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成都に行ってきた

今回は中国の成都→西安→北京をまわってきました。出張で中国にはちょいちょい行く機会がありますが、北京、上海、深圳あたりが多いので、今回巡った成都や西安は滅多に行けないところです。今回は日程的に余裕があり、街の様子を知ることも目的だったのでいろんな所に行きました。せっかくなのでnoteに書いて、みなさんにシェアしたいと思います。

四川航空

関空から成都への直行便はないと思っていましたがありました。四川航空というまさに成都を拠点にしている航空会社の便があったので迷わず決めました。LCCではないですがチケットもリーズナブルでした。

機内食(鸡肉饭)

機内食もちゃんと出ました。たぶん選択はできなかったと思いますが中華風チキンライス(鸡肉饭・ジーローファン)でした。ふつうに美味しかったです。あとバナナがとてもおいしかったです。

成都の上空

4時間ほどで成都天府空港に到着。「欢迎光临」成都にようこそという機内アナウンスとともにこの歌で迎えてくれました。

成都带不走的只有你
和我在成都的街头走一走♪
Wow Wow Wow〜♪

(赵雷「成都」)

中国語の勉強でよく歌っていた曲です。成都だけではなく、中国のふるさとソングとして中国の人々に愛されている曲のようです。サビのところを口ずさみながら、上機嫌で飛行機を降りました♪

ここまではとてもいい気分だったのですが、イミグレーションが大変でした 汗。。。

イミグレーションでびっくりしたのは滞在先のホテルの電話番号を聞かれたこと。ホテルの名前と住所は聞かれるかもしれないと思って事前にちゃんとメモしていたのですが、まさか電話番号まで聞かれるとは!

イモトのwifiをつないでwechatで中国の同僚に祈る気持ちで尋ねました。すると確認してすぐに教えてくれたので、なんとかイミグレーションを通過できました。みなさんも注意してくださいね。


成都の夜

成都の夜の風景

イミグレーションが混んでいて時間がかかり、空港から成都市街までは車で1時間ちょっとかかったのでホテルに着いたのは22時を回ってました。

それから晩ごはんを食べに外に出て、店に入ったのは23時頃でした。たしかに店を閉めようとして片付けているところもありましたが、夜でも暖かいということもあり、まだまだ飲んだり食べたりしている人が大勢いました。

豚足と土鍋料理

入ったお店は豚足が有名なお店のようでした。豚足は食べにくかったですがコラーゲンたっぷりでした。また砂锅という四川の土鍋料理もあって、豆腐鍋と牛肉鍋も頼みました。それほど辛くなくて美味しかったです。遅い時間だったので、さすがにガツガツとは食べられず、ほどよく切り上げました。


成都 武侯区

成都 武侯区の街並み

取引先の近くということでホテルは成都の中心街からやや離れた南方に位置する武侯区にとりました。郊外ということもありますが歩道がとても広く、歩いている人もまばらでのんびりしているように感じられました。上海や深圳、広州などは人々が朝から忙しく動いている印象がありますが、成都はゆったりしてました。


成都 パンダ基地

成都パンダ基地

朝イチで「パンダ基地」に行きました。午後からは仕事の予定があったのと成都の中心地から北に離れたところにあり、またなんと言ってもパンダ基地はとにかく混雑するので早朝に出発していきました。着いたのは8時過ぎだったと思いますがすでにゲートにはたくさんのお客さんが並んでいました。

ひたすら歩く
ようやっとパンダに遭遇

入場してもすぐにパンダを見られる訳ではありません。とにかく広いのでまず歩く。続いて歩く。さらに歩く。そうやって、ようやく、なんとなくパンダが居そうなエリアまできたのですがパンダが全然いません。人混みを避けようとせっかく早起きしてきたのに、肝心のパンダはまだ眠っているようでした。

でも、人が集まってザワザワしているところがあったので近づいてみると「居ました!」やっとパンダちゃんとご対面です。よくよく考えてみると、パンダを実際に見るのは初めてでした。しかし、パンダが遠過ぎて、しかもほとんど動かないので特に感動はありませんでした。

その後もなかなかパンダには遭遇しませんでした。パンダを見に来たのではなく、パンダを見ようとしている人を見物しにはるばる日本から来たという気分でした。

「わざわざ成都まで行ったのに、結局両手の指が必要にならないくらいの数のパンダしか見られなかったよー」と帰国して話すことになるだろうと覚悟していたのですが、歩き続けるうちに徐々にパンダと遭遇する機会が増えてきました。

