見出し画像

経験から学ぶ「経験学習モデル」とは~経験から学ぶための4つのポイント

1.成長には何が必要?

我々が成長していくには何が必要でしょうか?

優れたマネジャーの経験を長年調査してきた米国の研究所によれば、成人における学びの7割は仕事経験から、2割は他者の観察やアドバイスから、1割が本を読んだり研修を受けたりすることから得られていることが分かりました。

しかし、同じような仕事経験を積んでいるにもかかわらず、成長できる人とそうでない人がいます。

どうしてでしょうか?

それは、「経験から学ぶ力」の違いによるものです。


2.経験から学ぶ「経験学習モデル」とは?

それでは、経験からどのように学べばよいのでしょうか?
経験から学ぶ最も有効な方法として、「経験学習モデル」があります。下記の図は、自分自身が経験から学びを得るまでのサイクルを示しています。

経験をしたらそれを振り返り(内省)、何かしらの学びや知見を見出し(概念化)、それを他の状況で活用する(適用)、という流れです。みなさんも無意識にこのサイクルを回した経験があるかもしれません。

また、このサイクルを自発的に回して学習や成長を図っている人の典型として、スポーツ選手や職人といった各分野で卓越した人達が挙げられます。組織で働くハイパフォーマー(高業績者)と呼ばれる人も、このサイクルを自力で回していると考えられます。

3.経験から学ぶための4つのポイント

①経験学習サイクル

企業人の成長の大部分は、仕事経験からの学びによって決まると言われています。経験から学ぶプロセスは、下図に示す「経験学習サイクル」によって説明することができます。すなわち、人は、①仕事を経験し、②その内容を振り返り、③何らかの教訓を引き出し、④その教訓を別の状況に応用するという4つのステップを通して学んでいるのです。以下では、経験学習の効果を高めるポイントについて解説します。

<経験から学ぶためのポイント>

※(Kolb,1984)を基に作成

②成長ゴールを意識する

第1のポイントは、成長ゴールを意識することです。ただ漠然と仕事に取り組むのではなく、その仕事を通して、どのような能力を伸ばしたいかを考えましょう。例えば、上司から「後輩指導」の業務を任されたとします。その際、後輩の話しをしっかりと聴く「傾聴力」や、わかりやすく人に伝える「説明力」を伸ばそうと意識することで、経験から多くのことを学びとることが可能になります。これは、筋トレの際に、どの筋肉を鍛えているかを意識することで効果が高まることと似ています。もし、仕事を通してどのような能力が身につくかわからない場合には、上司や周囲の先輩に聞くことをおすすめします。

③感情に気をつけて振り返る

第2のポイントは、自分の感情に気をつけて客観的に仕事を振り返ることです。経験を振り返るときに陥りがちなことは、自分の都合の良い事だけを思い出すことです。また、怒りの感情が残っているときには、他者に責任を押しつけ、落ち込んでいるときには、自分を責めてしまう傾向にあります。感情的になっているときには、いったん気持ちを落ち着けて、経験を振り返りましょう。「自分、他者、周囲の状況」を客観的に振り返ることが、適切な学びにつながることを理解してください。

④深い教訓を引き出す

第3のポイントは、行動やスキルに関する教訓だけでなく、自分が当たり前だと思っている「価値観・信念・前提」についても問い直すことです。例えば、得意先との商談がうまくいかなかった経験を振り返る際に、「自分の説明が良くなかったので、プレゼンスキルを向上させる」といった行動面だけでなく、「営業とは、売り込みではなく、お客さんの問題解決であることがわかった」という概念的な学びを引き出すことが重要です。簡単なことではありませんが、深い振り返りを意識していると、自分の前提が間違っていることに気づけるようになります。

⑤幅広く応用する

最後のポイントは、特定の経験で得た教訓を、幅広い状況に応用することです。例えば、自分の確認不足のため書類作成でミスをおかしてしまったとしましょう。次に同じ書類を作成するときだけでなく、別の仕事においても「事前の確認を徹底する」ことを意識できたとしたら、学びが広がります。また、時短プロジェクトを任されて成功したとしたら、その仕事で得た教訓は、別の業務改善プロジェクトにも応用できるはずです。このように、ある経験から得た学びを、幅広い状況に応用することで、学習効果を高めることが可能になります。

※出典:北海道大学大学院経済学研究院 松尾 睦

4.会社概要

会社名:株式会社マネジメントサービスセンター
創業:1966(昭和41)年9月
資本金:1億円 (令和 2年12月31日)
事業内容:人材開発コンサルティング・人材アセスメント

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?