今、組織に必要なリーダーシップ開発の5つのメリット
1.なぜ、リーダーシップ・プログラムの導入が進まないのか?
私たちがお客様とリーダーシップ開発に関する話し合いを初めて行う際、「このようなプログラムを長らく待ち望んでいました。リーダーは何かトレーニングを始めたがっています」という声をよく耳にします。リーダーシップ開発のメリットに疑いの余地はありませんが、他のビジネス上の優先事項や変化、例えばAI技術やリモートワークへの対応などに追われる中、組織はこのようなプログラムを後回しにしがちです。
成功するプログラムを実施するには時間がかかります。しかし、それを待つことにはリスクも伴います。リーダーが直面する難題に対応していく準備がますます不十分になるという点です。ここでは、リーダーシップ開発がもたらす重要なメリットと、あらゆる組織にとって、今すぐリーダーシップ開発を始めることが成功に不可欠である理由を探っていきます。
2.メリット1:確固たるリーダーシップの基盤
私たちはよく、リーダーシップ開発の取り組みを半年から1年後に開始する予定の組織と話をします。このタイミングのずれについて、「その間に何をしているのですか?」と尋ねると、「何もせずにリーダーを放置している」、あるいは、「一般的なeラーニングのオンライン・コンテンツ・ライブラリーから教材にアクセスしてもらう」という答えが返ってきます。この場合、トピックやコースの選択はリーダー自身に委ねられます。学習者であるリーダーは、自分の能力開発にどれだけの時間を費やすか、どこに優先順位を置くかを決める必要性に迫られることがよくあるのです。
明確なガイダンスを提供していない組織は、リーダーシップ開発によるメリットを享受できず、以下のようなリスクにさらされやすい傾向があります。
🔷一貫性の欠如
🔷不整合
🔷効率の低下
🔷質の低下
リーダーシップ開発を開始することで、グループ学習や個人学習へのアプローチが合理化され、組織の価値観と一致したリーダーシップの文化が醸成されます。最終的には、リーダーが協力し合い、複雑な課題を乗り越えるための知識、スキル、考え方を身につけることができるようになります。
3.メリット2:組織のパフォーマンスとの関連性
組織は時折、「リーダーシップ開発のための時間が作れない」と、育成の遅れを正当化することがあります。その理由の一つは、具体的なビジネス目標に過度に焦点を当てて、学習するための余力がないことです。
しかし、ここで問題なのは、リーダーシップ開発の遅延により、組織のパフォーマンスが低下するということです。リーダーは自社の戦略を実現しなければなりません。公式なリーダーシップ開発プログラムを実施すれば、戦略的思考や不確実性への対応など、リーダーにとって重要な能力に焦点を当てることができます。これらのスキルは、効果的なリーダーシップと組織のパフォーマンスに直接関連しており、ビジネスに大きな成果をもたらします。
私たちが最近支援をしたお客様は、大規模な改革とコスト削減を進めていました。これらの取り組みにより、リーダーとそのチームには多大な負荷がかかり、燃え尽き症候群や離職の問題が顕在化していました。人事部門はCEOにリーダーシップ・トレーニング・プログラムを提案しましたが、「申し訳ないが、今は時間がない」と言われました。
それでも人事部門は、リーダーシップ開発の利点と、各プログラムが組織の戦略とどのように関連しているかを訴求しました。リーダーが学ぶスキルは、CEOが推進しようとしている特定の指標に直接影響を与えるものでした。 リーダーシップ開発プログラムを開始する頃には、CEOは「これをやらないわけにはいかない」と述べていました。このプログラムは、組織全体の戦略にとって極めて重要なものとなっていたのです。
4.メリット3:従業員のエンゲージメントと定着
どの組織においても、従業員とリーダーは極めて重要であり、彼らのエンゲージメントはあらゆるリテンション戦略の要となります。従業員が意欲を失っていたり、組織が従業員の成長に投資していないと感じたりする場合、従業員を定着させることは難しくなります。
ハイポテンシャル人材は、質の低いリーダーに寛容ではありません。また、自分のキャリアパスを明確にしたいと考えています。私たちの調査によると、キャリア目標の達成や新しいスキルの習得に役立つリーダーシップ開発プログラムがあれば、ハイポテンシャルリーダーが組織にとどまる確率は2.4倍高くなります。さらに、リーダーの88%が、DDIのトレーニングを受ける前よりも、リーダーとしての役割に従事していると感じています。
優れたリーダーを育成することは、リテンション戦略の一環です。従業員が離職を考える際、仕事を辞めたいのではなく、上司から離れたいと思っていることがあるのです。リーダーとの間に信頼関係があり、良好な関係が築けているときに、従業員は組織に定着します。つまり、リーダーに投資することで、リーダーもチームを維持できるようになるのです。