何かを食べている
何かを食べている
寝ている

パンダと遭遇できるようになってきましたが、パンダは何かを食べているか寝ているかで面白みがまったくありません。「せっかくこれだけ大勢の人が見に来てるのだから、ちょっとは愛想よくポーズでもとってくれよ!」と思うのは人間心理であって、パンダが知ったことではありません。

ただ、僕にはどのパンダも同じに見えましたが、行列ができていて見られないパンダもいました。AKBのセンターの子みたいな感じでしょうか。順番が回ってきた若い男女が興奮のあまり、大声で叫びながら駆け寄っていく姿が印象的でした。

リス
レッサーパンダ

パンダ基地にはパンダ以外に鳥やリスなども見ることができます。特にリスは木から木を飛び渡っていくので見ていて楽しかったです。

またレッサーパンダもいました。中国語では小熊猫と書かれており、ふつうのパンダは大熊猫と書かれていました。大小で区分しているようでした。あるいはRED PANDAとも書かれており、色でも区別しているようでした。

カートで移動
とにかく広い
パンダタワー

かなり歩いたのですがパンダ基地は広くて行き尽くせません。新しくできた西エリアには場内を運行しているバス(カート)に乗っていきました。

フードコートでのお昼ご飯

西エリアにあるフードコートでお昼ご飯。ラーメン、お粥、チャーハン、スイーツ。ラーメンはインスタントラーメンから選ぶようになっていて、チャーハンもおそらく冷凍食品がベース。可もなく不可もなし。スイーツは見た目ほど甘くはなく、味もあまりなかったです。

子どものパンダ
とにかく広いパンダ基地

その後もパンダを何匹か見ました。SNSなどで見かける赤ちゃんパンダは8〜10月頃しか見られないらしく、今回は見られませんでした。しかし、子どものパンダは見ることができました。ほとんど動かない大人のパンダと違って子どものパンダはよく動くので見ていて楽しかったです。

とにかく広いパンダ基地の園内をくまなく歩いて、帰りは西ゲートから出ました。歩数を確認すると18,000歩。およそ10km歩いてました。


火鍋

成都の飲食街
啥子老火锅

夜は取引先の老板が火鍋をご馳走してくれました。成都の中心エリアにある「啥子老火锅」というお店です。

日本で火鍋といえば、海底捞や小肥羊がありますがちょっと気取った感じがします。対して啥子老火锅はオーソドックスで直球勝負の火鍋屋さんという感じでした。

火鍋(まん中と周りが別の槽)
オリジナルの油、ニンニク、パクチー

火鍋が登場。左右で分かれるのではなく、まん中の槽と周りの槽で分かれてました。まん中が辛くない方です。味つけはオリジナルの油と、お好みでニンニク、パクチーを入れるというシンプルなもの。胡麻油ほど強い香りはなく、どういうブレンドなのかはわかりませんでした。あと醤油やお酢も出してもらえます。

ホルモン中心の具材
追加注文した具材

ちょっとイメージしていたのと違ったのは具材がホルモン中心だったということです。これには理由があって、取引先の老板に「四川と重慶の火鍋はどちらが辛いですか?」と聞いたら「重慶の方が辛い」と言ってました。

「むかし貧しい時代に重慶の港で食べられていたものが火鍋の発祥だ」ということでした。「貧しくて食べるものがないから、中に入れるものがないし、何が入っているか分からない。何を食べているかわからないくらいとにかく辛くして空腹を紛らわせた」ということでした。俗に言う闇鍋ですね。

今では、火鍋は牛肉や豚肉や羊肉などの様々なお肉をしゃぶしゃぶ感覚で楽しむという感じですが、貧しい時代からの食べ物ということを考えれば、四川や重慶といった地元では火鍋にはホルモンが根強く好まれるというのは納得できます。

ぐつぐつ煮えたぎる火鍋
ホルモン系の具材をさらに追加
お口の恋人・甘いお餅

オリジナルの油にパクチーをふんだんに入れて食べると美味しかったのですが、あまり辛くないので思い切って火鍋のスープを器の入れて食べてみることにしました。老板から「おっ、やるねー、地元の人の食べ方だよ」と言われました。

これはもう本当に辛かったのですが、不快な辛さではありませんでした。口の中がふわーっとして味覚が麻痺していながらも美味しいという感覚はしっかりとありました。

料理がとにかく辛いので、みんなに大人気だったのが甘いお餅のような食べものでした。食事中にデザートを食べているような感覚ですが必須というか、この甘いお餅がまさにお口の恋人でした。


