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絵描きは卒業後、会社員orフリーランスどちらが良いのか論争

https://twitter.com/_NaokiSaito/status/1684523177731588096?s=20

タイムリーにこの投稿があったのですが、先日自身にこれに絡むことがあったので備忘録的にまとめます。
※あくまで個人的所感であって人様の生き方に文句をつけるつもりは毛頭ありません。また、会社員といってもあらゆる働き方があるので、ご参考程度に。

結論から言うと、会社員経験良い派です。

自身の経験談

私のキャリアはデザイン会社3社経験→独立→漫画家ですが、会社員時代に学んだスケジュール管理能力、先方社内外注さんとのコミュニケーション能力、組織として動くことの空気感、視野などは今も生きてるので会社員経験は自分にとっては大変ありがたい礎になっています。

略歴
2019年:デザイナーとして独立+初編集担当がつく
2020年:マンガ賞受賞
2022年:連載開始(継続中)

さいとうなおき先生のツイートでは「絵師」とされていますが、現在漫画家をさせていただいておりますので、漫画家視点でのお話をさせていただきます。

スケジュール管理能力

クリエイターは常に時間と情熱との戦いだと思います。そして新卒時代の一番の課題は自身の能力把握。具体的にいえば「これはおおよそ何時間でやり終わるのか?」の認識がないのです。ゆえに計画が立てれない。立てても崩壊している。俗に言う「徹夜したら終わる!」状態です。現実はそれでは終わりませんし、そもそも徹夜で会社にいちゃダメです。

これは持論ですがスケジュール管理能力を伸ばすためには、自分に合うやり方を試行錯誤して探すことが必要だと思います。
まずは時間を測るなどして自分の手の速さの把握。そこからスケジュールを立てる。アナログで目の見える位置に書くのが合ってる人、アプリで管理するのが合ってる人、アプリも合う合わないがあります。
「時間の使い方」みたいな本を意識が高いと思って読まれない人がいらしゃいますが、数冊読むだけで裏技を知る気持ちになるのでおすすめです。
(過去に読んだ本は今手元にないのでタイトルはわかりかねますが、とりえあえず本屋さんに行って良さげなのを見繕うと良いと思います。自分で探すの楽しいです。)

とはいいつつ、やむにやまれぬ事情で締切が守れない!ってことは人間あると思います。が、常習的にスケ管ができないと自負している人は上の方法をやってみるのが良いかと。会社員時代はそれこそ数件の仕事を同時並行するわけですし、「クライアントチェックの前に上長チェックもあるから逆算してデザインに費やせる時間は…あ、でも明日打ち合わせある!どうしよう!?」みたいな日々をこなしていくので鍛えられました。
特に独立してからは信用が大事なので、本当に良い経験だと思っています。

数年前なので今とスタイルが大きく変わっていますがアプリのことなど書いてるので貼っておきます↓


先方社内外注さんとのコミュニケーション能力

漫画家といえど、チーム制作です。編集部、アシスタントと主に関わりますが広く見ればデザイナーや出版社、営業さんなどたくさんの人が絡んでるわけです。そこで大事なのは「自分の意見をどう伝えたらいいのか?」「どこまでいえばいいのか?」さらにそれを判断するための視野があるかどうか?かと思います。
チームでやる以上完全に自分の思い通りには進みません。でも怒り散らかしても関係がギクシャクするし、イエスマンになると後々に響きます。
会社員時代では、社内のおつぼ…いえ、諸先輩方や、ど深夜に会社凸してくる迷惑な…仕事熱心な広告代理店の方や、要望が強すぎ…情熱的な外部パートナー(外部発注先)さんなどがいる中で、案件をこなしていく必要があります。もちろん私自身新卒で入りたての頃は多大な迷惑をおかけしていたので、被害者ぶるつもりはありません。ゆえに私は「許しあいの精神」が大きく必要だと思っています

また、自分の要望や能力を相手に的確に伝えるプレゼンテーション能力も大事だと思います。プレゼンは経験をこなさないと上手くならないと思うのでたくさんの人に自分について説明するのが良いと思います。
そうすると新人漫画家時代、もしくは新しい出版社の方とお仕事したいとなった時に役にたつと思います。

