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銭形平次捕物控48「お藤は解く」(1936)+映像化作品 紹介と感想


あらすじ

甲州屋万兵衛が風呂場で首を切られて殺された。
事件の調べを笹野より直々に頼まれた平次は現場へ赴く。
妾に倅、番頭に弟と家中の者が怪しいが、行儀見習で住んでいる娘・お藤が次々と皆の疑いを解いていく。
容疑者が次々と消えていく中で、果たして事件の真実はどこにあるのか。
平次は少しの矛盾も逃さずに事件を解決へと導いていく。

感想

平次の捜査能力のすごさだけでなく、縮尻平次としての人情も見所です。
もちろん、縮尻平次の真意を理解している笹野様も素晴らしい。
お藤の真意と平次の胸の内の交差する謎解きの場面が良いです。
本編を読んだ後にタイトルの良さを噛みしめられる、短編平次の中でも好みな話でオススメの一編になります。

映像化作品

映像化は一つあります。

風間杜夫・主演 第九話「お藤、謎を解く」(1987)

大筋は原作に沿って丁寧に描きながら、真相に一捻りを加えており面白いドラマでした。
原作では分かりづらい家の中の様子が映像で観られるため、原作よりもお藤や平次の謎解きが理解しやすくなっているのも良かったです。

ゲスト出演者
 お藤/高木美保
 藤吉/内田 稔
 金六/遠藤征慈
 お直/銀粉 蝶
 佐平/袋 正(原作の文次)
浩次郎/河西健司(原作の万次郎)
伝之助/金子健三
おさえ/林 優枝(原作のおさめ)


以下、視聴メモ(ネタバレあり)

・登場人物の名前の変更が多い。被害者も伊勢屋万兵衛へ変更。
・番頭は名前だけでなく性格も変更。
・事件の起きた時間が、原作より少し早まっている。
・平次が事件に関わる理由が、原作ではお奉行と甲州屋が別懇の間柄のため早期解決を望んでいるとの理由だったが、ドラマでは笹野弥三郎(萬屋錦之介)が伊勢屋から借りた借金の証文が笹野の後釜を狙っている同心に見つからないために変更されている。
・金六親分は、原作では人の好い老岡っ引だったが、ドラマでは平次に敵対心むき出しの中年男に変更。
・平次が手伝いで事件を調べる以上、怪しまれないように当日中に事件を解決する必要があるとのことで、エピソードの合間で今何時なのかを示すテロップが入る。
・お藤が書類を燃やす場面は無し。また、お藤の父親・藤吉が利き腕をダメにされて飲んだくれているという設定になっている。
・下働きのおさえ(原作のおさめ)がドラマ版の真相のために重要な働きをする。

風間杜夫版レギュラーキャスト(当話出演者のみ)

銭形平次/風間杜夫

八五郎/木場勝巳
 お静/宮崎美子

三輪万七/左とん平
  清吉/森川正太

  おりん /美保純
笹野新三郎/中村橋之助
笹野弥三郎/萬屋錦之介

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