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コンピテンシー採用面接~科学的手法で絶対に成功する採用面接

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コンピテンシー採用面接とは 「経験」や「直感」に頼った面接は採用ミスを引き起こす。世界のリーディングカンパニーが取り入れる「コンピテンシー面接」で企業と人材のベストマッチングを実… もっと読む
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#評価

これでは「採用ミス」が続発する~「第一印象」が90%?そして最後は面接官の「好き嫌い」Vol.2(1/3)

1.面接官の好みや傾向が合否に影響私が、ある会社の新人研修にうかがったときのことです。 そのクライアントとは長年のおっき合いで、毎年研修を通して新人さんを見てきました。その年は、部屋に入った瞬間から、例年の新人さんと雰囲気が違っていました。 まず見た目 (それまでどちらかというつと小柄な人が多い印象でしたが、 今年は全体的に背が高い)、 そして、研修でのようすは例年に比べて、 みんながよく話し行動的だったのです。 研修か終わってから、人事のご担当者にお尋ねしました。

これでは「採用ミス」が続発する~「第一印象」が90%?そして最後は面接官の「好き嫌い」Vol.2(2/3)

4.「能力」を「行動特性」として捉える大筋のポイントの説明は以上ですが、実感として理解しづらかったかもしれません。もう少し具体的に「ありがちな面接」の例を挙げてみましよう。 その前に、「ありがちな面接」とはどういう内容をいうのか、説明しておきます。 これをひと言でいうなら、「面接によって引き出すべき情報がきちんと取れていない」ということです。また「引き出す情報」とは、「応募者が自社で業務を遂行するときに必要な能力をもっているかどうか、それを判断するための材料」だと理解して

これでは「採用ミス」が続発する~「第一印象」が90%?そして最後は面接官の「好き嫌い」Vol.2(3/3)

8.重要なのは「自己申告」ではなく「行動事実」ほかにも、よく見かける「ありがちな面接」の例を挙げておきましよう。その典型的なものは、応募者が書いたり自己アピールする 「自己申告」を行動レベルにまで突っこんで質問しない面接です。 たとえば応募者の履歴書に「体育会系テニス部に所属。全国大会で優勝する」と書いてあれば、「達成意欲が高く、タフなスポーツマン」と思い、「3年生のときに主将を経験」と書かれていた場合に至っては、「リーダーシップもある」と勝手に思い込んで、詳しい話を聞かな

「思いこみ・決めつけ採用」がもたらす組織へのダメージ~<こんなはずじゃなかった>ではもう遅い Vol.3(1/3)

1.思いこみ採用の「サプライズ」前章でご紹介してきたような採用面接は、おそらくどの企業においてもかなり一般的に見られる光景ではないでしようか。だからといって、「面接は難しい。短い時間でヒトを見ているのだから」ではすまされません。 いうまでもなく、「思いこみ・決めつけ」による面接5評価・合否判定が続くかぎり、毎回ある割合で採用ミスによる"サプライズ社員。が確実に入社してど、ることになるからです。 その結果、職場の風土や雰囲気が悪くなったり、会社のカルチャーが微妙に変化したり、

採用の戦略的視点~採用成功の三つのポイント「正確」「公平」「賛同」Vol.6(4/4)

9.「コンピテンシー面接」が「思いこみ面接」を排除する次に効用の②(複数の面接官のあいだで同じ評価基準が共有できる)の説明に移ります。 この②を実現させるのも、ターゲット・コンピテンシー一覧を面接官全員に開示し、各コンピテンシーの要素ごとにそれぞれの定義やキーアクションを説明することによって可能となります。 この役割を担うのは人事部門の採用担当の方でしょうが、このとき、前項で述べた「必要不可欠のコンピテンシー」があれば、そのことについて指摘するのはいうまでもありません。

偏見と固定観念を排除した合否判定~システマティックな意思決定法Vol.7(1/3)

