻~7巻 / 文庫版4巻 / 東映版アニメ25話~27話が該当)し、OCGでもそれに登場した《闇の支配者-ゾーク》がカード化されています。

《闇の支配者-ゾーク》はTRPGらしくサイコロを振る能力を持つ。マスターデュエルではレガシーパックのSRとして収録。

もちろん、現実で何の断りもなしにバクラのような事をしてしまうと当然友達は減ってしまうでしょう。

起源にして頂点

そしてTRPGにはいろいろなルールや雰囲気のシステムがあります。『クトゥルフ神話TRPG』などが日本では人気ですが…どうせ戦いに飢えたデュエリスト、思いきって冒険ファンタジーでいってみましょう。
ここで、私はあえて元祖、「ダンジョンズ&ドラゴンズ」(以下D&D)を推したい。コンピューターのRPGは最初はTRPGの体験を再現するために生まれたものですから、まさにD&Dは元祖オブ元祖です。

D&D第5版の基本となる3つのルールブック。GM向けの

D&Dは確かに他のシステムに比べてテキスト量も多く複雑ですが、現行版の開発元はあの元祖TCG「マジック:ザ・ギャザリング」を生み出したウィザーズ・オブ・ザ・コースト。MtGのノウハウを活かし、テキストにはある程度の一貫性があります。そしてあなたは遊戯王プレイヤー、長いテキストを読んで要約する事なら慣れっこでしょう。一度コツをつかめばうまくいくはずです。

MtGでは昨年夏にD&Dとのコラボとして「フォーゴトン・レルム探訪」も発売された。
日本のカードショップで埃を被りまくっている。

D&Dの舞台は数多の世界が広がる多元宇宙。アニメARC-Vにも召喚法で分かれた4つの次元がありましたが、そのスケールをもっと大きくしたような物と考えてもらって構いません。プレイヤー達の冒険はその中にある、どこかの世界の片隅から始まります。

多元宇宙という複数の世界観を内包する設定であることからもわかる通り、D&Dというシステムの強みは、その影響力ゆえのファンタジーであれば様々な世界観に対応できる受けの広さです。1974年に初めて世に出たD&Dは、その後のファンタジーに大きな影響を与えました。冒険ファンタジーのゴールドスタンダードとなったからこそ、ゲーマーであれば少しでも思い当たる要素が各所にあります。基本のルールブックに登場するモンスターだけでもゴブリンやオーク、ワイトなど、遊戯王でもお馴染みの顔ぶれがそろっていますし、世界観も、公式のものだけでも様々な英雄の伝説が残る王道の世界から、文明化の進んだ陰謀渦巻く世界まで、個性的な世界が揃っています。

D&Dの影響力については↓の記事をご覧ください。

新しく世界を作ったり、設定を覚えたりする余裕がないなら、最悪手元の遊戯王カードから世界観を膨らませてみるという手もあります。全て揃えた者は無限の力を得られるという5つの石板。あるいは20日後に迫る終焉のカウントダウン。こう表現しただけで、急に冒険っぽくなってワクワクしたりしませんか?

それに、最近では書籍などでカテゴリの背景設定が語られたり、何十枚ものカードを通して描かれる壮大な物語がいくつも登場しています。もしも星遺物に選ばれた勇者がアウラムではない他の誰かだったなら?もしあなたがアラメシアの儀で召喚されたなら?(これは露骨かもしれませんね)マスターデュエルで散々お世話になったお返しにエルドリッチの潜む黄金郷に殴り込むのも面白いかもしれません。
別にお金を取ったり大々的にやろうとしなければ、わざわざコナミとかが飛んできて訴えに来るという事はまずないでしょう。

D&Dは逆転劇を求めている

これだけD&Dを推したのには理由があります。

件のD&D5eだが、昨年10月に日本語版の対応終了が決定し、日本では存続の危機に立たされています。
D&Dの影響力は紹介した通りですが、TRPG自体の人気と国産ファンタジーTRPGの出現によってほとんど忘れられてしまいました。その上海外では、日本は完全に取り残されてしまう。その結果がこれとなると、非常に心苦しいのです。だからこそ、下の署名に参加してください。

なお、署名を集めている白津ゆに氏自らニコニコでリプレイシリーズを投稿しています。ボイスロイド百合成分は人を選びますが、クオリティは

今ならまだ間に合います。まだ公式サイトには無料お試し分の『ベーシック・ルール』(↓リンク)が残っていますし、書店でホコリを被っているルールブックがどこかにあるかもしれません。

ちなみに遊戯王カードWikiでD&Dについて言及しているページは《F・G・D》 《ダーク・エルフ》 《チェンジ・スライム》 《トレント》《ライトロード・ドルイド オルクス》 《ヴェルズ・バハムート》 《炎の精霊 イフリート》 《鉄騎龍ティアマトン》 の9件。現実の神話や伝承でもないのにこれだけ言及されているという事が、D&Dの存在がいかに日本にとっても対岸の火事でない事を証明しています。

それ以外でTRPGそのものや原作漫画のTRPG編に言及しているのは《ダイスロール・バトル》《闇の支配者-ゾーク》《闇の支配者との契約》《異形神の契約書》《聖なる魔術師》《占術姫アローシルフ》 《魔性の月》の7件(上リスト共に2月14日調)。

そしてアマゾンプライムビデオでは、オリジナル作品として、本場のD&Dの「今」の一端が、日本にも垣間見えています。

『ヴォクス・マキナの伝説』イメージビジュアル。

『ヴォクス・マキナの伝説』はアメリカの声優が全力でD&Dをプレイし人気を博したWeb番組『Critical Role』のアニメ化です。暴力・お下劣成分は童実野町の民度以下ですが、現代の本場の冒険ファンタジーとしてD&Dを知らなくても楽しめる素晴らしい作品です。

本編はこちら:https://www.amazon.co.jp/gp/video/detail/B09R6TRJZJ/

これに関しても↓の記事で解説しています。

D&Dの話を出すと「昔のアーケードゲーム」「鈴木土下座衛門」ばかり答えが帰ってくる事がほとんどでした。しかし、私はそれを変えたい。今でも現役のシステムという事を知っているからこそ、ここで完全に忘れられてしまうのが苦しい。
遊戯王といえば鉄壁のライフ3桁からの華々しい逆転。そのパワーを、どうかD&Dにも分けてください。

そして、あなたの世界がデュエルからさらなる世界に広がっていく様子を目にすることができれば幸いです。


(エゴい話をすると俺はマスターデュエルでワイワイ盛り上がっているVTuber達がD&Dで盛り上がっている所を見たい。VTuberのファンタジーパロ衣装描く人いるでしょ、アレがマジになってるのを見たい。)

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