四川のうた

老板に聞かせてもらった「重慶の火鍋はなぜ辛いのか?」という話はいい話でした。

成都は、三国志で劉備が拠点としたことで有名な古来からの都市です。今日の成都はまさに歴史都市として整備され、多くの観光客が訪れます。

ただ近現代史的に言えば開発が遅れた街であり、今のように綺麗な街になったのはこの数年のことではないかと思います。ジャ・ジャンクーの映画「四川のうた」を観ると成都の時代的背景を感じ取ることができます。

海のない重慶が港町というのはピンときませんが、中国の内陸への交通や物流は川が大きな役割を担っており、重慶は長江の港町だったのです。「四川のうた」のなかでも重工業が先に発展した中国の東北地方(旧満州)から職を求めて船で内陸の重慶、成都の工場まで移り住んできた人々の話が出てきます。貧しくて、しかもすごい数の人が移動するので途中で子どもがはぐれてしまって生き別れたと語っていた女性もいました。悲哀に満ちた時代でした。

今の成都の街並みは綺麗に整備されているので戦中、戦後の苦節をほとんど感じることはありませんが、成都の地元の火鍋を食べたことで、成都の昔の面影が感じられ、中国の人に愛されてよく聴かれた山口百恵の赤いシリーズが脳内に流れました♪

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成都博物館 新館

成都博物館

2日目の朝は成都の中心街に繰り出しました。ホテルと取引先が郊外にあったので、成都の中心街を見てみようと街の中心にある成都博物館へまず向かいました。

天府広場周辺の様子

成都の街は中心に天府広場があり、毛沢東の石像が立っています。その周辺にオフィスビルやデパートなどの高層ビルが建ち並ぶという感じでした。スケールは異なりますがマンハッタンの5thアベニューのプラザホテル付近の雰囲気のようでした。

天府広場に隣接する成都博物館はスケールアウトするくらいの大きさです。中国の飛行場や博物館などの国家プロジェクト、街を発展させるためのシンボル的な建物はどれもとてつもなく大きいです。成都博物館も例外ではなく、成都の歴史を地上7階、地下1階の各フロアでテーマや時代の異なる大規模な展示を常時行っているようでした。

成都博物館の展示 1
成都博物館の展示 2
成都博物館の展示 3
成都博物館の展示 4
成都博物館の展示 5
成都博物館の展示 6

成都は歴史のある都市なので博物館の展示もたいへん見応えがありました。例えば、日本でも奈良に行けば遺跡や発掘された土器や青銅の武器や装飾品を見ることができますが展示品の数が知れてます。対して成都は展示品の数が限りないという感じです。さすが中国4000年の歴史です。

フロアを上がっていくと時代が進んでいって日中戦争の頃についての展示もありました。中国側からの記述なので当然、反日的でした。あまり長くいない方がいいと思ったので、さらっとみて通り過ぎました。


烏賊ラーメン

地元で人気の鱿鱼面馆
烏賊ラーメン各種

お昼は取引先の老板オススメのラーメン屋さんへ。「鱿鱼面馆」というその名のとおり、烏賊ラーメンが名物のお店です。中国と日本ではイカを表す漢字がまったく異なりますね。

メニューにはイカ以外のラーメンもありましたが、せっかくなのでイカラーメンにしました。汁あり、汁なし、麺ではなく雲呑の入ったものなどを頼みました。

まず茶碗蒸しのようなものが出てきました。日本の茶碗蒸しより韓国の茶碗蒸しに近くて、たまごがふわふわした感じでした。美味しかったです。

イカラーメンはふつうに美味しかったです。辛口を選んだものもさほど辛くありませんでした。癖のない味で日本人でも抵抗なく食べられます。中国料理店でよく出てくる甘いお茶「王老吉」にも慣れてきて、好むようになってきました。


寛窄巷子

宽窄巷子の入口
宽窄巷子の街路

もうちょっと成都の街を知りたかったので、中心地の景観地区である宽窄巷子(グァンザイシャンズ)という清の時代の街並みを残した観光スポットに行きました。

宽窄巷子の風景

車が入れない歩行者天国になっており、建物は昔の景観のままのデザインで統一されています。お土産やスイーツのお店、レストラン、スターバックスなどがテナントとして入っています。上海の豫園周辺の新天地によく似た観光地です。


白酒のアイスクリーム

茅台冰淇淋

あまりお腹は空いてませんでしたが、茅台冰淇淋(白酒のアイスクリーム)が売っていたので興味本位で食べてみました。

日本でも獺祭のアイスクリームが流行りましたが、それの中国版という感じでしょうか。中国の高級酒 茅台酒(白酒)はアルコール度数が53%で、いいお酒だからと中国を訪れたときは取引先の方が歓迎の気持ちとばかりに振る舞ってくださるのですが、本当に飲むのがキツいです。いい思い出がありません。そのアイスクリームとは家早南友。

