カナダのダークサイドと、スクールカウンセラーの使い方について
カナダは鬱や自殺率が高い、なんて話を聞いたことのある人もいるのでは。
1年を通してカナダで暮らしてみるとわかるのですが、カナダはそこまで暮らしやすい国ではありません。
素晴らしいところもたくさんある国ですが、人でも国でも何でもパーフェクトはないように、カナダにももちろんイマイチなところや困るところもあります。
今日はそんなお話です。
カナダのダークサイド、文字通り「暗い」
ネット検索すると、輝く太陽と緑の自然、海も山も湖も青空を背景に明るい光に照らされた美しいカナダの写真が溢れます。が、それは1年の中でも限られた季節限定の話。
カナダは北の果ての国。True Northです。国土の半分以上は寒くて人が住めないような場所です。冬が寒く、とても長く、そして暗いのです。
雨(地域によっては雪・氷も)が続き、1日中暗いのが冬。こうした季節が半年ほど続くのです。これはかなり陰鬱な気分になります。仮に寒さに強くても、太陽のでない日々が半年続くとかなりさまざまな意欲が著しく減退します。
学校や仕事やプライベートライフが充実していて、友人もいて将来の夢ややりたいことがあり、ポジティブなマインドで日々暮らしている人、または冬でも比較的窓からあかりの入るコンドミニアムの高層階に住んでいる人などであれば乗り切れますが、もしそうでない場合はかなり精神的につらくなるかもしれません。
カナダでの暮らしが合わない、金銭的にギリギリでお金を使って快適さを得ることができない、学校や仕事が合わない、友達がおらず孤独を感じている……なんて要素が加われば、さらにきついです。
カナダの新学期である8~9月に新生活を始め、1~2か月もすると徐々に冬が始まります。新スタートでうまくいかないな、と思っていたら暗い冬がやってきた……となって気持ちがふさぎ込み学校に行けなくなる、ということはカナダ人でも起こっています。
住居形態で大きく変わる快適性
国内でもっとも温かいといわれる地域でも、冬の間は半年近くの間、日本の関東地方の冬〜真冬並みの寒さです。
屋外駐車場なら、停めた車は窓が凍り付き、毎朝寒さの中でガリガリとフロントガラスの氷を落とす作業から始めなければなりません。地面の氷かき、雪かきもです。学校や仕事に行かなくてはならないのに寒さでエンジンがかからない、なんてこともあり、さすがにうんざりする、と経験者は語ります。
自家用車がない人はバスを利用することがあると思いますが、バスもタクシーも雪が降ると来ない、なんてことも多々。
慣れればなんてことないのかもしれませんが、1年や2年で「なんてことない」までに慣れることは難しいかもしれません。
地下駐車場の付いた高層コンドミニアムであれば車の雪かき作業は必要なく、そこまで家の中が寒くもなりませんが、一軒家の1階に間借りして住む「Basement(1階や半地下)」の家に住んだ経験のある人は、寒さと湿気とかび臭さと暗さで「本当に鬱になる」と言いますし、口をそろえて「二度と住みたくない」「絶対におすすめしない」と言います。
他のヨーロッパの国ように、カナダの建物は古い場合も多いです。古い家は凍るような冷たい隙間風や水回りの弱さなど、冬場(一年の半分)の居住快適性がかなり落ちます。
もちろん、それを納得と覚悟の上で工夫して暮らし、立地や家賃、広さ、家具付きなどの好条件に惹かれて選択的に住むのはいいと思います。が、一部留学カウンセラーは「コスパがいい・節約できる」「上階に人が住んでいて防犯面で安心感がある」「上階の住人にいろいろご近所情報を教えてもらえるし、英語の練習にもなる」などといってマイナス面を一切言わずに「お得な住居」として親子留学希望者に勧めてきたりします。
とにもかくにも、カナダの冬場は鬱注意の季節。
実際、親子留学で来て慣れない海外で母親の方が参ってしまい、せっかくの留学生である子どものお世話ができないほどになった、という例も知っています。
メンタルヘルスに気を使うお国柄
そこでカナダでは、国民の、とりわけ若者(学生)のメンタルヘルスにとてもとても気を使っています。基本的に「無理しなくていいよ、辛いことはしなくていいよ」という文化です。
学校の先生も突然2週間とか1か月とか「メンタルが疲れたので」学校を休んだりしますし、その権利が認められています。