1.学生の将来の可能性について学生の採用において、多くの企業が見極めたい要件の一つに、成長の伸びしろ(いわゆる、ポテンシャル)があります。 Vol2.でも触れましたが従来の面接では、「ポテンシャル」の評価は面接官の印象によるところが多く、採用後に結局、期待していた潜在能力はまったく行動として発揮されなかったという例は少なくありません。 コンピテンシー面接では、現在までの行動を判断することはできます。しかし実務経験のない学生は、入社後にどれだけの能力を行動として発揮できるか

偏見と固定観念を排除した合否判定~システマティックな意思決定法Vol.7(2/3)

4.統合会議は集めたデータでディベートする~偏見と固定観念を排除さて、いよいよ合否の最終選考会議が行われるわけですが、この評価会識を「統合会議」とよんでいます。 効果的な採用システムの最後の砦(とりで)となる合否決定は、優れた品質管理プロセスのように勧めていきます。ここでは面接官の偏見と固定観念を排除するとともに、組織が求める採用基準を維持し、公正で正確な選考を保障するようなやり方で進めなくてはなりません。 「統合」という言葉をつかうのは、この会議には面接を終えた複数の面

偏見と固定観念を排除した合否判定~システマティックな意思決定法Vol.7(3/3)

6.意思決定は合計点ではなく応募者の全体像でコンピテンシーごとの評点が決まれば、いよいよ合否判定(1次面接であれば、2次面接に進ませるかどうかの判定)に移ります。このとき各評点をどのように扱うか。 対象となるコンピテンシーはA、B、C、D、Eの五つだとします。評点は5点評価とし、採用の基準となる行動が「3」(求める基準である=仕事を成功させるための基準を満たしている)です。 さて、このとき「A、B、C、D、Eの各評点の合計点数を計算し、その高い順に合格者を決める」という方

「量」の採用から「質」の採用へVol.8(2/7)

3.採用活動は企業目的達成のための一環私が、このコラムを通して提唱する科学的アプローチをとり入れた「戦略的」採用システムとは、中・長期的経営戦略に基づいて自社に必要な人材像をまず策定する。そのうえで、求める人材を惹きつけ、確実に採用するために、「組織が必要とする人材」に極カアピールできる方法を通じて母集団形成をし、科学的な選抜・合否決定をする。そして、人材の定着のために、その後の配属・研修・育成まで、コンピテンシーをベースに一つのシステムとして構築していく――こうした一連の内

「量」の採用から「質」の採用へVol.8(6/7)

11.ある素材メーカー新任社長の決断ところで、こういうお話をすると、いわゆる中小企業の経営者や人事部長からは、「それは大手企業の話ではないか」といわれるかもしれません。 「ウチはネームバリューもないし、ブランド品を売っているわけでもないし、応募してくる学生も少ないし、おまけにレベルも低い。そんな現状でいくら『自社に必要なコンピテンシー』を掲げても、それにふさわしい優秀な人材が採れるわけない」と。 ほんとうにそうでしょうか。私がこのようにおっしゃる経営者の方に申しあげた

コンビテンシー面接の活用術Vol.9(2/4)

4.新卒採用でも「個を生かした配属」が可能一方、マスで採用してそのあと配属先を決める新卒者採用の場合、面接で確認するコンピテンシーは会社全体に共通する能力要件ですから、そこで得られたコンピテンシー情報(さまざまな能力要件にかかわる情報)がただちに配属先選定に役立つことはありません。ただし、次のような活用は大いに考えていいでしょう。 たとえば、配属先候補の中から「配属すべきでない部署」あるいは「組み合わせるべきでない上司」を消去するのに役立てるのです。 またたとえば、統合会

コンピテンシー面接~科学的手法で絶対に成功する採用面接~終わりに

1.総括採用は企業にとってとても重要なプロジェクトであり、HRのコンサルタントとしてさまざまな負度で企業における「人」のテーマに携わっている私にとって、新たな人材を組織に導入する「採用」は、興味の尽きないテーマであることは間違いありません。 特に、数年前、「ビジネス社会あるいは企業組織の中で、個人のキャリア形成はどうあるべきか」を自分なりに追究し、「キャリア」についてあらためて勉強をしたことをきっかけに、個人が職業を選択する(すなわち、就職する)ということの重みと、企業にと