組織として動くことの空気感

上記の話とも少し絡みますが、組織で動く上では視野を広くしなくてはなりません。「自分はこうしたいのに編集部はこんなこといってくる!なんで!?」ではなく、「編集部はなにを見据えているのか?」を考える必要があります。漫画は書いてりゃ売れるものでなく、お商売です。楽しく漫画描いてりゃいいのでなく、売れないと成り立たないわけです。それぞれ役割分担があるので、全ての方面に気を払うのは無理でも、「この人は何を見据えてこういっているのだろうか?」と考えると、理解ができることもあります。特にクリエイターと編集では視点は違うことがある(というかそれが多数)だと思うので、自分の仕事をこなしつつも作品に関わる全員が「売りたい」と思って行動していることを念頭において、たまには溜飲を下げることも必要に思います。
※商業出版の話

先日の出来事

漫画家デビュー10年以上、単行本も10冊以上出されてる漫画家さんとお話ししてた折に「最近長期連載もなく、広告方面に仕事を伸ばそうか悩んでいる」と漏らされました。その方は今まで数社の出版社から漫画を出されているのですが、長く続くものがなかったそうです。
その方の悩みを解決する手始めとして驚いたのが、ポートフォリオサイトやリンク集的なものがなにもない。SNSをやっているのみだった、と言うことです。その方を悪く言うわけではなりません、強く思ったのが「もったいない!!!!!!!」ということです。

なにがもったいないって、そんだけのキャリアと実績があるのに、他人にそれを一発で理解してもらう方法を持ち合わせていないことです。一般的に考えて漫画家として10年以上、単行本も10冊以上出されているのはすごいことです!!しかしそれがTwitterなどで一発でわかるかと言われれば大変難しいです。ましてや最近はSNS大混乱期。ユーザーはいろんなところに分散してしまっています。
新しくファンになってフォローしてもその方が今までどんなの描いてきたかをファン自身が結構掘り下げないとわからない仕様になってしまっています。
また、出版社側の視点に立つと「この人は今も漫画を描いているのか?今後連載する気はあるのか?イラストレーターとして生きていくつもりなのか?」などわからないので、声をかけづらい一因になっているかもしれません。出版社と仕事がしたいと思っているのであれば、ファンだけでなく出版社にたいして自分がどう見えるか?も意識したほうがいいと思います。

と、お伝えしたところ「まさきさんが会社員から漫画業界来てるからこその視点ですね、気にしていませんでした」と言われました。ここでも活かされる会社員経験(広告業界経験かもですが)。

とりあえず1からサイト構築は難しいと思うので漫画家の方は「マンガフォリオ」で作品を、「litlink」で自身のSNSをまとめておくのが良いと思います。
この両サービスの良いところを布教しだすと趣旨から外れるので割愛します。

余談ですが私はSNS大好きなので有名どころからそうでないものまで色々やって遊んだり宣伝をしています。そして別途サイトを作って「ここみるだけで実績も問い合わせもできる」状態にしています。これはファンの方と同時に出版社に向けているので、文章等もそれを意識して作っています。


まとめ

会社員経験では予期せぬこともあったり強制的に身につけざるをえない能力がついたりします。長くなるので省略していますが、契約書の読み方や見積もり(原稿料)交渉や理想の上司像、みたいなものまで幅広く得られる経験値があります。
しかし最初からフリーだと良くも悪くも自分のやりたいスタイルでの仕事になると思うので、急に問題に直面した時に大変かもしれません。ましてや個人だと失敗は大きな損失となります。
自分の周りには卒業と同時にフリーになった、法人化したという方もいらっしゃいますし、その方たちは大変優秀なので、卒業後フリーになるのが良くないとは全く思いません。なので何が正解というわけでもなく、無責任なことを言えば「好きに生きりゃあいい」と思っているのですが、先述した通り自分の中でタイムリーな話題だったので久々に長文をしたためました。なにかご参考になれば幸いです。



普段「DOCTOR PRICE」という医療漫画を描いています。現在2巻まで刊行。試し読みはこちらから

独立後は下記のような仕事をしていました(公開できる実績のみ)。主にデザインを含めた広告マンガ、イラスト


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