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時代を超えて個人の能力、資質の現状把握と可能性の発見を担ってきた人材アセスメントとは?

93歳でも「過去に関わっていては先に行けません」の前進力

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https://kenja.jp/1996_20170507/

1966年、コンサルタント会社として創業し高度経済成長期から現代まで時代のニーズに応じて、様々な人材育成プログラムの開発、提供に取り組んできた梅島。時代を超えて個人の能力、資質の現状把握と可能性の発見を担ってきた人材アセスメントとは?

福井:早速なのですけれども、梅島さんにとって人材育成というものはどのようにお考えですか?

個々の長所を伸ばす機会を作ることができる管理者を育てること

梅島:そうですね。その人の持っている、みんな、個性がありますね。その中で長所、それをできるだけ伸ばす機会を作ってあげる、そういうことができる管理者を育てたいんですね。

宮川:それをじっくり伺いたいと思います。どうぞ、よろしくお願いいたします。

1.MSC設立の経緯

福井:さて、梅島さんのプロフィールを拝見いたしますと、41歳のときに、マネジメントサービスセンターを設立されていらっしゃいますよね。本当に今でいえば、女性企業家は当たり前になってきましたけれども、この50年前というのはかなり珍しかったのではないですか?

梅島:そうですね。近所の米軍の基地に働きに行きました、近いから子どもの面倒を見るのもいいと思って、そこで日本人の管理者が米軍に働いていますから、その人たちに民主的な管理者訓練のやり方を教えると、そういう仕事をやらされました。
そのあと、米軍がたくさん帰られたんです。それで日本人管理者もそんなにいらないし、それから我々のようなコンサルタントもそんなにいらないので、今、辞めたら退職金が1.5倍、ちょうどいいと思って辞めました。しばらくしているうちに米軍時代の仲間が「東京で会社を作るから一緒にやらないか?」とお誘いがあったんです。やはり、教育の仕事がやりたい、それで東京へ来て、友人5人と今のマネジメントサービスセンターという会社を作ったんです。それが1966年です。

2.提携

福井:さて、この番組ではマネジメントサービスセンターの今を象徴するものをお持ちいただき、進行させていただきます。今日はどんなものをお持ちいただいたのでしょうか?

梅島:この2枚の名刺です。1枚はダグラス.W.ブレイ(Douglas.W.Bray)博士とおっしゃる方です。もう1枚はウィリアム.C.バイアム(William.C.Byham)博士とおっしゃる方です。

宮川:ご専門は?

梅島:行動心理学です。

福井なぜ、このお二人がマネジメントサービスセンターの今を象徴するのでしょうか?

梅島:管理者訓練を女性のわたしが日本の企業さんに売りに行っても相手にしてくださらないんですね。女なんかに男の管理者が教えられるかみたいな、で、結局、私にふられる仕事は女性社員の教育で、マナーだけでいいと。電話と応対と顧客の接待をすればそれでいいと。それが私には面白くないので、アメリカでどういうふうにしているかということでアメリカに行きました。アメリカ電信電話会社に伺ったときに、ブレイ博士に会って、ブレイ博士のご紹介で、バイアム博士ともお会いしました。

この出会いから梅島は管理能力の適性発見と評価を目指す人材アセスメントに強い関心を持った。この二人の行動心理学者の設立した人材アセスメントを実施するDDI社とマネジメントサービスセンターは50年余りにわたり、業務提携を結んでいる。

3.人材アセスメント

福井アセスメントと言いますと、評価査定という意味がありますけれども、それはその通り、人材を評価査定するという……。

梅島能力とか、技術を発見して、その長所を生かし、それから危ないところを周りの人が補ったり、補佐役がいたり、そういう形で事業をいい形に成功させていくような管理者を作りたい。

福井そのセミナー自体の内容というのはどういう形だったのですか?

梅島重要な言葉に「すべて生徒を中心に」という言葉があります。

4.すべて生徒を中心に――人材アセスメント

梅島従業員を中心にいろいろなことをグループでディスカッションで意見を言わせたり、それから過去のいろいろな事例を中心にして、討議をしたりということで、生徒の考えを中心にその人の持っている能力を伸ばしていく。足りないところはそれなりの補い、補充する人を周りにつけるか、上司が指導する。そんな形で進めていくんですね。

5.生徒(従業員)の考えを中心に能力を伸ばしていく――人材アセスメント

梅島日本の人事の方たちにぜひ、お話ししたいと思いました。お二人に「日本に来てください。そして、日本でこのお話をしてください」って、お願いして、1972年に来られました。

6.日本に招聘

福井:「日本に招いて、講義をしてください」とおっしゃるぐらいですから、最初に会ったときに感動した点があったと思うのですけれども。やはり、一番驚いた点は、これは新しいなと思ったところはどういうところですか?

梅島:男性と女性の管理能力に差はないと言われたことです。私どもの会社の恩師です。

今回は梅島の50年代の友人で心理学者であり、DDI社のエグゼクティブ・チェアマン、ウィリアム.C.バイアム博士を特別ゲストとしてお招きした。

博士:お会いできて嬉しいです。

福井:お会いできて嬉しいです。バイアム博士は、梅島さんの最初のお会いしたときの印象はいかがでしたか?