そんなわけで、公立でも私立でも、基本的にはどの学校にも複数のスクールカウンセラーがいます。
スクールカウンセラーのよしあしと使い方
私の経験からいうと、やはりスクールカウンセラーの質もばらつきはあります。でもまず、基本的にはどんな困り事も相談していいことになっていますので、授業についていけない、学校でのやり方でわからないことがある、理由はわからないけどなんだか気持ちが落ち込んでいる、友人トラブル、いじめというほどではないけどいじめみたいな感じ、など何でも気軽に相談してみるのはよいと思います。
子ども(生徒)の困りごとである場合、可能な限り、最初は親が同席する方がいいと思います。単身留学などの場合であればオンラインで同席させてもらうなど頼んでみましょう。
素晴らしいカウンセラーで相談者に傾聴し、その気持ちに寄り添い、実際の解決策まで導いてくれて、担当の先生らとも連携し、その後もモニターしてくれる、というカウンセラーもいますし、一般論に終始しポジティブな言葉を一方的に投げつけてきて、「まずは様子見よう!大丈夫!ここにいるよ!またいつでも来てね!」の定型文で終わらせるカウンセラーもいます。
どちらも外見の人当たりはいいので、当事者の子どもをよく知る大人が相談するに足る相手かどうか、そのミーティングで解決に至る道筋が見出せたのかどうか、見極めることが重要です。
そして、個人的な経験で言うと、学校に何らかの困りごとの訴えをする場合「メンタル的にストレスだ」という言い方をするのがいちばん要望が通りやすいんじゃないか、と思っています。そこに先生たちは敏感だからです。伝家の宝刀「メンタル」です。
「嫌な子がいるから席やクラスを変えてほしい」
「苦手な授業やクラブ活動をどうにか避けたいが、その方法はないか」
等という場合は、「ストレスでメンタルがやられそうなので」と主張してみるのも一案です。
日本で「ダメ!ゼッタイ!」なものもここではOK
そんなわけで、国民に自殺者を増やさないためにメンタルヘルス・ウェルビーイングに気を使うカナダでは、路上に生活する人たちのメンタルにも気が使われており、メンタルの安定のために多少のドラッグは仕方ないよね、とばかりにマリファナだけでなく(ブリティッシュコロンビア州では)ハードドラッグも量や用法によっては試験的に合法になりました。
警察も人手不足で、人を傷つけていないドラッグの使用などの軽犯罪を取り締まっていられないのでしょう。カナダでも銃犯罪は増えているので、凶悪犯罪を取り締まる方が先決というわけです。
バンクーバーのダウンタウン(繁華街)にも一部、「ここは行ってはいけない」と言われる通りがあり、ちょっと異様な光景です。日本で「ダメ!ゼッタイ!」なものが許可されている国です。見るからに、という人が大量に、毎日そこにいます。
数メートルの間隔をあけて通り過ぎただけで嫌な臭気を感じたりもします。窓を閉めた車で通ったでけでもです。
昼間から大声でなにか叫びながら、時に怒り罵倒の言葉をまき散らしながら、時に妙なハイテンションで大笑いしながら、普通の歩道を歩いているそういった人も繁華街エリアで見かけます。普通の格好に見える人が普通にコンビニに入って窃盗を行ったりもしています。
上記全て、普通の街中で実際に目撃・体験しました。旅行者の方も地域や治安には気を付けましょう。安全な地域であっても周囲に気を配り、子どもは手をつなぎましょう。
(ちなみにマリファナを売る店はちょっとした繁華街なら街中そこらへんにたくさんあり、普通のスーパーの横にあったり住宅街にあったり、おしゃれなバーのような高級路線だったり、スムージー屋さんかと思うほどクリーンで爽やかなお店だったりすることもあります。Cannabisと書いてあったらマリファナ屋さんです)
特に1年目の冬に注意
と、そんなわけで、冬場のカナダでは鬱対策のサプリメントは必須と言われています。人口太陽光のライトなどもAmazonで売っていたり、「寒く暗く長い冬を、いかにメンタルヘルスを保って乗り切るか」はカナダ人であっても重大な課題。
留学生や教育移住の人も気を付けましょう。特に1年目の冬にお気を付けを。
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