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リスキリング?現状と課題/人事担当者がやるべきことは?

1.リスキリングとは

リスキリング(Reskilling)とは、個人が既存のスキルセットを再考し、新たな能力や技術を学び直し、変化する労働市場に適応するためのプロセスです。このプロセスは、技術の急速な進化と職業の需要の変化が著しい現代において、労働者にとって極めて重要です。企業や組織の人事担当者にとっては、リスキリングの推進が従業員のポテンシャルを引き出し、組織の持続可能な成長を支える戦略であるといえます。

リスキリングの必要性は、労働市場の構造的変化に根ざしています。技術革新、特にデジタル化、人工知能、自動化は、伝統的な職種の役割を変化させ、新しい職種を創出しています。この状況では、従業員が持つ現行のスキルセットだけでは不足し、継続的な学習と自己啓発が不可欠です。リスキリングを通じて、従業員は新しい技術や手法を学び、変わりゆく労働市場への適応能力を向上させることができます。

リスキリングの実施に際しては、個々の従業員のキャリア目標と組織の目指す方向性を合わせることが重要です。従業員の個々の興味や強みを把握し、それらを組織の長期的なビジョンと結びつけることで、モチベーションの向上と個人のキャリア成長を促進します。さらに、リスキリングプログラムは柔軟性があり、従業員が自分のペースで学習できるように設計されている必要があります。オンライン研修、ワークショップ、プロジェクトベースの学習など、多様な学習方法を取り入れることで、学習者のニーズに応じたカスタマイズが可能になります。

リスキリングは、従業員にとってはキャリアの発展と職業満足の向上に繋がり、組織にとっては市場の変化に対応できる柔軟で適応力のある人的資本の育成を可能にします。

2.リスキリングと学び直しの現状と課題

以下の図では、企業がリスキリングと学び直しにおいて直面する課題を具体的な数値と共に示しています。

出典:リクルートマネジメントソリューションズ 「企業における『リスキリング』『学び直し』の推進に関する実態調査」の結果を発表

リスキリングに関しては、まず「経営上の必要性についての合意が得難い」という課題があり、全体の53.8%の企業がこれを感じています。個人主導型の企業では特に60.5%がこの問題を指摘しています。また、リスキリングを必要とする現実感と人事部門が連動していないと感じる企業は45.3%にのぼり、消極型の企業では33.3%がこの問題を抱えています。さらに、52.8%の企業が非財務的な効果が評価されていないとし、43.9%が人事担当者が学習内容に興味を持っていないと感じています。

個人の学びと会社の利益や方針との整合性が取れていないとする企業は39.2%であり、全社のサポートを受けることが難しいとする企業は45.3%に達しています。適切な教育訓練プログラムの提供が難しいと感じる企業は33.9%で、自社で培ったノウハウやスキル標準の体系化が難しいとする企業は49.1%にのぼります。従業員の能力やスキルの現状把握が難しいと感じる企業は45.3%で、学んだ知識やスキルを実践する機会の創出が難しいとする企業は52.8%です。

また、人事評価に学習成果を反映する仕組みがないとする企業は45.3%、学びの実践後や学習のモニタリングが難しいと感じる企業は33.9%です。学びの中間的な成果の評価が難しくPDCAが回っていないと感じる企業は27.8%で、従業員の学習意欲を引き出すことが難しいとする企業は50.4%に達しています。東洋的な支援の予算確保が難しいと感じる企業は45.3%、社内でお互いに学び合うコミュニティの形成が難しいとする企業は47.2%です。能力開発・キャリア形成に対する従業員の意識が低いとする企業は52.8%、自社のキャリアパスの可視化が難しいとする企業は37.3%です。部下の能力開発・キャリア形成に対する管理職の意識が低いと感じる企業は47.2%にのぼります。

学び直しに関しては、経営上の必要性についての合意が得難いとする企業は全体の13.7%、積極型の企業では18.9%がこの課題を指摘しています。リスキリングを必要とする現実感と人事部門が連動していないと感じる企業は27.5%、消極型の企業では30.8%です。非財務的な効果が評価されていないとする企業は17.7%、人事担当者が学習内容に興味を持っていないと感じる企業は30.8%です。

個人の学びと会社の利益や方針との整合性が取れていないとする企業は26.4%、全社のサポートを受けることが難しいと感じる企業も26.4%です。適切な教育訓練プログラムの提供が難しいとする企業は32.1%、自社で培ったノウハウやスキル標準の体系化が難しいとする企業は24.5%です。従業員の能力やスキルの現状把握が難しいと感じる企業は45.3%、学んだ知識やスキルを実践する機会の創出が難しいとする企業は47.2%です。

人事評価に学習成果を反映する仕組みがないとする企業は43.4%、学びの実践後や学習のモニタリングが難しいと感じる企業は27.8%です。学びの中間的な成果の評価が難しくPDCAが回っていないと感じる企業は37.7%、従業員の学習意欲を引き出すことが難しいとする企業は60.4%に達しています。東洋的な支援の予算確保が難しいと感じる企業は51.4%、社内でお互いに学び合うコミュニティの形成が難しいとする企業は56.8%です。能力開発・キャリア形成に対する従業員の意識が低いとする企業は50.9%、自社のキャリアパスの可視化が難しいとする企業は45.9%です。部下の能力開発・キャリア形成に対する管理職の意識が低いと感じる企業は45.9%にのぼります。

このように、リスキリングと学び直しに関する課題は多岐にわたり、企業ごとに異なる課題を抱えていますが、多くの企業が共通して感じる問題点も見受けられます。

3.人事担当者がリスキリングに対してやるべきこととは

人事担当者は、従業員が自身のスキルセットを見直し、新しい知識や技術を習得する過程を支援する責任を持ちます。この過程では、各従業員の現在のスキルと将来のキャリア目標を理解し、それに基づいて個別のリスキリングプランを作成することが求められます。また、リスキリング取り組みを成功させるためには、組織全体で学習と成長の文化を育成することが重要です。従業員が新しい知識を学び、スキルを向上させることを積極的に奨励し、そのプロセスを支援することで、組織全体の能力も向上します。

さらに、リスキリングの取り組みは、従業員の多様性と包括性を考慮することも重要です。異なる背景を持つ従業員がそれぞれの強みを生かし、新たなスキルを獲得することで、組織内での多様な視点とアイデアが生まれ、イノベーションが促進されます。従業員が自己実現を達成し、そのプロセスで組織の目標に貢献することが、リスキリングの究極の目標です。

リスキリングは、急速に変化する労働環境に適応し、持続可能なキャリアを築くための重要な戦略です。人事担当者は、従業員がこの変化の波に乗り、個人としても組織としても成長し続けることを確実にするためのキーとなります。組織と人事が個人のリスキリングや管理職のマネジメント能力向上支援などを積極的に支援することにより、組織未来への強固な基盤を築くことができるのです。

4.マネジメントサービスセンター(MSC)の人材アセスメントソリューション

5.会社概要

会社名:株式会社マネジメントサービスセンター
創業:1966(昭和41)年9月
資本金:1億円
事業内容:人材開発コンサルティング・人材アセスメント

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