博士:彼女には本当に感心することばかりでした。女性でこのような地位に立っている人はその当時、日本にはあまりいませんでした。世界中を旅していろいろな知識を持っていて、何もかもよく知っている方でした。本当に素晴らしい女性です。

宮川:出会われたころ、日本の企業の人材育成についてはどういうふうにお感じになりましたか?

博士:日本では人材開発を全くやっていませんでした。人をただ組織のポジションに置いて、5年経ったら適当に他の部署に動かすという人事でした。
その社員にどんなスキルが必要であるかとか人材開発に関して全く考えていませんでした。人材開発という視点で見ていなかったのです。そのような状態ですから、逆に私たちには良いチャンスになりました。変化が起きたのは、日本企業が海外に進出し始めた頃からでした。その頃から私たちDDIがやってきたことを日本企業も注目し始めたのです。

宮川:しかし、それはアメリカから持ってこられて、すぐ日本の企業に理解されましたか?

博士:いえ、まったく理解されませんでした。しかし、梅島さんのように素晴らしい営業力を持った人たちが徐々に広めていったのです。

福井:そこから広めていくには本当に努力もなされたと思いますけれども、そもそもバイアム博士の目指すアセスメントというのはどういうものなのでしょうか?

博士:当社が多くの企業から評価されているのはアセスメントセンターメソッドというもので、それは何かというと、ある役所の昇格候補の人たちをシミュレーション(模擬訓練)に入れます。例えば、スピーチをしなければならないとか、ある業務をしなければならないというような、昇進するとやらなければならない業務をシミュレーション(模擬訓練)させます。もし、昇進をしたらどんな行動をとるのかを仮にやらせてみるのです。
そして、何かスキルが不足していた場合は必要なトレーニングをしてその穴を埋めていきます。どんなトレーニングを受けさせるべきか、そういったことをアセスメント(評価)で決めていくのです。

宮川:なるほど、非常に合理的な感じですけれども。

福井:でも、もともとはアメリカから生まれたもので、その翻訳はどういうふうにされたのですか?

梅島:それは難しかったです。英語の言葉はたとえば、言葉はWordですか、日本語では漢字はたくさんの考え方が一つの漢字のなかにあります。で、送られてくる資料を英語で言っていることが日本の事情のなかで同じような考えに分かるようにという、その翻訳は会社全員が取り掛かりまして、みんな、米軍で働いていた仲間ですから、みんなで翻訳に一生懸命になって、そして、それを日本の実情もまたバイアムに知らせて、つまり、西洋と東洋、洋の東西で同じ能力評価でも、若干、表れ方が違うというようなところはありますから、そういうところを交流して、ある程度、オリエント(東洋)に適合するようにというプログラムに作っていきました。

宮川:バイアムさんはそういった日本の企業が梅島さんの努力によって、たとえば、どんなことで変わってきましたですかね?

博士:以前よりも能力を重視するようになり、年齢が若くても昇進させるようになったと思います。そして、グローバリゼーションという時代になり、国際化ということがすごく大きな意味を持ってきたと思います。日本企業は日本のやり方がそのままでは海外で通用しないことに気がつき、他国の組織文化や新しいやり方を学び、それをまた日本に取り入れるようになってきました。

宮川:バイアムさん、この人材アセスメント、これは今、世界中でどれぐらい広がっているものなのですか?

博士:正確にはわかりませんが、既に100カ国以上に広がっていると思います。

福井:そんなに……。

宮川:それだけ広がったのはなぜだというふうにお考えですか?

博士:それは我々のメソッドが他の手法よりも正確な結果が得られるからだと思います。面接だけでなく、筆記試験だけでもなく、私たちのアセスメントセンターメソッドでは自分がその立場になったら、どう行動するかを実際にやらなければならないのです。
例えば、スポーツチームに入団する選手を選ぶ時、フットボール選手を選抜する時、面接だけではなく、実際にプレイをさせてみます。そして、誰が一番上手なのかを見るのです。
アセスメントセンターメソッドというやり方で「自分たちがやらなければならない状況において、どういう行動を起こすか」ということを、私たちは観察するわけです。そして、その人が成功するかどうかを予測するのです。

福井:なるほど。だからこそ、やはり、実践が大切ということなのですね。

梅島:そうですね。本当の人間を見つめるということでしょうね。自分の持っている概念で見るのではなくて、この人間はこうあるべきであるではなくて、この人間はこうであるこういう行動をする、こういう長所がある、こういう心配なところがある。そういうのをできるだけ早い時点で発見して、それを長所は伸ばし、長所を発揮する部署にだんだんと移していって、そういう機会を次々と準備していくことによって、人は育つと。そういうふうに考えます。

多くの著作を持つバイアム博士は最近の著書で自社に必要なリーダーを育成する方法についてこう、記している。

博士:誰かが会社を辞めた時、CEOは人事にその職を任せられる人材は誰かと聞きます。人事は適材がいないと探すことになります。社内で探すか、外部から雇うことになりますが、素晴らしい会社というのは、先を見据えて社内で人材開発を続けて準備しているので、誰が辞めても問題はありません。後任は必ず社内に準備されているのです。このポジションが空いたらそこに誰が入るのか、かつては長い期間をかけて検討していましたが、現在では物事の変化が速いスピードで起きるため、そういった予想は長期的には行えません。ですから、実務レベルでの準備をしていくことが重要です。

宮川:バイアムさんは、そうしますと、これからのリーダーシップのあり方はどういうふうにお考えですか?

