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何を見ても何かを思い出す

空は毎日ちがう姿を見せている...という話を人から聞いたが、俺にとってはぜんぶ同じように見える。

中学生のころ、オリジナルの曲を作りたくなって色々と試行錯誤した。まずthin lizzyというバンドの丸パクリみたいな曲をつくってみたけれど、完成できなかった。

そのあと近所のギター屋の店長がフロイド・ジョーンズという人のレコードを貸してくれた。俺はそのアルバムの1曲目を自分のことのように感じた。「道が暗くて怖いからあっち側に行けない」みたいな歌詞だった。


ある日の夕方、オリジナル曲のアイデアが浮かんだ。

近所の橋を渡った先に坂道があって、その上に当時のバイト先があった。あっちに行きたいけど行けない、という気持ちを歌にしようと思った。

ローリング・ストーンズの『love in vain』と同じ出だしにした。何も無いところから曲をつくることができない。どうしても最初の音符を生み出すときに、他人の力を借りずには居られなかった。

レスポールの偽物のギターで1曲作った。いまでも、あれはいい曲だなと思う。

そこから約15年後、交通事故にあって指を怪我した。だからいまはその曲を弾けない。


いつかその曲を録音し直したい。ギターを弾ける人に手伝ってもらう必要がある。

当時はCDデビューしたくて、いろんなレコード会社にその曲を送った。どこも連絡をくれなかった。

今ならSpotifyとかで一応はデビューできるのだろうか。それをデビューと呼ぶのかどうかはわからないけれど。