5.メリット4:危機や変化への備え
危機を乗り越える際は特に、従業員が、自分は理解され、評価され、参画し、支援されていると感じることが重要です。しかし、公式なトレーニングを受けていないリーダーは、人材やリソースを動員したり、変化に適応したりするのに苦労することがあります。
確固たるリーダーシップ・プログラムによって、リーダーはレジリエンスや適応力などのスキルを確実に身につけることができます。しかし、世界1,556組織の13,695人のリーダーが参加したMSC/DDIのグローバル・リーダーシップ・フォーキャスト2023調査によると、リーダーは将来の課題に対処するために必要なトレーニングを受けておらず、意思決定や優先順位づけ、変革のマネジメントなど、リーダーに不可欠なスキルに決定的なギャップがあることが明らかになりました。
私たちのお客様であるニューヨーク・プレスビテリアン病院では、最近、リーダーが危機と変化に対処するために、トレーニングがいかに役立つかを示しました。2020年以前、この施設は面接スキルを中心としたリーダーシップ開発に力を入れていました。新施設のオープンに伴い、最高の医療スキルをもち、優れた患者体験を提供できる人材を、リーダーが確実に採用できるようにする必要があったからです。
そしてパンデミックが発生しました。スタッフは予想以上に緊張しましたが、施設には最高の人材がそろっていました。
パンデミックが長期化し、医療従事者が燃え尽き症候群に直面したときに、この施設は方向転換をしました。対面での集合研修からオンライン・トレーニングに切り替え、コンピテンシーモデルを変更し、ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン(DEI)に焦点を当てました。ここで重要なのは、ゼロから始める必要はなかったということです。この施設では、強みを活かして危機に対応することができたのです。 この話は、リーダーシップ開発の利点と、それが組織の適応力を高めることを示す典型的な例です。もしニューヨーク・プレスビテリアン病院がリーダーの育成を優先していなかったら、パンデミックの状況で直面した難題に対処する準備はできていなかったでしょう。
6.メリット5:リーダーの供給体制
The Josh Bersin Companyの最近の調査よれば、自社の経営陣に満足している組織は4社に1社にも満たないことが示されています。そして、83%の組織が、リーダーシップ開発の予算を削減したり、放置したりしています。
では、次に何が起こるでしょうか?リーダーシップ開発を怠ると、あらゆる階層で有能なリーダーのパイプラインにギャップが生じ、より高い階層の役職に就く準備ができている人材プールが限定されることになります。MSC/DDIの「グローバル・リーダーシップ・フォーキャスト2023」調査によると、人材の供給体制に優れていると回答した組織はわずか12%で、この数字は過去10年間で減少しています。
人材供給体制にギャップがあると、予期せぬ離職や重要なリーダーの役割を果たせないといった混乱に陥りやすくなります。しかし、優れた人材の供給体制が整っていれば、業績は向上します。MSC/DDIのデータによると、人材の供給体制が整っていない組織と比較して、優れていると回答した組織からは以下のようなメリットが報告されています。
リーダーのエンゲージメントを維持し、成長の機会に挑む自信をつけるには、個々人のニーズに合わせたリーダーシップ開発プログラムが必要です。
7.リーダーの育成を後回しにすることはリスク
組織は、リーダーの能力開発への投資を先延ばしにしてはなりません。多くの組織は、リーダーの能力開発を延期しても目先の成果に影響はないと誤解して他のビジネスの優先事項に注力し、「明日から始めよう」というアプローチをとりがちです。事態が落ち着くのを待ち、計画に時間をかけた後でようやくプログラムを開始しますが、これでは組織がさらに後れをとるだけです。
1年後の自分の姿を考えてみてください。始まったばかりの状態でよいですか?それとも、次の成長段階や収益を生む段階へと進展していたいですか?リーダーシップ開発によるメリットを享受する基盤は、すでに築かれているかもしれません。リーダーシップ開発によるメリットを享受する基盤は、すでに築かれているかもしれません。
リーダーシップ開発を導入することで、困難な状況に直面する前に、優秀な人材を失う前に、そして従業員が離職する前に、準備を整えることができます。
これは、リーダーシップへの投資というだけでなく、組織の可能性と未来への投資なのです。
8.おすすめソリューション&コンテンツ
9.会社概要:株式会社マネジメントサービスセンター
創業:1966(昭和41)年9月
資本金:1億円
事業内容:人材開発コンサルティング・人材アセスメント
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