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「学校保健教育+生理用ナプキンの作成」を通じて、挑戦したいこと


4月頭より同僚と一緒に、提携先小学校2校で「保健教育&生理用ナプキンの手縫いレクチャー」を実施していくことになった。


現状


農村部では、月経が始まる年齢の女の子(およびその保護者)が、生理用ナプキンを用意できない現状がある。
日本でも女性にとって生活必需品である生理用品の価格や税については社会課題として議題になっているが、
ウガンダ農村でも、生理用品を買えなくて困っているティーンネイジャー、女性たちがいる。特にティーンネイジャーはまだ自身で稼ぐ年齢ではなく、自力での解決は難しい。


農村部でも、薬局や商店では下記のような広い価格帯・種類の生理用ナプキンが販売されている。しかしその一番価格の安い商品でも手が届かない家庭がある。(子どもに買ってあげられない家庭がある)

(単位はウガンダシル 1ウガンダシル=約0.04円 )
約2,500 ~ 約 3,500 おりものシート(使い捨て)(20枚入)
約3,000 ~ 約 5,000 紙製ナプキン(使い捨て)(8枚入)
約8,000 ~ 約10,000  布製ナプキン(リユース可)(2個入)

※2024年3月時点


生理用品が買えない(手に入らない)場合、その子はどうしているのか?
実際に会ったことのあるケースでは、
・家にある古着や、布の切れ端を下着に挟んで生理期間を過ごす。
 (→そうすると、日中に服が汚れてしまったりして、学校等では周りの子どもたちから冷やかされる。)
・生理期間は、学校を休んで家で過ごす。 
 (→そうする事で、周りからの冷やかしを受けずに済む。)

この現状に関して、
地域のティーンネイジェー(女の子)からは生理期間はナプキンが手に入らなくて困ってしまうという声が聞かれているし、
学校の先生や支援先の保護者からは、困っている女子児童(または自分の子ども)にナプキンを与えたいが、その為の財力がなく買えないでいるとの話が聞かれている。

***
先述の通り、マーケット(市場)には、国内生産品・輸入品など多様な種類の生理用品が売られている。
種類が多様にあることで、社会にあるさまざまな形の消費者ニーズに応えられているのだろう。


しかし、お店で品の種類や価格帯を比較検討する以前に、そもそも一番安い価格である2500~3500シル(約100~150円)という金額に手を出せない所得層の家庭が、一定数いるのである。

私が応えたいニーズ(活動現場で課題となっている事象)は、
毎月必要となる生理用品に2,500シルは払えないティーンネイジャーにとって購入可能な生理用品を、彼女たちに届けることだ。

取組み内容と、目指すこと

そこで今回、以下の2つに取り組んでいこうと思う。
①保健授業+布製ナプキンの手縫いレクチャー
②学校で裁縫クラブを立上げ、布製ナプキンを作成販売する

①保健授業+布製ナプキンの手縫いレクチャー

配属先の提携小学校で小学5~6年生を対象に、保健の授業(思春期に起こる心身の変化について)+布製生理用ナプキンの手縫いレクチャーを実施する。(Menstrual Hygiene Management Program)

このプログラムを通じて、児童/学校が得られるものとしては、
●児童(男女共に):男女の思春期における心身の変化について学び、自身に起こる変化について理解する。手縫いしたナプキンを、女子児童はひとり1個持ち帰る。
●学校:男子児童が作成したナプキンを、学校で保管し、突然ナプキンが必要になった女子児童へ提供できる状態をつくる。

授業は、
男女混合の15名グループを作り、少人数授業で教えていく。教える側の声が通りやすい環境をつくる為だ。
1グループに対して3~5回の授業を行う。これを1セットとし、各校3セット実施する。(=各校、計45名にアプローチする)

提携先小学校とすり合わせた、5回の授業内容(一例)

今期はまず、小学6年生15人(男女混合)×2校 =計30人を対象に実施。
グループ人数や授業回数を工夫しながら、2024年中に
各校45人 ×3校 =計135人にアプローチしきりたいと思う。

②学校で裁縫クラブを立上げ、布製ナプキンを作成販売する

授業導入後の展開として、
この授業経て裁縫に興味を持った児童とともに学校で「裁縫クラブ」(Hand sewing Club)を創り、クラブ活動のなかで引き続き布製ナプキンの作成を続ける。
(クラブでは、その他日常生活で役立つもの 例:ボタン付け、服の丈詰め等 も学んでいく。)

そして作成したナプキンは、地域のドラックストアに買い取ってもらい(卸し)、販売してもらう。
勿論、店舗販売価格は1つ1,250シル未満としてもらう。(そうして貰える卸価格で小売店へ販売する。)

布製ナプキンは洗って繰り返し使用するので、生理期間では少なくとも2つ必要。だから2つで2500シル未満となる価格で流通させたい。

***
プロジェクト全体の大枠の流れは、
①学校での授業 →②クラブ創設・活動 →③製品を小売店へ販売 →④販売収益で必要材料を購入 →②クラブ活動 ※②以降を繰り返す

2024年中に、1校ででもこのサイクルを1巡させるのが目標だ。
裁縫クラブメンバーのスキル上達スピードにもよるが、
目安は、
最短 :2024年  9月に販売(卸し)開始
真ん中:2024年10月に販売(卸し)開始
最遅 :2024年12月に販売(卸し)開始

何故、ナプキンの販売・流通までを目指すのか

別の記事で、初等教育のアクセスに関する政策と課題について書いた。
現在私の配属先(NGO)が行っている支援活動は、その課題への対症療法だと解釈しており、
それも必要だがそれに加えて「原因療法」になり得るアプローチも模索していきたい。

このプログラムによって、今生理用品が購入できていない家庭にとって購入可能な生理用品が市場に現れることで、
その家庭にとっては就学を続けさせるために必要な費用負担の一部が、軽減されるのでないかと仮説を立てた。

生理用品のことだけで就学が可能な状態に変わるとは考えないが、就学可能な状態にするための一歩にはなるのではないかと考えている。

児童本人にとっても、家計(お財布を握っている大人)にとっても良い影響を与えるプログラム(アプローチ方法)となれるかどうか、
実験的に、残りの任期めいっぱいかけて取り組んでいこうと思う。

※因みに現時点で机上での計算だと、収支はギリギリ赤字である。これをどうやって黒字循環させられるかという点が今見えている1番のハードルだ。

取り組み過程も実験実況みたいな形で発信していきたいと思っていて、
その際には、ここに関連記事を載せていきます!✶
関連記事(取組みの様子↓)
*Coming soon
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