茅台冰淇淋を恐る恐る食べてみましたが、「おや、美味しい」アルコールも少し含まれているようでしたがさすがに53%ということはなく、ほんのり茅台酒の香りがするという程度で美味しかったです。


川剧变脸

芝居小屋の客引き

芝居小屋がいくつもあったので、一回観てみようとなかに入りました。

变脸は中国の伝統芸能
芝居小屋のなかの様子

中国の舞台といえば京剧(京劇)が有名ですが、たしかにあれは北京を中心に行われており、四川の伝統的な舞台は川剧(川劇)と呼ばれているようです。变脸(変顔)という演目は、TicTokで若い子たちが一発芸で一瞬で変な顔をするあの芸ではなく、一瞬で顔を次から次へと変えていくという芸です。店先にいたお兄さんの姿も变脸の演目の恰好です。

小屋のなかには売店があり、お茶やスイーツ、軽食が販売されていました。私は菊のお茶か何かを頼みましたが、ひまわりの種を食べながら観ている人やお食事を頼んでいる人もいました。ジャズバーみたいなものでしょうか。

演目のはじまり

司会のお姉さんが出てきていよいよ始まり。他の芝居小屋は観ていませんが、演目は伝統芸能として一般化されていて決まっているようでした。落語の演目のような感じでしょうか。

水袖舞
茶芸
客席でもお茶を注いでくれました
皮金滾灯
川剧变脸

まず「水袖舞」という袖がひらひらした衣裳をきた踊り子さんの舞踊でした。中国っぽい妖艶な演技でした。

次に「茶芸」というじょうろよりも長い嘴の茶瓶?を自在にあやつる曲芸がありました。剣の型のような動きを一通りして実際にお茶を注ぎます。客席にも来て実際に注いでくれました。お茶の味はふつうでした。

さらに「皮金滾灯」という女夫漫才のような演目があり、もう一つか二つの演目があって、最後に「川剧变脸」でした。一瞬で顔が変わるのですがどのような仕組みになっているのかわかりませんでした。子どもたちにも人気で、タイガーマスクやミル・マスカラスのようなヒーローという感じでした。


成都天府空港へ

成都の街並み

宽窄巷子を後にして、取引先に一度寄り老板に挨拶をして、次の目的地 西安に移動するために成都天府空港へ向かいました。

もう長らく来ることはないであろう成都の街を車からずっと眺めていました。中国はどこの都市も大きくて、高層ビルや高層マンションが無数に建っています。成都も同様なのですが、それでも成都はほかの都市と違ってゆったりしているという印象は最後まで変わりませんでした。

四川航空

ただ、ゆったりはいいのですが成都天府空港の広さは勘弁して欲しかったです。国内線でもチェックインしてから搭乗ゲートまでの遠いこと。1km以上歩いたと思います。あまりにも遠いので飛行機に乗る前に西安に着いてしまうのではないかとさえ思いました。家早南友。


まとめ

成都は人口1,600万人の大都市ですがとてもゆったりとした街でした。ゆったりというのは土地が広いので香港のように所狭しとビルを建てる必要がないということでもありますが、それだけではなく、人々がゆったりしているということでもあります。

これには理由があるようで、成都は上海や深圳ほど不動産の価格が高騰していないからというのが大きな要因です。不動産価格が上がっていないから発展途上の街というわけではなく、トヨタの工場ができたり、IT関連も盛んで経済的には豊かな街です。経済的に豊かな割に不動産がそれほど高くないというのが正しいです。

さらに今回、日本人はVISAがまだ必要ということもあり、ほとんど見ませんでしたが、シンガポール、マレーシア、フィリピン、あるいはウズベキスタンなどアジアの国々から成都を訪れている人を数多く見ました。

成都は日本との関係で言えば、地理的にも北京、上海、深圳と比べて弱いですが、東南アジア諸国から見れば、成都は中国のなかで最も近い都市であり、観光においても、ビジネスにおいても繋がりが強いようです。

中国は東南アジアやアフリカとの関係が強い国なので、中国の都市を見る時は日本からの視点だけではなく、他の国からの視点で見ることが重要だと成都を訪れて実感しました。

また、成都のパンダによる観光地化、パンダビジネスにも興味を持ちました。先日、香港に行ったときに、香港の女の子にもキティちゃんが人気なのだと知りました。キティちゃんはお金さえ積めば誰とでも仕事をするとよく言われますが、キャラクタービジネスの成功例です。

パンダビジネスもキティちゃんと同様にキャラクタービジネスの一種と言えそうです。買ったまま読んでなかったこの本も今度読んでみようと思います。

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