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第5章<成長する>アセスメントを使って、固定された考え方を解放する

ラーニング・ジャーニーは変化を引き起こすが、人の常として、そこに明らかな価値がなければ抵抗するものである。アセスメントによって、参加者が旅の中で直面する変化に対してどういう態度を取るのかという洞察が得られる。彼らは従来の考え方を守っていくタイプだろうか?あるいは時間をかけて変化を起こす計画を立てるだろうか?あるいは、変化を好まない人々とコミュニケーションを取り協力する方法を学ぶ必要があるだろうか?こういった洞察は、参加者が学習体験の中でどのようにメッセージを聞き、吸収するかに影響を及ぼす。アセスメントは、彼らに最も関連が深いメッセージを引き出し、学んだ内容を自身にとって意昧と価値のある能力開発計画に反映することを可能にする。 


アセスメントによる洞察は参加者に、組織、自分の職務、モチベーション、行動スキル(コンピテンシー)に関する新たな考え方を気づかせる。適切なアセスメントは、学習の関連性を高め、能力開発を先に進めるべきという緊迫感を作る(第4章参照)。

1.ラーニング・ジャーニーをカスタマイズする

ラーニング・ジャーニーはリーダーの集団をまとめて能力開発するが、キーとなるパートナーに学習者固有の能力開発ニーズについて理解させることで、個人向けにカスタマイズすることができる。例えばセッションにおいて、トレーナーは学習者のために、本人が開発しようとしている分野に習熟している他の学習者をパートナーに選ぶことがある。

あるいは、その個人に関連する問題について話し合うのに積極的な役割を担ってくれる人を研修に招く場合もある。コーチが、旅の間に行われる活動をもとに、学びに適切な活動(リハーサル、コーチつきの練習)をさらに加えることもある。学習者の能力開発目標を良く知っているチームのメンバーが協力して、成長の取り組みを支援する場合もある。

2.公式学習の時間と、支援および適用活動にかける時間のバランスをとる

公式学習を他の活動とどのように関連づけるかについては熟慮する必要がある。多くの組織は公式学習(インストラクターによるコース、バーチャル・クラスルーム体験、ウェブ上のセミナーなど)の時間を作ることだけに重点を置いて、学習プロセスを設計する。

公式学習が、リーダーシップを理解するための基礎であることは確かだが、かかる時間を考えれば、公式学習には全体のうちの比較的小さい部分を割り当てるべきである。支援と運用を行うことで学んだことを強化し、本当の変化を可能にする。よって、これらは同等の優先度で行わなければならないだろう。公式学習部分はラーニング・ジャーニーの地図で最初に特定される活動ではあるが、参加者が学んだことを実践に移せるような活動や経験、ツールのための時間を奪うことになってはいけない。

3.必要な習熟度までの設計とし、それを越えない

ラーニング・ジャーニーは、必ずしもリーダーシップスキルに完璧に精通するように作らなければならないわけでない。どんなタイプの(そしてどの程度の)公式トレーニング、特別強化テーマ、仕事への適用を取り入れるか、選択に迷うこともあるだろう。

例えば、海外任務に就く準備をしているリーダーのグループは、グローバル感覚の開発が必要かもしれない。だが、彼らがこれから直面するであろうリーダーシップの課題には、人脈作りのスキルや実行スキルのほうがはるかに重要かもしれない。この場合、ラーニング・ジャーニーは、人脈作りのスキルと実行スキルにより重点を置くことになる。

4.旅の行程のすべてについて成功を測定する

測定をしっかりすることが、ラーニング・ジャーニーの成否を分ける。さまざまな活動が含まれるこうしたプロセスでは、以下のポイントを常に意識することが重要である。
 

・旅の各側面がどのように進んでいるか。コンピテンシーは開発されているか。適用の取り組みは明確か。

・参加者、インストラクター、コーチ、メンターが熱心で活動的で積極的に取り組んでいるかどうか。

・プログラムの完了に先立つ投資リターンの情報。最高経営幹部が進捗状況について尋ねたとき(必ず尋ねる)に、答えることのできる成功の先行指標はあるか。

 トレーニングと能力開発の成功を測定するさまざまな手法については、これまでの章で触れたので、再度ここで触れる気はない。だがひとつ述べておく価値があるのは、測定の手法はラーニング・ジャーニーの目標に合っていなければならないという点である。成果を測定する適切な方法であれば、どんなものでも構わない。簡単な測定法は、参加者とその上司や同僚、仕事仲間に、ラーニング・ジャーニーで対象とした分野(コンピテンシー)に改善が見られたかどうかを尋ねることだ。ほとんど労力をかけずに進捗状況の測定結果が集められ、プロセスがうまく機能しているかどうか、重要な洞察を得られる。図5.9は、ラーニング・ジャーニーの開始から6カ月後に行われた測定の例である。数字は、対象とする分野での改善を報告したリーダーの割合である。われわれの顧客はこのようなデータを利用して、リーダーシップの能力開発の取り組みを常に改善している。

図5.9 ラーニング・ジャーニーの進捗状況測定の例――対象とする分野における改善

5.おすすめ人材アセスメントソリューション

6.DDIとは

DDIは、世界最大手の革新的なリーダーシップ・コンサルティング企業です。1970年の設立以来、この分野の先駆者として、リーダーのアセスメントや能力開発を専門としてきました。顧客の多くは、『フォーチュン500』に名を連ねる世界有数の多国籍企業や、『働きがいのある会社ベスト100』に選ばれている世界の優良企業です。
DDIでは、組織全体におよぶリーダーの採用、昇進昇格、能力開発手法に変革をもたらす支援をすることで、すべての階層において事業戦略を理解し、実行し、困難な課題に対処できるリーダーの輩出に貢献しています。
DDIのサービスは、現地事務所や提携先を通じて、多言語で93カ国に提供されています。また、同社の研究開発投資は業界平均の2倍であり、長年にわたる実績と科学的根拠に基づいた最新の手法を駆使して、組織の課題を解決しています。

◆DDI社の4つの専門分野

DDI社は、4つの専門分野を中心に、長年の実績と科学的根拠に裏付けられたソリューションと、より深い洞察を提供し、優れた成果を生み出しています。

7.会社概要

株式会社マネジメントサービスセンター
創業:1966(昭和41)年9月
資本金:1億円
事業内容:人材開発コンサルティング・人材アセスメント

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