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桐生新一
2020年5月26日 12:14
今日、2人と話したSNSのことが気になって、帰宅してからずっとスマートフォンを眺めていた。 SNSでは、俳優に対する非難だけではなく、意見が異なる人同士でも争いまで発展している。 なぜ、見ず知らずの相手に、こんなに感情をぶつけられるのか。 痛めつけることに快感を覚えているのか。 正義感から、傷つけても正当化されると思っているのだろうか。 殴らなければ、言葉であれば、いくらでも
2020年5月26日 12:13
通知が止まらない。 両手で握ったスマートフォンが、数分おきに震える。 同意、理解、呼応、共感、同情、批判、罵倒、憎悪。 もっと。もっと。 今、私を中心にたくさんの人が踊っている。 賛同の声が集う。非難の声は押しつぶされる。 声は広がり、さらに多くの人に届く。 波風が絶えない無秩序な世界。 そこへ投げ込んだ石が、波紋を作り、小さな波をかき消していく。 手が震え、
先輩は苦手だ。美人というだけで、気後れしてしまう。気さくで、勉強もできる。完璧、という言葉を人に使うのは良いことではないけれど、私の勝手な印象を一言で表すならそれだ。「手伝ってもらってごめんね」 ゴム手袋を着けながら先輩が話しかけてきた。飼育室に入るには、白衣とゴム手袋、マスクの着用が必須のため、私も装着する。「いえ、暇だったので大丈夫です」 皮肉を含んだつもりだったが「そう?な
2020年5月26日 12:12
「最近すごいよね!インスタ!」 午前の講義が終わり、キャンパスの中庭で話しているときだった。今年度で卒業の私は必要な単位をほとんど取り終わっているので、もうそれほど講義にはでる必要がない。今日も午前中で終わりだ。 この子も同じ4年生なのに、なぜかまだまだ単位が必要なようで、午後の講義の時間まで暇つぶしに付き合わされている。「そうだね。気づいたら結構伸びてて」 手に持っていたスマート