博士:これからの理想のリーダーは他人の置かれた状況を考えられる人です。昔は王様のように、ただ上からこれをやれと指示するのがリーダーシップでしたが、今の若者は上から言われただけでは聞きません。彼らに動機を与え、それをやることを納得させなければなりません。そのやり方は昔と比べると随分と変わってきました。数十年前と比べると、当時、評価対象にしていた能力と、今やっているものとは随分と違ってきています。今のアセスメントセンターメソッドでは昔とは全く違った新しいやり方で行動特性を測定します。

宮川:やはり、今いる人材をどうやって輝かせるか、それもやはり、リーダーの大切な仕事で、そのためにこの人材アセスメントというものが……。

梅島:そのリーダーの能力を伸ばしていくということも必要ですね。

未来を築く新たなリーダーを育てるために、手を携えて共に歩む。それがマネジメントサービスセンターとDDIの50年。

7.未来

宮川私たち、研修と言いますと、つい精神論で行ってしまうところがありますが、やはり、アメリカの行動心理学とか、そういった理論にもとづいたものというのは説得力がありますね。

梅島そうですね。やはり、体で覚えるということでしょうかね。頭だけではなくて。

宮川ということで、素晴らしい出会いをされたということですよね。

梅島大変、私、運がようございました。

福井本当に素敵なパートナーだなという感じがしました。

梅島ありがとうございます。

福井そんな梅島さんなのですが、プロフィールを拝見いたしますと、なんと御年93歳ということで……。

梅島そうなんですよ。

8.梅島みよ 93歳

福井とても93歳には見えない外見ですが、この元気の源というものはどんなところにあるのですか?

梅島年を取りましても、未来を知りたい、若い人と話したい、そして、これから先がどうなんだということが一つの夢を見るような気がします。

福井では、まだまだ未来を見続けているということなのですか?

梅島死ぬまではね。

福井だからこそ、次へ次へという、この活力があるわけですね。

梅島そういうわけでもないですけど、気をつけないといけないのは、年を取るとつい、億劫(おっくう)になるんですね。やめておこうかなということはダメですね。

福井そのときに、こう……、グッとやってみようという、自分を奮い立たせるモチベーションは何ですか?

梅島若い人たちと話すことです。

福井どんな、身近な若い人たちと……。

梅島アセスメントでもそうですけれども、50代の方と30代の方とは価値観が一緒ではございませんね。50代の方が「この若者はこういうふうだ」と見たって、30代の人の価値観を知って、両方の価値観を知らなければお互いに理解するというわけにはいきませんでしょう。私のこの年だったら、若い人たちと話して、若い人たちが今、何を考えているか、どんな気持ちでいるかというのをやはり、絶えず知りたいと思いますね。

宮川そういった気持ちが必要ですよね。そうすると今、だいたいリーダーの方って、60代ぐらいになれば、「ゴールかな」みたいに思ってしまうのですけれども、梅島さんは今、90代からご覧になると、まだ60代はまだまだという感じで……ということですかね。

梅島そうですね。でも、近頃は60代の方でも、皆さん、元気ですよ。

福井確かにそうかもしれませんね。

梅島これからまだまだそうなっていくのではないでしょうか。

齢(よわい)を重ねることを嘆くのではなく、これから訪れる未来に思いを馳せる。それがこれからも梅島が歩む道。

9.賢者の文

福井さて、番組では賢者の文と題しまして、ゲストの方の心に秘めた言葉を一筆書いていただいております。それでは、梅島さん、よろしくお願いいたします。

梅島そうですね……。やはり、死ぬまで元気に生きていきたいと思います。

宮川そうですね。元気に生きる……。

福井本当に梅島さんを見ていると、この言葉がお似合いになりますね。
あらためまして、梅島さん、今後の展開はどのようにお考えですか?

10.今後の展開

梅島MSCは50年で、今年、迎えましたから、これからは若い人たちに新しいMSCを作っていただきたいなというのが願いです。

福井なるほど。

宮川やはり、受け継ぐものとイノベーションと両方必要になりますから。

梅島そうですね。過去に関わっていては先に行けませんからね。

宮川それを見守りつつ、ということでしょうか?

梅島そうですね。お話はみんなから聞くけれども、余分な口出しは一切、しないことにしています。

※賢者の選択とのコラボ対談になるます。
※出演者の会社名・役職など掲載情報は、収録当時のものとなります。

11.おすすめソリューション

会社名:株式会社マネジメントサービスセンター
創業:1966(昭和41)年9月
資本金:1億円 (令和 2年12月31日)
事業内容:人材開発コンサルティング・人材アセスメント


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